映画評「アメリカン・グラフィティ」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1973年アメリカ映画 監督ジョージ・ルーカス
ネタバレあり
本館の新コーナー「ポップス・イン・ムービー」の為に見直す。
この作品は映画音楽の分野で、「卒業」と同じくらい革命的な作品と思っている。全編に渡り40曲に及ぶオールディーズがかかるからで、踏襲した作品はイスラエル映画「グローイング・アップ」シリーズなどかなりの数に上るが、映画音楽らしい映画音楽が衰退する要因となったマイナス面としても記憶しなければならない。
カリフォルニア北部の高校を卒業した4人組が東部の大学へ進む二人の旅立ちを祝ってはしゃごうとしたものの、別々に行動することに。大学へ行くロン・ハワードは恋人と喧嘩、もう一人リチャード・ドライファスは偶然見かけた金髪美人を追い掛け回した挙句に何故か不良に一目置かれる。ポール・ルマットはませた少女を追い払うのに懸命、借りた車で威張るチャールズ・マーティン・スミスは気取った美人キャンディー・クラークを誘うのに成功するが、車を返す羽目になる。
夕方から旅立ちの日の朝方にかけての半日の4人の行動をスケッチ風に活写した青春映画の金字塔で、すべてに車をからませて統一感の醸成に成功、青春の第1ステップからの卒業をペーソスとユーモアを交えて描いたジョージ・ルーカスの才能はなかなかのものであった。
が、その後は「スター・ウォーズ」を作っただけで製作業に回っているのは実に勿体ない。「スター・ウォーズ」新シリーズでは監督に復帰したが、「アメ・グラ」のような一般映画も見てみたい気がする。
1973年アメリカ映画 監督ジョージ・ルーカス
ネタバレあり
本館の新コーナー「ポップス・イン・ムービー」の為に見直す。
この作品は映画音楽の分野で、「卒業」と同じくらい革命的な作品と思っている。全編に渡り40曲に及ぶオールディーズがかかるからで、踏襲した作品はイスラエル映画「グローイング・アップ」シリーズなどかなりの数に上るが、映画音楽らしい映画音楽が衰退する要因となったマイナス面としても記憶しなければならない。
カリフォルニア北部の高校を卒業した4人組が東部の大学へ進む二人の旅立ちを祝ってはしゃごうとしたものの、別々に行動することに。大学へ行くロン・ハワードは恋人と喧嘩、もう一人リチャード・ドライファスは偶然見かけた金髪美人を追い掛け回した挙句に何故か不良に一目置かれる。ポール・ルマットはませた少女を追い払うのに懸命、借りた車で威張るチャールズ・マーティン・スミスは気取った美人キャンディー・クラークを誘うのに成功するが、車を返す羽目になる。
夕方から旅立ちの日の朝方にかけての半日の4人の行動をスケッチ風に活写した青春映画の金字塔で、すべてに車をからませて統一感の醸成に成功、青春の第1ステップからの卒業をペーソスとユーモアを交えて描いたジョージ・ルーカスの才能はなかなかのものであった。
が、その後は「スター・ウォーズ」を作っただけで製作業に回っているのは実に勿体ない。「スター・ウォーズ」新シリーズでは監督に復帰したが、「アメ・グラ」のような一般映画も見てみたい気がする。
この記事へのコメント
タイトルの変更もつっぱね、最後に4人のその後のテロップも悪趣味だといわれ強硬に反対されても、彼等の一生を描きたいんだといって頑として譲らず、公開時に削られた5分のシーンを「スター・ウォーズ」成功後にビデオ発売がきまると削除された5分も戻したなんてこともルーカスらしいなって思うし、4人ともかっこよくなくって、ダサくって、ドラマティックでもなくて、それでもキャスティングだけで半年もかけたというから、彼の中では描こうとするテーマとヴィジョンが明確にあったんでしょうね。だから頑として妥協しない。
