映画評「4人の食卓」
☆☆★(5点/10点満点中)
2003年韓国 監督イ・スヨン
ネタバレあり
成立しない手法でだらだらと語りつづけた「箪笥」に比べれば、最初から最後まで心理ホラーとして一貫して見られるだけ大分ましと言って良い。しかし、128分は長い。
地下鉄で母親による姉妹毒殺事件の被害者を見てしまったインテリアデザイナー、朴シニャンは、婚約者が持ち込んだ椅子に姉妹の亡霊が座っているのを見る。また、彼は目の前で気を失った女性チョン・ジヒョンを自室で介抱するが、気がついた彼女もまた亡霊を見るのである。 朴には7歳以前の記憶がなく、この怪現象の意味を知るべく彼女に相談する。結果彼女は彼の昔のおぞましい記憶を呼び起こしてしてしまうのだが、親しくなった主婦に自分の子供をマンションから墜落死させられて以来眠り病になり精神を病んだ彼女は、遂に、自らの正しさを証明すべくマンションから飛び降りてしまう。彼は遂に三人の亡霊に囲まれることになる。
心理ホラーでもわが国の「CUREキュア」などは底知れぬ恐怖を味あわせてくれて感嘆したものだが、そのレベルには程遠い。明らかに無駄と言えそうな場面は余りないが、もう少し交通整理はしたほうが良い。
一つだけ抜群に上手いと思えたのは、友人が子供をマンションから落とす場面の繰り返しである。最初の場面で観客は友人が自らの子供を落としたと思う。繰り返された場面では子供が二人で遊んでいる。落とされた子供はジヒョンの子供だったと分からせる、という作り方が巧みに為されている。卑怯ではない騙しのテクニックである。
それとジヒョンには全て落下が絡んでいるという辺りも良い。落下した女と目が合ったという怪異現象、子供の墜落死、友人の飛び降り自殺未遂、そして自らの墜落死。彼女が死んだのも朴に「墜落した女と目が合った」ことが事実であると証明する為だったのである。
朴には子供の死がついて回る。少年時代の幼児の死、毒殺事件、そしてジヒョンの子供である。こうした統一感はなかなか見事であり、他の韓国恐怖映画と一線を画す。
2003年韓国 監督イ・スヨン
ネタバレあり
成立しない手法でだらだらと語りつづけた「箪笥」に比べれば、最初から最後まで心理ホラーとして一貫して見られるだけ大分ましと言って良い。しかし、128分は長い。
地下鉄で母親による姉妹毒殺事件の被害者を見てしまったインテリアデザイナー、朴シニャンは、婚約者が持ち込んだ椅子に姉妹の亡霊が座っているのを見る。また、彼は目の前で気を失った女性チョン・ジヒョンを自室で介抱するが、気がついた彼女もまた亡霊を見るのである。 朴には7歳以前の記憶がなく、この怪現象の意味を知るべく彼女に相談する。結果彼女は彼の昔のおぞましい記憶を呼び起こしてしてしまうのだが、親しくなった主婦に自分の子供をマンションから墜落死させられて以来眠り病になり精神を病んだ彼女は、遂に、自らの正しさを証明すべくマンションから飛び降りてしまう。彼は遂に三人の亡霊に囲まれることになる。
心理ホラーでもわが国の「CUREキュア」などは底知れぬ恐怖を味あわせてくれて感嘆したものだが、そのレベルには程遠い。明らかに無駄と言えそうな場面は余りないが、もう少し交通整理はしたほうが良い。
一つだけ抜群に上手いと思えたのは、友人が子供をマンションから落とす場面の繰り返しである。最初の場面で観客は友人が自らの子供を落としたと思う。繰り返された場面では子供が二人で遊んでいる。落とされた子供はジヒョンの子供だったと分からせる、という作り方が巧みに為されている。卑怯ではない騙しのテクニックである。
それとジヒョンには全て落下が絡んでいるという辺りも良い。落下した女と目が合ったという怪異現象、子供の墜落死、友人の飛び降り自殺未遂、そして自らの墜落死。彼女が死んだのも朴に「墜落した女と目が合った」ことが事実であると証明する為だったのである。
朴には子供の死がついて回る。少年時代の幼児の死、毒殺事件、そしてジヒョンの子供である。こうした統一感はなかなか見事であり、他の韓国恐怖映画と一線を画す。
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