映画評「わが青春のマリアンヌ」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
1955年西ドイツ=フランス映画 監督ジュリアン・デュヴィヴィエ
ネタバレあり
ペーター・フォン・メンデルスゾーンの小説をジュリアン・デュヴィヴィエが脚色、映画化した幻想的な青春映画で、森と湖の美しさが印象に残る。再鑑賞作品。
森に囲まれた湖の横にある寄宿学校にアルゼンチンからひょっこり少年ピエール・ヴァネクが転校し、早速冒険隊の一員として隣の城に忍び込むが、犬に追われてしまう。が、動物を自在にコントロールする力のある彼だけは城に残ることができ、城に住む少女マリアンヌ・ホルトの夢のような美しさのとりこになってしまう。後日再び訪れると少女は強引に結婚させられることになっているが阻止できず、翌日城を訪れると陰も形もなくなって唖然とする。しかし、若者らしい情熱に駆り立てられた少年は少女を探し出すべく学校を去るのである。
前半は「さすらいの青春」(フルニエの「モーヌの大将」)と似た印象もあり、少年が風のように現れて消える設定はまるで「風の又三郎」である。神秘的な印象までそのまま。いずれにせよ、主人公の少年は実際の人物というより青春の象徴あるいは擬人化であるような気がする。幕切れで鹿の目の先に見えるのは彼の旅立ちであるし、原作者がこの人物に投影したのは若者の無謀さ、冒険心、そして情熱であろう。
1955年西ドイツ=フランス映画 監督ジュリアン・デュヴィヴィエ
ネタバレあり
ペーター・フォン・メンデルスゾーンの小説をジュリアン・デュヴィヴィエが脚色、映画化した幻想的な青春映画で、森と湖の美しさが印象に残る。再鑑賞作品。
森に囲まれた湖の横にある寄宿学校にアルゼンチンからひょっこり少年ピエール・ヴァネクが転校し、早速冒険隊の一員として隣の城に忍び込むが、犬に追われてしまう。が、動物を自在にコントロールする力のある彼だけは城に残ることができ、城に住む少女マリアンヌ・ホルトの夢のような美しさのとりこになってしまう。後日再び訪れると少女は強引に結婚させられることになっているが阻止できず、翌日城を訪れると陰も形もなくなって唖然とする。しかし、若者らしい情熱に駆り立てられた少年は少女を探し出すべく学校を去るのである。
前半は「さすらいの青春」(フルニエの「モーヌの大将」)と似た印象もあり、少年が風のように現れて消える設定はまるで「風の又三郎」である。神秘的な印象までそのまま。いずれにせよ、主人公の少年は実際の人物というより青春の象徴あるいは擬人化であるような気がする。幕切れで鹿の目の先に見えるのは彼の旅立ちであるし、原作者がこの人物に投影したのは若者の無謀さ、冒険心、そして情熱であろう。
この記事へのコメント
1960年代、中学生の頃、平日の夕方3時台から5時くらいまで、字幕付きで洋画を放送していまして、多分それで観たんじゃないかと思います。
だいたい、学校からまっすぐ帰ってきても3時半か4時前くらいにはなったと思うので、初めの半分近くは見られないんですね。
それに祖父母と同居していたので、相撲や歌舞伎のある時も観られなかったし、たまたま観られる状況の時のみでしたが、「道」やら「地下鉄のザジ」やら「灰とダイヤモンド」やら名画が目白押しでした。
難しいのやら古臭すぎる(中学生でしたから)のもあって、あまり覚えてないのもありますが。
あの番組は何だったんでしょうね? 民放だったような気がします。
それで、この映画ですが、当時流行っていたGSでブルーコメッツの「ブルー シャトー」とイメージがだぶるんですね。
森と~泉に~囲まれて~静かに眠る~ブルー、ブルー、ブルー シャトー~~~ ね、そのままでしょう?
作詞家、絶対この映画からインスパイアされてますよ!
