映画評「侍タイムスリッパー」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2024年日本映画 監督・安田淳一 ネタバレあり 自主映画が大ヒットという点で「カメラを止めるな!」を彷彿とする。  邦画がやたらに作りまくっているタイムスリップものであるのは少々食傷気味ながら、現在の若者が時代を往復することで成長するといった型通りの趣向ではなく、過去から現在にやって来るパタ…
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映画評「ぼくが生きてる、ふたつの世界」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2024年日本映画 監督・呉美保 ネタバレあり 2年前に「コーダ あいのうた」という米=仏=加合作の映画(実はフランス映画「エール!」のリメイク)を観た時、音楽用語のコーダと勘違いして、最後に大きな転調でもある音楽絡みの映画かと想像した。  音楽用語のコーダは、それまで用いられなかった主題を使…
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映画評「フォールガイ」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2024年アメリカ=オーストラリア=カナダ合作映画 監督デーヴィッド・リーチ ネタバレあり 1968年のイタリア映画「スタントマン」はまるで大したことがなかったが、1980年のアメリカ映画「スタントマン」はなかなか面白かった。但し、アクションを見せるタイプの映画ではなく、その意味では1978年の「…
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映画評「天国の日々」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 1978年アメリカ映画 監督テレンス・マリック ネタバレあり アメリカの長谷川和彦状態だったテレンス・マリックは,、1998年「シン・レッド・ライン」で20年ぶりに復活すると、観念的で解りにくくなった感はあるけれども積極的に作品を作るようになった。  本作が「シン・レッド・ライン」の前作だ。恐…
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映画評「キングダム 大将軍の帰還」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2024年日本映画 監督・佐藤信介 ネタバレあり 原泰久の手になる原作コミックの長さを知らないので、どのくらいシリーズが続くのか見当もつかないが、このスロー・ペースでは暫く続くのだろう。 この第4作は、敵将をやっつけたと思って大喜びの秦軍・飛信隊の前に、趙国の秘密兵器たる将軍・龐煖(ほうけん…
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映画評「太陽の少年」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 1994年中国=香港合作映画 監督チアン・ウェン ネタバレあり 「紅いコーリャン」で知る人ぞ知る存在になったチアン・ウェンが監督に進出して作った青春(回顧)映画である。原作は王朔の小説。 観たような気もしていたが、内容に全く心当たりがないので、初鑑賞と判った。 1970年代、下方政策…
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映画評「悪は存在しない」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2023年日本映画 監督・濱口竜介 ネタバレあり 濱口竜介は、時に即興演出も交えるセミ・ドキュメンタリーの監督と言えると思う。本作も4分の3くらいまではそのスタイルを維持するが、最後の一幕で突然神話になり、びっくりした。新境地だろうか? ある山村に芸能事務所の余業(助成金に関連があると噂さ…
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映画評「あんのこと」

☆☆☆☆(8点/10点満点中) 2024年日本映画 監督・入江悠 ネタバレあり 社会派映画の要素が多くあるが、僕は青春映画という人間劇の一ジャンルの映画と理解しておく。  監督が「SR サイタマノラッパー」(2009年)で名前を上げた入江悠だから、ハンディカメラを駆使したセミ・ドキュメンタリー・タイプの作品となっている。ある…
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映画評「夏の嵐」(1956年日)

☆☆☆★(7点/10点満点中) 1956年日本映画 監督・中平康 ネタバレあり 二日続けて中平康監督作品。僕が瞠目した「狂った果実」と同年に発表された初期の青春映画で、かの作品と似ているところもある。  フランス的なヌーヴェル・ヴァーグは日活映画から始まったと言っても良いくらいだが、総合的に本作には「狂った果実」ほどの鮮烈な…
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映画評「殺したのは誰だ」

☆☆☆(6点/10点満点中) 1957年日本映画 監督・中平康 ネタバレあり 中平康はご贔屓だが観ていない作品も多い。  新藤兼人とのコンビ作では、「狙われた男」(1956年)という、アルフレッド・ヒッチコックを少し想起させるミステリー・サスペンスの小傑作があるので、題名からそのようなタイプの作品を期待したが、その意味では期…
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映画評「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2024年日本映画 監督・古賀豪 ネタバレあり 小学生の時にTVアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」を観ながら、目玉おやじの息子・鬼太郎はどうして目玉人間ではないのか疑問に思ったものである。その謎も解る鬼太郎誕生に至るまでの怪談。 横溝正史の金田一耕助シリーズにも似たおどろおどろしい龍賀一族が支配する…
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映画評「毛皮のビーナス」(1969年)