「激突!」のスピルバーグといい、本作のルーカスといい、功罪もあるけれどあやはり才能あるんだなって思う。
久々にオールディーズナンバー聞きながら、わが青春を反省交じりで重ね合わせました。
>テロップも悪趣味
一番最初とは言わないまでも、これも走りだったかもしれませんね。
>ダサくって
これはニューシネマ時代の特徴かもしれませんね。
アメリカの若者だって皆ジェームズ・ディーンやウォーレン・ビーティではない、ということが解ったのが60年代終わりから70年代でしょう。
>功罪
ルーカスの一番の罪は製作と商売にうつつを抜かしてメガフォンを長年取らなかったことと思います。彼を真似してすぐに製作に回る監督が増えて来て、助監督を経て映画監督という映画作りの伝統が廃れる要因を作りました(勝手な臆測)。
現在、アメリカは脚本家も監督も有名になるとコストが高いので、映画の現場を知らないCMやPV出身の新人監督ばかりになっているでしょう。これできちんとした映画が生まれる方がおかしい。
>才能
それは勿論ですよ。^^
「? 私?」と思ってきたら、私、ごめんなさいね。勝手にリンクさせていただいた了承をいただかなかったのを、すっかり失念しておりまして…!(ペコリ)。
>映画の現場を知らないCMやPV出身の新人監督ばかりになっているでしょう。
ですね。映像はなかなか見せてくれるけど、表層的な、観ているときはいいけれど観終わったら別段心に残るシーンはない。
>製作と商売にうつつを抜かして
映画グッズというのも最近やたら増えてますものね。
特典映像見ていて、ルーカスは見方によったら映画業界に風穴を開けたともいえるし、映画をマイナス面にも変えてしまったかもしれないなって思いながらみていた。本作でも彼は資金調達に奔走し、撮影28日間で昼は編集、夜は撮影、出来上がればユニバーサルからあれこれ横槍入れられ、フィルムもカットされと、ルーカス・フィルム立ち上げたのも分かりますけどね。
相方は、大学時代、卒業後もしばらくつるんでいた仲間とまたつるみ始め出したみたい。老後はまた彼らとあの頃みたいに我が家でマージャンするんでしょうね。彼もこの仲間が一番無邪気になれる時間じゃないのかな。ちなみにコメントの知人って相方(笑)。
無邪気な時間。この映画にはそんな無邪気に夢中になった時間そのものが濃密に描かれている。だから青春の思い出は違っても重なるんですよね、ルーカスってやっぱり鋭い視点持ってるなって思う。
>ルーカス・フィルム
スピルバーグでアンブリンだか何だか作りましたが、彼は自分の監督作もしっかり用意したところが感心でした。
>ワンランク下げた孝行
って何かと思ったら高校ですね。^^
群馬ではやはり最高の高校へ行かないと良い大学へはなかなか難しいので、県内最高偏差値の母校へ入学しましたが、受験勉強は程々でした。その頃は神童だったので(笑)。同じ調子で高校の中間テストを受けたらとんでもない点数だったので予習と復習をやり始めた、という感じ。
>4年間の自由が欲しくって
我が家は放任主義なので自由は求めたことはありません。従って、群馬大でも行けば多少は楽ができたかもしれませんが、良い学部がなかった(文学部志望)ことと映画が観たいという理由で、東京の国立大学を選びました。
>中学の方が断然面白くって、2次会3次会と夜中まで続いた
ピンポーン!