結構体格のいい大人の役者がボーイスカウトみたいな半ズボンはいて少年役をやっているのと、お城の使用人の男が相撲取りの朝潮みたいな繋がり眉なのとで、ロマンティックというよりは何だかトンデモ系のイメージをもってしまって。
当時、朝潮はまだいなかったけど、とにかく変な映画を観たという記憶があります。
最初から見られなくても「道」や「灰と・・・」のラストシーン
は感動しました。 映像の力ですね。
>あの番組は何だったんでしょうね? 民放だったような気がします。
中学生から大学生くらいにかけて、NHK教育が日曜日の夜に戦前の欧米映画をかける【世界名画劇場】というのがありました。ひと月に一回だけでしたが、貴重品が観られましたねえ。
民放でそんな映画が見られましたか。良い時代だなあ。僕が映画を観るようになった頃は、昼間はマカロニ・ウェスタンと戦争映画ばかりでした。夜は多種多様な作品が見られました。吹き替えカット版ですが、それでも今ではまず観られない作品も多く有難かったなあ。
>当時流行っていたGSでブルーコメッツの「ブルー シャトー」と
>イメージがだぶるんですね。
作詞は橋本淳ですね。Wikipediaで調べると、1939年生まれですから映画が公開された頃16~17歳でもしかしたら見ていてかもしれません。
欧米映画に影響された日本の曲ってありますよね。思い出せませんが。
ポール・マッカートニーが売り出したメリー・ホプキンの「悲しき天使」Those Were the Daysを聴くと、「学生街の喫茶店」に影響を与えているのではないかと思ったりします。あちらは喫茶店ではなくtavern(バー)ですけど。
「ブルー・シャトウ」と言えば、♪森とんかつ~ 泉にんじん~ という替え歌が流行りましたよね。懐かしい。
>繋がり眉
アジアの中央部分にそういう民族がいますが、レッシングの芸術論「ラオコオン」を読んでいたら、トロイ戦争の原因になった絶世の美女ヘレネは繋がり繭寸前だったなどという表現が出て来て、面白かったですよ。
フジテレビ系列で毎日午後3時15分から5時まで放映された「テレビ名画座」のことですね。
CM以外、テレビ番組をほとんど観ない今と全く違って、鍵っ子でテレビっ子だった僕は、学校が休みの平日は、扇千景や新玉美千代、藤純子が司会していた主婦向けワイドショーを見てまして、「テレビ名画座」は、それらワイドショーの始まるちょっと前の時代だと思います・・。
当時はもちろん、知る由もありませんでしたが、「オルフェ 」 「制服の処女 」「会議は踊る」など 今ではWOWOWでもあまりやらないような名作ばかりを流す番組で、テレビ黎明期の業界人の気概を感じさせます・・。
なにしろ、当時の僕は小学生のちびっ子で、スカートめくりはやったものの大人の男女の性的な機微などわかるはずもない。
クラスでは「怪獣博士」の異名をとっていましたし、映画は中村錦之助と大川橋蔵の二大スター主演作品を交互にやる、土曜日の「お好み時代劇アワー」(たまに片丘千恵蔵 笑)のファン!
父親が買ってくるルビ付きの雑誌や、プロフェッサー同様、名作文学全集を読んでいたおかげで字幕は読めても、モカさんにさえ難しい洋画なんて飽きてしまってほとんど覚えてませんが、デュビビエの「にんじん」や 毎週見ていたポパイシリーズで有名な、フライシャー・スタジオの「バッタ君町に行く」「ガリバー旅行記」などは真剣に観ました。
フランソワーズ・アルヌールやジーナ・ロロブリジーダといった伝説クラスの女優の名は当時から知っていた変なこどもでしたね・・。
>ガロの「学生街の喫茶店」とメリー・ホプキンの「悲しき天使」
どちらも大好きな曲。
「時間は年老いたペテン師」という言葉がありますが、どちらも、過ぎ去った時を惜しむ歌・・。
前者が、友達以上恋人未満だったノンポリカップルとするならば、後者は全共闘世代の同志的男女の結末って感じですかね?(笑)
キーワードは「フジテレビ」と「名画座」だったんですね!
ありがとうございます。 検索したら色々情報が出てきました。
残念ながら、「名画を字幕で放映」といった立派な志があったというよりは、空いた時間の穴埋め目的だったようですが。
年寄りと同居していたのでテレビのチャンネル権なんかなくて、夕方は相撲や歌舞伎や落語なんかを観ることが多かったです。
で、その後ひょっこりひょうたん島を観て、それからアメリカ製のドラマやアニメを観て・・・いつ勉強していたのやら・・
下校時間を知らせる音楽放送が「エデンの東」だったので、いまだにあれを聞くと、放課後の祭りの後のような気分が蘇ってきます。
ということは、さっさと家に帰っていないから、そんなに数は見ていないはずですが、日曜洋画劇場とかとは違う本格的が映画っていう印象があります。
「学生街の喫茶店」 奇遇ですね~ ここ1週間ほど、これとザ・サベージの「いつまでも いつまでも」がマイブームでおやすみ前のひと時youtubeで聴いています。
>フジテレビ系列で・・・「テレビ名画座」
ふーむ、そんな番組がありましたか。
目的が何であろうと、民放の昼間の番組で字幕は凄い。映画館用のをそのまま持ってきたのかな?
