映画評「非常線の女」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 1933年日本映画 監督・小津安二郎 ネタバレあり 小津安二郎監督作品は現存するものは全部観ているはず。今月WOWOWがサイレント映画の新音声版なるものを6本特集して放映したが、本ブログでまだ取り上げていない3本を久しぶりに再鑑賞する。 これは珍しい和製ギャング映画で、画面はデジタル・リマ…
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映画評「新・明日に向って撃て!」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 1979年アメリカ映画 監督リチャード・レスター ネタバレあり 43年前に余り期待しないで観たが、案外面白かった記憶がある。【続】にしなかったのはセンスが良いとすべきか。今なら【ビギニング】となっていただろうが、サブタイトルを付ける風潮がなかった時代らしいすっきりした邦題だ。 変な条件を付…
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映画評「犬、走る DOG RACE」

☆☆☆(6点/10点満点中) 1998年日本映画 監督・崔洋一 ネタバレあり 崔洋一監督によるドッグ(犬)再び。 現在の新宿。悪徳刑事・岸谷五朗は、在日朝鮮人の半グレ大杉連と組んで悪さばかりしている。在日系ヤクザの遠藤憲一の中国人情婦・富樫真と懇ろの関係になっているが、彼女は実は大杉も好いている。  が、ある時その彼女…
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映画評「襲撃 BURNING DOG」

☆☆★(5点/10点満点中) 1991年日本映画 監督・崔洋一 ネタバレあり 崔洋一監督の東映Vシネマというのがちと珍しい。 東京で強盗事件を起こしたグループが仲間割れし、生き残った又野誠治は沖縄に逃げ、やがてかつての強盗仲間の内藤剛志と再会する。内藤は米軍基地のゴミ回収をして一応堅気になったふりをしているが、基地の金庫…
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映画評「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2015年アメリカ映画 監督ジェイ・ローチ ネタバレあり 僕がドルトン・トランボの名を知ったのはまだ中学生だった1973年「ジョニーは戦場へ行った」の脚本・監督によってである。映画が余りに凄かったので原作も買った。  その僅か3年後に彼が亡くなった時に短い評伝で赤狩りの被害に遭ったことを知った…
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映画評「憧れを超えた侍たち 世界一への記録」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2023年日本映画 監督・三木慎太郎 ネタバレあり こういう純然たる記録映画は映画評を書くのが難しい。音楽のライブ・ドキュメンタリーと同じ位難しい。何故なら人は対象たるスポーツやライブの興奮度で判断してしまうからである。  同じスポーツものでも河瀬直美の「東京オリンピック」などは作者の視点が読…
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映画評「ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り」

☆☆★(5点/10点満点中) 2023年アメリカ=カナダ=イギリス=アイスランド=アイルランド=オーストラリア合作映画 監督ジョン・フランシス・デイリー、ジョナサン・ゴールドスタイン ネタバレあり 名前だけは知っているロール・プレイング・ゲームの映画化。20年くらい前に観た愚作のリブート版で、今回の評判は相当良い。但し、僕は、…
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映画評「ダーク・グラス」

☆★(3点/10点満点中) 2022年イタリア映画 監督ダリオ・アルジェント ネタバレあり ストーリーテラーとしてまるで感心しない監督者ではあるが、ダリオ・アルジェントの監督作でなければまずは観なかったであろうという内容である。 コールガールが何者かに首を切られて殺される。その後同業者のイレニア・パストレッリが運転する車…
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映画評「65/シックスティ・ファイブ」

☆☆★(5点/10点満点中) 2023年アメリカ=カナダ合作 監督スコット・ベック、ブライアン・ウッズ ネタバレあり 着想はなかなか面白いSF映画である。 地球時間で6500万年前、とある宇宙の惑星から旅立った宇宙船が、関係者の睡眠中の自動操縦中に隕石群に衝突して、現在我々が地球と呼ぶ惑星に不時着する。生き残ったのは操縦…
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映画評「シャザム!~神々の怒り~」

