映画評「0の決死圏」
☆☆(4点/10点満点中)
1969年アメリカ映画 監督J・リー・トンプスン
ネタバレあり
ソ連の脅威が若干遠のいた1960年代末米国は中国を新たな脅威として見なしていたので、こういう変てこな作品もできた。
バイオテクノロジーの権威グレゴリー・ペックが、恩師である中国の教授が開発したらしい謎の酵素の分子構造を探るという命令を受け、頭に無線機を埋め込まれて中国に潜入する。潜入と言っても名のある教授でもあり、自国の教授で弟子でもある彼は賓客として歓迎されるのだが、実態は虜である。恩師は紅衛兵の脅威にさらされ自殺してしまい、ペックは先生が残した書物を手に地雷が無数に埋め込まれた荒野を逃れるが、高圧線を前に立ち止まるしかない。しかも彼の頭脳に埋め込まれた無線機は爆弾でもあり、政府はスイッチに手を掛けかける。
といった話で、荒唐無稽も甚だしい上に、ペックと毛沢東がピンポンをする場面は映画史に残る珍場面であろう。
興味深い点もある。ソ連と組むという設定は面白いし、何より「主席の証明書があっても意味がない」という教授の言葉は、毛沢東の権威が事実上失墜していた文革時代の実態をうまく反映していると思う。骨格をきちんと作れば珍作にならずに済んだのだが。
1969年アメリカ映画 監督J・リー・トンプスン
ネタバレあり
ソ連の脅威が若干遠のいた1960年代末米国は中国を新たな脅威として見なしていたので、こういう変てこな作品もできた。
バイオテクノロジーの権威グレゴリー・ペックが、恩師である中国の教授が開発したらしい謎の酵素の分子構造を探るという命令を受け、頭に無線機を埋め込まれて中国に潜入する。潜入と言っても名のある教授でもあり、自国の教授で弟子でもある彼は賓客として歓迎されるのだが、実態は虜である。恩師は紅衛兵の脅威にさらされ自殺してしまい、ペックは先生が残した書物を手に地雷が無数に埋め込まれた荒野を逃れるが、高圧線を前に立ち止まるしかない。しかも彼の頭脳に埋め込まれた無線機は爆弾でもあり、政府はスイッチに手を掛けかける。
といった話で、荒唐無稽も甚だしい上に、ペックと毛沢東がピンポンをする場面は映画史に残る珍場面であろう。
興味深い点もある。ソ連と組むという設定は面白いし、何より「主席の証明書があっても意味がない」という教授の言葉は、毛沢東の権威が事実上失墜していた文革時代の実態をうまく反映していると思う。骨格をきちんと作れば珍作にならずに済んだのだが。
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