☆☆(4点/10点満点中) 1969年イタリア=西ドイツ合作映画 監督マッシモ・ダラマーノ ネタバレあり マゾヒズムの語源となったオーストリアの作家ザッハー=マゾッホの代表作の映画化。 2016年にロマン・ポランスキーがマゾッホをテーマにした映画「毛皮のヴィーナス」を観た時は原作が群馬県の図書館になく、読んでいなかったが…
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映画評「ヒットマン」(2023年)

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2023年アメリカ映画 監督リチャード・リンクレイター ネタバレあり リチャード・リンクレイターはこのところコメディーづいているようである。 大学で心理学を教えながら、警察に協力するゲイリー・ジョンスン(グレン・パウエル)が、暴力事件の為に休職に追い込まれた前任者ジャスパー(オースティン・…
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映画評「マッドマックス:フュリオサ」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2024年オーストラリア=アメリカ合作映画 監督ジョージ・ミラー ネタバレあり 昔から核戦争後SFの類はどうも食指が動かない。「渚にて」(1959年)のように静かなものは良いが、幾つかの集団が対立する類はとりわけ好かない。  カーアクションが好きだったから大学生時代に紹介された第1作目には期待し…
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映画評「ハロルド・フライのまさかの旅立ち」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2023年イギリス映画 監督ヘッティ・マクドナルド ネタバレあり ポール・マザースキーの秀作「ハリーとトント」(1974年)とロバート・ゼメキス監督「フォレスト・ガンプ/一期一会」(1994年)を思い出させる。両方を合わせて適度に換骨奪胎するとこんな感じになると思わせる人情譚だ。 題名の名…
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映画評「瞳をとじて」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2023年スペイン=アルゼンチン合作映画 監督ビクトル・エリセ ネタバレあり 先日NHK-BSが「エル・スール」を放映したのは、ビクトル・エリセのこの新作が(長編劇映画としては)31年ぶりに発表されて、昨年日本でも公開されたということと関係しているのだろうか。 劇中劇から始まる。  この…
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映画評「ゴッドランド/GODLAND」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 2022年デンマーク=アイスランド=フランス=スウェーデン合作映画 監督フリーヌル・パルマソン ネタバレあり フランスとスウェーデンが製作国に加わっているが、実質的にはデンマークとアイルランド二国の映画と言うべし。一国に絞るのであれば、脚本を書き、監督も担当したフリーヌル・パルマソンがアイスラン…
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映画評「ブリーディング・ラブ はじまりの旅」

☆☆☆(6点/10点満点中) 2023年アメリカ映画 監督エマ・ウェステンバーグ ネタバレあり 四十代の男性ユアン・マクレガーと二十歳くらいの娘クララ・マクレガーが男の運転する車で西部の田舎を旅している。親子だろうという推測は勿論正解だったが、余り似ていないと思いつつ観ていた。ところが、親子を演ずる二人は苗字でも解るように本当…
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映画評「RHEINGOLD ラインゴールド」

☆☆★(5点/10点満点中) 2022年ドイツ=イタリア=オランダ合作映画 監督ファティ・アキン ネタバレあり ラップは歌と似て非なるものと思う。どちらかと言えば文学そして韻文の一ジャンルなのだろうが、そこへ歪な形で音楽が絡んで来るからどうも変てこな格好になっている。とにかくコアなラップは僕にとって音楽ではなく、歌とは違う形で…
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映画評「リオ・グランデの砦」

☆☆☆★(7点/10点満点中) 1950年アメリカ映画 監督ジョン・フォード ネタバレあり ジョン・フォードの騎兵隊3部作の最後の作品。「黄色いリボン」を飛ばして再鑑賞することにした。  と言うのも、第1作「アパッチ砦」に出て来たジョン・ウェインのカービー・ヨークが大尉から中佐に昇進して再登場、明らかな続編として作られている…
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