僕は当時まだ昼間TVを見る習慣がなく、全く知りませんでした。
>どちらも大好きな曲。
「悲しき天使」を最近コンポでよく聴いていましてね、聴きながらそんなことを思ったわけですよ。
これは1968年当時からよく知っていた曲ですが、元はロシアの民謡的歌謡曲ですね。
>前者が、友達以上恋人未満だったノンポリカップルとするならば、
>後者は全共闘世代の同志的男女の結末って感じですかね?(笑)
そんなところでしょうか。
「悲しき天使」の闘いが政治的闘争を示すのか、人生における抽象的闘争なのか判然としませんが、そういう風に対照的に捉えると面白いですね。
>下校時間を知らせる音楽放送が「エデンの東」
やはり時代なのですかねえ。僕らの中学生時代は「荒野の用心棒」とか「夕陽のガンマン」なんてのがよく流されていました。
>「学生街の喫茶店」 奇遇ですね~ ここ1週間ほど、
>これとザ・サベージの「いつまでも いつまでも」がマイブーム
二曲とも僕の持っているCDの中に入っています。僕もたまに聴きますよ。
「学生街の喫茶店」はそれまでのグループ・サウンズとはまた違って新鮮でしたね。内容が通底するアリスの「青春時代」なんてのが続きましたなあ。
高校生のころから前橋の木馬というジャズ喫茶で、巨大スピーカーとにらめっこするように音楽を聴いていた僕は、ヘッドフォンがあまり好きではなくスピーカーで聴きたい。
しかし、ここ10年ほどで新築建売が増え、周辺が急に立て込んできた状況の我が家では無理・・。二階に立派なオーディオルームのあるプロフェッサーが裏山鹿です(笑)
音量MAXですと、床の材質の問題もありますし、アンプのボリューム半ばくらいまで出せて聴ければ最高にいいのですが・・。
>元はロシアの民謡的歌謡曲
「長い道」・・という曲。実は、ロシア語の元歌も歌えまして・。
メリー・ホプキン版が日本でヒットする少し前に、ソ連の教師と小学生から教わりました。
当時は冷戦中ですが、東側との教育目的の交流は盛んでして、ボーイスカウトだった僕は、ジャンボリー(ボーイスカウトの世界大会)で、ベレー帽を被ったソ連の金髪碧眼のガールスカウトの少女とこの曲を合唱!
子ども故、意味は分からずとも、巻き舌のR音や歯ぎしりするような「シ」の音もうまく出せていたんですよ(笑)
ソ連のボーイたちは、「さくらさくら」を歌って返礼。
「悲しき天使」いろんな歌手がカバーしてますが、レニングラード・カウボーイと赤軍合唱団が歌ったこの映像が一番好きです(同じ構成ですがちょっとずつ違うようです)
ニコ動https://www.nicovideo.jp/watch/sm6189669
ユーチューブhttps://www.youtube.com/watch?v=hPJIJx1dYk8
>ヘッドフォンがあまり好きではなく
細かく楽器を聴きとるのはヘッドフォンが良いですが、全体を聴くのはやはりスピーカーには敵わない。スピーカーは音像が大きいので、本物に近いです。その意味では、訊く音楽にもよりますが、大型スピーカーが理想。
>実は、ロシア語の元歌も歌えまして・。
そうですか。なかなか珍しいのでは?
>ボーイスカウトだった僕
皆さん、色々と体験されていうんですねえ。
辺鄙な田舎に住んでいた僕は、そういうのには縁がありませんでした。
>巻き舌のR音や歯ぎしりするような「シ」の音もうまく出せていた
前者はРですね。後者はШでしょうか? ロシア語を習うクラスメートの中にも苦労する人がいました。ЖやЧも難しいかな。
>レニングラード・カウボーイと赤軍合唱団が歌ったこの映像が一番好き
ふーむ、こんなことをやっていたんですか。知らなかったなあ。何だか楽しいですね。
>「カチューシャ」「ポーリュシカ・ポーレ」・「黒い瞳」等々
ロシア民謡は、AメロBメロは哀愁がいっぱいで、サビでは大いに盛り上がり胸を熱くしますね。サビでは合唱が似合います。
取引先のニチメンを通してロシア人数名とカラオケに行った時に、連中(そんな表現がぴったり)が「カチューシャ」を歌うのを聞きました。モノホンですよ(笑)