映画評「ドーン・オブ・ザ・デッド」

☆☆(4点/10点満点中)
2003年アメリカ映画 監督ザック・スナイダー
ネタバレあり

かなりファンの多い「ゾンビ」のリメイクだが、オリジナルに拒否反応を示した僕としてはこちらの方が遥かに上出来である。最大の理由は、人間の臓物を食べる場面が全くないこと。続いて、つまらない風刺性がないことで、直線的にゾンビとの戦いとそれからの闘争を描いて、映画的にぐっとコンパクトになっているのは有難い。

ただ、ゾンビものにはドラキュラと違い疑問が付きまとう。
 吸血鬼は全てが吸血鬼になると困ることを知っているのでむやみに食いつかない。そこにスリルが生まれる一要因がある。対し、ゾンビは頭がスカスカだからお構いなく襲う。彼らはまともな人間を襲うことで生きながらえているようだが、人間を襲えなくなった時は吸血鬼のように滅びるのだろうか? もうそうだとしたら、ねずみ算式に増えていったらあっという間にゾンビは滅びる。頭を吹っ飛ばしたら死ぬというが、撃てる弾には限りがある。多分実際にこんなことが起きれば1ヶ月で人類は滅びるであろう。そんなことを考えていたら、いっそ抵抗などせずに早く襲われてしまえば良いと思い、登場人物の懸命の戦いも空しいものに思えてくる。

オリジナルと共通する、ショッピングモールを西部劇の砦に見立てた発想は悪くないが、抜群ではない。主演者ではサラ・ポリーが唯一知った顔である。

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