映画評「スクール・オブ・ロック」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2003年アメリカ映画 リチャード・リンクレイター
ネタバレあり

観念的アニメ映画「ウェイキング・ライフ」を作ったかと思えば一幕劇風心理サスペンス「テープ」を作るリチャード・リンクレイターが今度は一転してコメディーに挑戦。この作品の成功のせいだろう、リメイク映画「がんばれベアーズ」の監督も担当している。

自ら結成したバンドから追い出され、家賃の返済もままならぬジャック・ブラックが家主でもある友人マイク・ホワイトにかかってきた電話に出、彼になりすまして代用教員として私立小学校に乗り込む。生徒に音楽の才能があると知るや、全ての授業をロックを教える時間に変えてしまう。言葉巧みにロックをやる意義を説き、自由の楽しさを知った生徒も上達するにつれ生き生きとしていく。

といったお話だが、面白いつまらないを別にして、前評判を考えると肩透かしを食った印象である。ロックという反体制的で自由指向のものと、(ピンク・フロイドの「ザ・ウォール」ではないが)壁に囲まれた教育現場という、半ば矛盾する対象を結び付けようとした狙いは良しとしよう。しかし、結局教育の場で何かをやろうとしている以上、自由を標榜するブラック先生からも自ずと教育的な匂いが漂い出してくるのを感じずにはいられず、どうも居心地が悪い。僕の印象では矛盾を克服したとは思えないのである。勿論これば僕の感覚であって、他の方の高評価と相容れないものではない。

さらに、生徒の発案で重病の子供たちと偽ってバンド・バトルへ出場する権利を得るというアイデアは、いかにコメディーとは言え、ロック的でも教育的でもなく感心しない。いざ子供たちの演奏が始まると抗議にかけつけた親たちも受け入れてしまう、という幕切れの、いかにもハリウッド流の調子の良さにも白けるものがある。流行り(?)の言葉で言えば、予定調和的なのである。そして小学生にロックは似合わない。ロックはやはりある程度年齢が進んで自分の意志でやるのが順当のようだ。
 しかし、様々な人のご指摘のあるように、生徒たちに選んであげた楽曲のセンスは良い。特に我がご贔屓ピンク・フロイドの「虚空のスキャット」には納得。

因みに僕の出身高校では音楽の期末テストは自由課題で、「レット・イット・ビー」を弾き語る者もいれば、ボブ・ディランについて語る者もいた。僕は映画におけるクラシック音楽について作文を書き一通り説明をした。良き思い出です。

この記事へのコメント

豆酢
2008年04月04日 15:03
プロフェッサーが「セントルイス銀行強盗」をご覧になってるといいなあと思っておれば。
こんなお宝発見(笑)。大昔に拙宅で書いた記事を持ってきました。予定調和ちゅうたら予定調和ですけどね(笑)。ブラックの暑苦しさが一番かっこよく見えた、得がたい映画であることは確か。
ブラック先生のロック・薀蓄振りがちょっとばかし鼻につくのですが、それもこれも彼のロック愛だと思えばかわいいもんです。
オカピー
2008年04月04日 22:57
豆酢さん、こんばんは!

>セントルイス銀行強盗
出世前のマックィーンですか。
見とらんです。^^
チャンスがあれば忘れずに観ますね。

>予定調和
本来哲学用語に付きこの意味では使いたくないので、敢えて<流行りの>なんて枕詞を付けました。^^
評判が良すぎて期待したせいか、その反動と言うこともないでしょうが、水準プラスαくらいの作品としか思えなかったなあ。^^;

こういう楽しい作品ですから、子供が嘘をついて出場権を勝ち取るシーンは<なくもがな>でした。
しゅぺる&こぼる
2009年01月10日 13:16
これはやっぱり理屈抜きで楽しかった。
まあ、ウソをついてバンドコンテストに出るというところは、そりゃ感心はできませんよね。同じウソをつくのでももう少しちがう理由にしたら受ける印象はちがうかもしれませんけど・・・
親達もロックに眉をしかめる時代じゃなくなってるってことなのかもしれませんね。わたしはロックというよりは、こういうベタな音楽コメディが大好きなので
基本甘いです。(笑)
「ブルース・ブラザーズ」や「天使にラブソングを」も思い出してました。
脚本も書いてるのほほ~んとお人よしの隣人マイク・ホワイト、いい味出してますね。(笑)
オカピー
2009年01月10日 18:41
しゅべる&こぼるさん、こちらへもようこそ。

僕は理屈つけて観ちゃった。

世の中の評判が良すぎて、僕はもう少し反動的なのかなあと思っていざ見始めたら極めて常識的だったので、すかしをくらったようでした、当時。
反動的な作りなら「嘘をついて出場権を得る」という展開も整合性があるんだがなあ、などと思った記憶がありますね。

もう4年くらい前ですので、こんな歯に物が挟まった言い方になっています。

>基本甘いです。(笑)
砂糖人間ならで、理屈で観て理屈で考える左脳人間ですので(爆)、「ブルース・ブラザーズ」も最後の追っかけなんかもっと整理できないか、なんて冷静に観てしまって・・・音楽は格好良かった。
続編はダメでしたが、「天使にラブソングを」は面白かった記憶がありますね。

>マイク・ホワイト
別の作品の脚本が今一つだったので、役者に専念したらと思ってしまいました。
どうも年の始めから毒がきつくてすみません。<(_ _)>

この記事へのトラックバック

  • My Life as …“Rock’n Roll!”―「スクール・オブ・ロック」

    Excerpt: 教師のペットでいたけりゃ何もかもあきらめな! スクール・オブ・ロック スペシャル・コレクターズ・エディションパラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパンこのアイテムの詳細を見る 「スクール・オ.. Weblog: 豆酢館 racked: 2008-04-04 14:59
  • 【映画】スクール・オブ・ロック

    Excerpt: ギタリストのデューイはロックを全身全霊で愛する男だったが、その熱すぎる情熱と勝手なパフォーマンスが原因でバンドをクビになってしまう。家に戻れば、同居している友人ネッドとそのガールフレンドから家賃を払う.. Weblog: DOMANGOLIAN Blog racked: 2008-06-05 16:34
  • DVD 「スクール・オブ・ロック」    タイトルどおりの破天荒ストーリー

    Excerpt: タイトルから予想どおりの、典型的な映画だった。取り立てて特別なものはないが、テンポがいいので気持ち良く見せてくれる。 監督:リチャード・リンクレイター 主演:ジャック・ブラック Weblog: 朕竹林   ~映画とネットとモバイル機器な日々~ racked: 2008-09-08 23:17
  • スクール・オブ・ロック

    Excerpt: スクール・オブ・ロック スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD] ¥1,339 Amazon.co.jp 今年初映画はこどもたちと一緒に自宅でスクール・オブ・ロック! 実は.. Weblog: 愛情いっぱい!家族ブロ! racked: 2009-01-10 12:31