映画評「コンパートメントNo.6」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2021年フィンランド=ロシア=エストニア=ドイツ合作映画 監督ユホ・クオスマネン ネタバレあり ニール・ヤングの名曲 Heart of Gold の邦題は原題から遠い「孤独の旅路」となったが、 本作は正に孤独の旅路をするフィンランド女性とロシア男性の交流を描くロード・ムービー。 開巻後い…
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映画評「帰れない山」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2022年ベルギー=イタリア=フランス=イギリス合作映画 監督フェリックス・ヴァン・ヒュールニンゲン、シャルロッテ・ファンデルメーシュ ネタバレあり 近年のアスペクト比4:3のイタリア映画では「プッチーニの愛人」という凄味のある映像美を誇る傑作があるが、美しい画面という意味で同作に迫る。但し、か…
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映画評「我等の仲間」

☆☆☆☆★(9点/10点満点中) 1936年フランス映画 監督ジュリアン・デュヴィヴィエ ネタバレあり 1930年代のジュリアン・デュヴィヴィエは当たりに当たっていた。本作の後「舞踏会の手帖」「望郷」という傑作を放っている。本作は上記二作に比べると一般的な人気はなさそうだが、十分比肩できる傑作だ。 因みに僕は40年以上前…
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映画評「ほつれる」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2023年日本映画 監督・加藤拓也 ネタバレあり 製作時30歳くらいという若い監督・加藤拓也は初めて見るが、今泉力哉から茶目っ気を取り去ったような内容・作風である。 門脇麦と染谷将太という、不倫関係と思しき男女がキャンプに出る。東京に戻って再会を約した直後、染谷君が交通事故に遭う。彼女は11…
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映画評「ピクニック」(1936年)

☆☆☆☆★(9点/10点満点中) 1936年フランス映画 監督ジャン・ルノワール ネタバレあり ジャン・ルノワールの中編。観たつもりでいたが、どうも観ていなかったようである。 ルノワールの映画を観ると何故か勘の良さ発揮することが多いのだが、本作はモーパッサンの世界であると思って観ていたら、原作はご本人であった。  他方…
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映画評「新学期 操行ゼロ」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 1933年フランス映画 監督ジャン・ヴィゴ ネタバレあり 1990年頃に一度観ている。 1934年に29歳で夭折したジャン・ヴィゴが残した僅か二本の劇映画のうちの一本(デビュー作)で、上映時間47分という長めの短編(あるいは中編)。 操行ゼロというのは “外出禁止” の意味ではなく、…
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映画評「ミス・マープル/魔術の殺人」

☆☆★(5点/10点満点中) 1991年イギリス映画 監督ノーマン・ストーン ネタバレあり ジョーン・ヒクスンの “ミス・マープル” が続きます。こちらはデフォルトに従って彼女の自宅からそう遠くないところが舞台。 アメリカから帰省した親友ルースの依頼でミス・マープルは、体調が悪いらしい彼女の妹キャロライン(ジーン・シモン…
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映画評「ミス・マープル/カリブ海の秘密」

☆☆★(5点/10点満点中) 1989年イギリス映画 監督クリストファー・ペティット ネタバレあり アガサ・クリスティーの生み出した二大探偵のうちエルキュール・ポワロの活躍の場は世界各地であり、もう一方のミス・マープルは国内それも殆ど地元近辺で活躍する、という僕のイメージはあらかた間違っていないようなのだが、「カリブ海の秘密」…
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映画評「メリちん」

☆☆★(5点/10点満点中) 2006年日本映画 監督・吉田恵輔 ネタバレあり 吉田恵輔監督の自主制作時代の小品。 高校卒業以来およそ10年ぶりにタラちゃん(仁志原了)が東京から長野に帰郷し、幼馴染のマチ(後藤飛鳥)と再会、同じく酒店に務めるメリちん(カオスティック・コスモス)と再会を祝福する。  俳優を目指して上京し…
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映画評「それゆけ!ゲートボールさくら組」