6年前の終戦記念日に行われた中学の同窓会は4次会までありました。僕は3次会で帰りましたが、それでも午前様。
続く。
当時この辺りの中学生は同級生間で通常は男子生徒に対しては「君」、女子生徒に対しては「さん」と呼ぶことが多くて、幼馴染なら「ちゃん」ですが、現在のように男も女も関係なく呼び捨てなんてことは(不良同士を別にすると)絶対ありませんでしたよ。
その感覚は大林宣彦の「時をかける少女」を見るとよく出ていますね。全くああいう感じ。
だから、最近のドラマで呼び捨てを聞くととどうにも抵抗があります。
>無邪気
なるほど~、そこに集約されますか。
都会に出ていた時期が暫くあったということもあり、僕にはシュエットさんのバーベキュー・グループのようなものには縁がないです。TT
>ちなみにコメントの知人って相方(笑)。
おおっ、同級生か。良いですね。
しゅべる&こぼるさんは、僕の相方が「初恋の人」ではないかと問うておりますが、勿論「そんなわけはありません」。
当時はうぶもうぶでとてもではないけど「告白」などできませんで、他クラスの男子が僕のマドンナにラブレターを渡したなんてニュースを聞くとその勇気が羨ましかったりしましたね。
自由が欲しいというのは、社会に出る前の猶予期間が欲しいっていう、そういう自由かな? 枠から出たかったっていう自由。我が家も自由放任とまではなくっても割に自由だったけど、とにかく学校とか家庭とっていうのに枠を感じたんですよね、当時は。
>おおっ、同級生か
はは!外れ! あちらは数年年上でございます!(笑)
>同じ調子で高校の中間テストを受けたらとんでもない点数だったので
この辺は同じだわ(笑)。
兄は国立へって父から言われてたから、やはりトップの高校だったけど、私には私学でもいいって言われたんでお気楽に。中学で勉強しなくてもずっと席次は同じだったから、高校もその調子だったら1年の最後は散々で、これはショックで真面目に勉強したら3年の担任が1年の時の担任で、成績の驚いてたわ。
国立だったら東京も行けただろうけれど、わたしなんかせいぜい二期校だもの地方って論外だし、どうも国立って性に合わない気がしてね(なんてね)私学に行きたかったの。
中学の同窓会がきっかけで、結構、気のあう人たちでつるむようになったけど、いいのか悪いのかわからないけど、仕事とか結婚とでも変わってない人ばかり。びっくりするくらい大きく変化した人っているでしょ?
こんな話に反応してまたまた長くなりました。
若いころを振り返るそういう年齢になったのかしらね。
>社会に出る前の猶予期間
何だか大人だなあ。(笑)
ものを欲しがったこともなく(小遣いもお年玉もなし)、1年間に5冊くらい好きな本(図鑑の類)でも買って貰えれば満足していたような人間で、しかも結構子供っぽいので、そんな難しいことは考えていなかったなあ。(笑)
「勉強しろ」と言われたこともないけどとんびが産んだ鷹だった(笑)ので、貧乏故に金銭的に厳しい私大ではなく国立を選びましたが、先日記事にも書いたように2年留年したので、迷惑をかけたと涙したこともあります。
>娘などになると、これは同級生の男の子にも呼び捨てです。
当然そうでしょうね。男同士はまだしも女生徒の呼び捨ては特に抵抗があるなあ(差別ですかね、笑)。
僕らも高校ではバンカラな気風故に基本的に呼び捨てでしたが、女の子まで呼び捨てにするようになったのは男子の「なくもがな」の模倣ですよね。
そもそも日本の小説がスムーズなのは男言葉と女言葉があるからで、これがなくなると小説も欧米同様一々「誰々が言った」などと書かなくてならなくなりまするな。
>変わってない人ばかり。
僕の知り合いも変わっていないなあ。
そもそも自分を見つめても十代から基本的に進歩していないのではないかと思います。肉体ばかり変わってギャップが凄い!
小学校からの同級生で、「心臓が悪い」と体育をずる休みする奴がやくざになっていたのにちょっとびっくりしたくらいで、人間味というものは案外変わらないものだなと思いますね。
>若いころを振り返るそういう年齢になったのかしらね。
現実が余りにも手詰まりということもあるのかもしれませんねえ。少なくとも僕はそうです。
僕は過去を探索してストレスなしにフラストレーションを解消したいのですが、なかなか上手く行かないです。(中学時代の)友だちを大事にしなかった付けが今回っているような気がします。