☆☆★(5点/10点満点中) 2023年アメリカ映画 監督デーヴィッド・F・サンドバーグ ネタバレあり 第1作はスーパーヒーロー“シャザム”のユーモラスな性格設計(矛盾はあるのだが)を好感し、DCコミックス系としては割合楽しんだが、この第2作は前作以上に賑やかではあるものの、全体として子供っぽさを強く感じて画面に集中できず、結…
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映画評「シスター 夏のわかれ道」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2021年日本映画 監督イン・ルオシン ネタバレあり 最近の中国映画は一時より体制に(そうしないと作らせてもらえないから)媚を売る映画は増えているように見えるが、本作はそういう感じが薄い。しかし、自由主義国ならもう少し違う表現になったと思われる部分があって、残念な気持ちも残る。 6年間親元を…
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映画評「生きる Living」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2022年イギリス=日本=スウェーデン合作映画 監督オリヴァー・ハーマナス ネタバレあり 何と黒澤明の名作「生きる」(1952年)の英国でのリメイクである。アメリカでは無理だが、英国なら何となると思いつつ観始めたところ、悪くない出来と思って見終えた。  「生きる」に敬意を払って画面はスタンダー…
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映画評「ファミリア」

☆☆★(5点/10点満点中) 2023年日本映画 監督・成島出 ネタバレあり 日本版「グラン・トリノ」という分析は中らずと雖も遠からず、だろう。 地方都市で碌にお金にもならない焼き物を拵えている初老男性・役所広司が、派遣先のアルジェリアから現地人の妻アリまらい果を連れて一時帰郷した息子・吉沢亮を迎える。彼はプラントの完成…
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映画評「いつかの君にもわかること」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2020年イタリア=ルーマニア=イギリス合作映画 監督ウベルト・パゾリーニ ネタバレあり ウベルト・パゾリーニは名前から予想されるようにイタリアの監督だが、前回鑑賞した「おみおくりの作法」同様に舞台はイギリスだろう(登場人物の話し方から)。 ロシア人の妻に去られ4歳のマイケル(ダニエル・ラ…
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映画評「幻滅」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2021年フランス=ベルギー合作映画 監督グザヴィエ・ジャノリ ネタバレあり オノレ・ド・バルザックの叢書 “人劇喜劇” のうちでも長い部類の「幻滅」は2年前に読んだばかり。その大作の途中までを映画化した本作は、その範囲において大体そのままである。 貴族の母と薬屋の父の間に生れた才能あふれ…
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映画評「丘の上の本屋さん」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2021年イタリア映画 監督クラウディオ・ロッシ・マッシミ ネタバレあり 現代のイタリア。丘の村にある古書店の主人リベロ(レモ・ジローネ)が、ふと現れたブルキナファソからの移民少年エシエン(ディディ・ローレンツ・チュンブ)に漫画の本を貸したことから交流が始まり、やがて老人は古今の名作を手渡していく…
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映画評「オマージュ」

☆☆★(5点/10点満点中) 2021年韓国映画 監督シン・スウォン ネタバレあり 韓国の女性映画人絡みの作品に「チャンシルさんは福が多いね」という女性監督による作品があるが、こちらも女性監督シン・スウォンによる女性監督の映画。 作る作品は尽くヒットせず、3作目にして行き詰りを覚えている女性監督ジワン(イ・ジョンウン)が…
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映画評「007/トゥモロー・ネバー・ダイ」

☆☆☆(6点/10点満点中) 1997年イギリス=アメリカ合作映画 監督ロジャー・スポスティウッド ネタバレあり シリーズ第18作で、ピアース・ブロスナンのボンド第2作。勿論再鑑賞で、本ブログで取り上げていないシリーズ作品は第19作一本となった(というのは間違いで、次の第20作も取り上げていない)。 ロシア某所に武器商人…
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映画評「search/#サーチ2」

☆☆★(5点/10点満点中) 2023年アメリカ映画 監督ウィル・メリック、マイケル・D・ジョンスン ネタバレあり パソコンとスマホの画面だけでお話が進行するという21世紀ネット時代らしいワン・アイデアが上手く生きて、カット割りに注視して見る為この手のPOV映画に自ずと厳しい評価になりがちな僕をも感心させた「サーチ」の、親子逆…
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映画評「TAR/ター」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2022年アメリカ映画 監督トッド・フィールズ ネタバレあり 実話ものと思って観ていたが、全く違いましたがな。 女性初のベルリン・フィル首席指揮者であるリディア・ター(ケイト・ブランシェット)は作曲者としても才能を発揮するなど物凄い天才であるが、その成し遂げた業績のせいか鼻を高くしているら…
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