☆☆★(5点/10点満点中) 2023年日本映画 監督・野田孝則 ネタバレあり 高齢と高齢者をテーマにした型通りの人情コメディー。  片足を棺桶に突っ込んでいる僕くらいの年齢であれば、同じように型通りなら型通りの青春映画より観る価値はある。2カ月余りに迫った五輪の対策の必要がなければスルーしたかもしれないが。 妻の残し…
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映画評「せかいのおきく」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2023年日本映画 監督・阪本順治 ネタバレあり 阪本順治も実に色々な作品を撮る。映画作家系としては珍しいタイプだが、それぞれに骨がある感じで、その行き方に感服する。  今回のテーマは一つ江戸時代の青春だが、その青春を謳歌する二人の若者の商売が汚穢屋(おわいや)や紙屑買いであるわけで、循環社会…
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映画評「イコライザー THE FINAL」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2023年アメリカ=イタリア合作映画 監督アントワーヌ・フークア ネタバレあり 邦題は最終作を匂わせるが、原題は違う。最終作という告知でもあったのだろうか?  デンゼル・ワシントンが凄腕の元CIAエージェントを演ずるサスペンス系アクションの最新作である。 第1作はロシアン・マフィアが敵で…
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映画評「オリヲン座からの招待状」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2007年日本映画 監督・三枝健起 ネタバレあり 一昨日の「ラブ・レター」と同じく、浅田次郎の短編集「鉄道員(ぽっぽや)」に収録された好短編の映画化。 そのまま映画化したら30分で十分な内容なので、「ラブ・レター」同様にどうふくらますかが脚本家の腕の見せどころ。今回のいながききよたかは、原作…
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映画評「ゴジラ-1.0」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2023年日本映画 監督・山崎貴 ネタバレあり やたらに作られているように感じられるゴジラだが、「シン・ゴジラ」から7年経っての製作だから僕が感じているほど頻繁ではない。尤も、アメリカ製を含めると2年に1度くらい出て来ているので、一時のマーヴェル・コミックスのように多すぎるという印象は否めない。…
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映画評「ラブ・レター」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 1998年日本映画 監督・森崎東 ネタバレあり 浅田次郎の短編集「鉄道員(ぽっぽや)」に収められた同名好短編を森崎東が映画化した人情劇。  原作はごく短い作品だから余白が多く、脚本を担当をした中島丈博が腕を振るっている部分が多い。原作は、この映画がちょうど1時間に達したところから始まり、巻き戻…
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映画評「Mr. & Mrs. ウォンテッド」

☆☆(4点/10点満点中) 2023年イギリス映画 監督サヴァス・D・マイケル ネタバレあり 日本劇場未公開作品。 1970年代の終り頃に二枚目として頭角を出しかけて結局作品に恵まれないうちに妹のジュリア・ロバーツに置いてきぼりをくらったエリック・ロバーツを懐かしむ為に観た。  というのは殆ど嘘で、五輪対策の為に観たと…
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映画評「クーダ 殺し屋の流儀」

☆☆(4点/10点満点中) 2022年アメリカ映画 監督リチャード・ヒューズ ネタバレあり 来るオリンピック期間に殆ど映画が観られないことを前提に最近短い作品なら何でも手を出して本数を稼いでいる。鑑賞本数を増やす気はないものの、観ないことには記事が書けない。毎日記事を書くのがブログ開始以来のモットーだ。  “何でも” と言う…
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映画評「銀河鉄道の父」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2023年日本映画 監督・成島出 ネタバレあり 宮沢賢治の生涯を父親・政次郎の立場から描く伝記映画である。原作は2017年度(下半期)に直木賞を受賞した門井慶喜の同名小説。 代々質屋(実際は古着屋らしい)を営む政次郎(役所広司)とイチ(坂井真紀)の長男に生まれた賢治(菅田将暉)は秀才ながら、…
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映画評「大名倒産」

☆☆★(5点/10点満点中) 2022年日本映画 監督・前田哲 ネタバレあり 浅田次郎の時代小説の映画化。前田哲監督は色々なタイプの作品を商業映画のラインに沿って悪くても最低限の仕事をするが、本作は僕の映画観に合わない。 越後丹生山藩。鮭売り小四郎(神木隆之介)が、実は隠居することを決めた藩主(佐藤浩市)が使用人なつ(宮…
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映画評「ハンガー・ゲーム0」

☆☆(4点/10点満点中) 2023年アメリカ映画 監督フランシス・ローレンス ネタバレあり 我が邦の「バトル・ロワイアル」(2000年)と西洋人がお好きな闘技場ものを合体させたようなYA小説を映画化した人気シリーズのビギニング。悪役的な位置にあるスノウ大統領の少年時代(と言うと子供みたいだが、一般的には若い青年と言われる二十…
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