映画評「チャップリンの黄金狂時代」
☆☆☆☆☆(10点/10点満点中)
1925年アメリカ映画 監督チャールズ・チャップリン
ネタバレあり
「街の灯」「モダンタイムス」には感激したものだが、チャップリンの最高傑作とも言われるこの作品の真価は、今までなかなか理解できなかった。尤も、作品を見る環境が悪かったのかもしれず、今回はかなりのところまで理解できたのではないかと思う。
アラスカで金鉱発掘を夢見るチャップリンが何とか山小屋にたどり着いて安心するのも束の間、指名手配犯が先に居座っていて猟銃で脅される。そこへ金鉱を発見したばかりの男も舞い込み、彼がなかなか喧嘩が強かった為に3人で仲良く過ごそうということになるのだが、一方の扉から吹き込んできた猛烈な風でもう一方の扉から外に飛び出してしまうギャグの連続。
食料が尽きて指名手配の男が食料を探しに出るが、その間にチャップリンは金鉱男に鶏と間違えられ食べられそうになったり、靴を煮て食べようとする。貧しい身なりにも拘らず皿の汚れをきちんと取り、あくまで紳士的に振舞う場面の愛おしさよ。
熊をしとめて腹ごしらえをしたチャップリンは町へ戻り、サルーンの踊り子ジョージア・ヘールに一目ぼれ。運命のいたずらで誤解が二人を再会させるのだが、彼女はチャップリンがこっそり持っていた彼女の写真を発見して心打たれながらも他の女二人と嘲笑する、という場面の木目細かさ、そして何と残酷なことか。
指名手配犯に殴られて記憶を失った金鉱男は再会したチャップリンに小屋に案内してもらう。小屋が崖まで移動してしまってのお笑いの後、場面は富豪になった二人を映し出す。写真撮影の為に浮浪者の格好になったチャップリンが密航者と間違えられ、三等船客として偶然乗り合わせたジョージアに庇ってもらう。そして、大団円。
完全なハッピーエンドはチャップリンには極めて珍しい。
これは大分後になってチャップリン自身が再編集してナレーションまでした作品で、先輩たちが感心したバージョンとは些か違うが、上映時間が70分に切り詰められあっという間に終わってしまう。このストレートな面白さが映画としての価値なのである。
1925年アメリカ映画 監督チャールズ・チャップリン
ネタバレあり
「街の灯」「モダンタイムス」には感激したものだが、チャップリンの最高傑作とも言われるこの作品の真価は、今までなかなか理解できなかった。尤も、作品を見る環境が悪かったのかもしれず、今回はかなりのところまで理解できたのではないかと思う。
アラスカで金鉱発掘を夢見るチャップリンが何とか山小屋にたどり着いて安心するのも束の間、指名手配犯が先に居座っていて猟銃で脅される。そこへ金鉱を発見したばかりの男も舞い込み、彼がなかなか喧嘩が強かった為に3人で仲良く過ごそうということになるのだが、一方の扉から吹き込んできた猛烈な風でもう一方の扉から外に飛び出してしまうギャグの連続。
食料が尽きて指名手配の男が食料を探しに出るが、その間にチャップリンは金鉱男に鶏と間違えられ食べられそうになったり、靴を煮て食べようとする。貧しい身なりにも拘らず皿の汚れをきちんと取り、あくまで紳士的に振舞う場面の愛おしさよ。
熊をしとめて腹ごしらえをしたチャップリンは町へ戻り、サルーンの踊り子ジョージア・ヘールに一目ぼれ。運命のいたずらで誤解が二人を再会させるのだが、彼女はチャップリンがこっそり持っていた彼女の写真を発見して心打たれながらも他の女二人と嘲笑する、という場面の木目細かさ、そして何と残酷なことか。
指名手配犯に殴られて記憶を失った金鉱男は再会したチャップリンに小屋に案内してもらう。小屋が崖まで移動してしまってのお笑いの後、場面は富豪になった二人を映し出す。写真撮影の為に浮浪者の格好になったチャップリンが密航者と間違えられ、三等船客として偶然乗り合わせたジョージアに庇ってもらう。そして、大団円。
完全なハッピーエンドはチャップリンには極めて珍しい。
これは大分後になってチャップリン自身が再編集してナレーションまでした作品で、先輩たちが感心したバージョンとは些か違うが、上映時間が70分に切り詰められあっという間に終わってしまう。このストレートな面白さが映画としての価値なのである。
この記事へのコメント
やっと帰った時は出勤する時間だった・・・。30年前ぐらいに観た
殺人狂時代を又観てみました。残酷な映画なのに、その場面は出ず、
ユーモアのなかにも哀しさがただよい、すばらしい映画でした。
「殺人狂時代」は、人間喜劇の傑作ですね。人間喜劇というのは実は悲劇に用いられる表現。神の目から見れば人間のいかなる営みも喜劇的なものといった意味です。札を数えるチャップリンの早業、見事でした。
「街の灯」はご覧になっていますか? 私はこれが一番好きなチャップリンかもしれません。ロマンティックで可笑しくて哀しくて。
「チャップリンの独裁者」「ライムライト」「モダンタイムス」も良いです。偉大な映画作家でした。
私も『街の灯』が一番好きです(*^_^*)
「街の灯」は昨日放映されましたね。勿論DVDを作りました。ゆっくり時間を取って、また、観ましょう。
それでは、また~。
いつも読み逃げしているんですが、TBもいつも撥ねられるのでコメントも遠慮しておりました。
70年代のリバイバル・ブーム以来の久しぶりの鑑賞で、忘れていたロールパンのダンスが懐かしかったです。「モダン・タイムス」「街の灯」など、嬉しい再会を楽しんでおります。チャップリンのナレーションが不評のようですが、私は気になりませんでした。
TB出来ませんでしたのでアドレスを。
黄金狂時代。
いや、ご遠慮なくコメントください。TBはこちらが貼り付けると出来る場合もありますので、トライしてみてください。
ナレーションについては、私も特に問題なかったです。
WOWOWで準新作を観るのに忙しくて、旧作は月に5,6本がやっとですので今回のチャップリン(DVDにて新規に保存)もいつになったら観られるやら。
またお越しくださいね。こちらも寄らせて戴きます。
「黄金狂時代」
<チャップリンの最高傑作とも言われるこの作品の真価は、今までなかなか理解できなかった
私も同様で、今回の特集でまとめて彼の作品を見れば、より「黄金狂時代」の良さが再確認できるだろうと、全作品が見れるのを楽しみにしてます。
私は最近この作品を評する時、「娯楽に徹した結果芸術にまでなってしまった映画」という形容を使っています。スピルバーグの「激突!」や一連のヒッチコック秀作群もそんな感じがしています。
私はまだまだこの作品の真価を理解できていないようです。他の一連のチャップリン作品も見直した上で再鑑賞してみたいと思います(もっとも、大方の原因はあの音声にあるだろうなと思っているのですが)。チャップリン作品のおかしさの影からちらちらと見える悲しさや残酷さ、このあたりの配合は絶妙ですね。
FC2とは元々そういう傾向もあるんですよ。でも入るところもあるし、一つだけ入るということもあるし、不安定要素が高いです。
Livedoor(TB返しは出来る)や最近はamebloが全く駄目になりました。依然文字化けしgooは最近絶好調です。
以前より大分解ったと言えるのですが、「街の灯」のほうがピンと来るなあというのは正直なところ。直球なんでしょうね。「黄金狂」は直球のようで、ちょっと曲がるカットボール?(笑)
ナレーションの問題も確かにあるでしょうが、私にはさほど問題ではなかったですね。