映画評「かまち」
この作品を観る前の僕の心境は尋常ではなかった。この作品の主人公である山田かまちは僕の高校の1年後輩であり、彼が現役で入っていたら同級生になっていたかもしれない人物だからである。そして、自分が青春を過ごした時代の、自分の生まれ育った環境に近い場所が、どう描かれるかということは単なる興味ということだけでは言い尽くされないものがあった。
という事情でいつもとは違う映画評の始まりとした。言わば、この作品に関しては映画評として作品を採点をする資格がないからである。参考までに、いつものように書いてみよう。
因みに、合格発表の日は、映画とは違い、雨が降っていた。涙雨にならぬように、父親に確認しに行ってもらったのでよく憶えている。久しぶりに観た教室は嬉しかったが、受験した当時は風が吹き抜ける老朽した木造校舎であった。
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2004年日本映画 監督・望月六郎
ネタバレあり
映画製作者は序盤は彼の中学3年から浪人1年にかけて重点的に描く。
が、40分後ビートルズのEP「プリーズ・ミスター・ポストマン」を介在して時代は2002年の現在に飛ぶ。彼が愛情を捧げ尽くした菅野さんというゼミの同級生にかまちがそのレコードを捧げ、彼女はそのレコードに思いがあったのである。
二つの時代の彼女がすれ違うトランジション・ショットを経て、現在ゼミの講師となっていた彼女が25年前の自分たちと同じようにゼミに通う、しかし、自分たちとは全く異なる宇宙人のような学生たちと文字通り戦っている模様と彼らの宇宙人のような生態が丁度40分描かれる。
この間カットバックもなくまるで別の映画を見せられているような印象もあり、かなり違和感を感じざるを得ないのだが、とにかく、かまち即ち我々が青春を過ごした時代との空気の違いに唖然としてしまう。
現在の若者は人との交流にコンピューターを通すことが多い。コンピューター(プラス携帯)を通した情報に操られ行動するしかない社会は魑魅魍魎の巣食う世界に見えて仕方がない。菅野先生(壇ふみ)が言う「あんたたちは嫌いよ」という意見は否定のしようがない。頭でっかちの耳年増で生(せい)を愛さない若者なんか大嫌いである。
そんなわけで、かまちの青春だけを描いた【フルかまちバージョン】が見てみたい気がする。21世紀の魑魅魍魎を見せられてしまい些か後味が悪くなったのが事実である一方で、かまちを描いた部分はもはや言葉にはならない。感動とは違う。ここだけなら星も付けられないのである。
という事情でいつもとは違う映画評の始まりとした。言わば、この作品に関しては映画評として作品を採点をする資格がないからである。参考までに、いつものように書いてみよう。
因みに、合格発表の日は、映画とは違い、雨が降っていた。涙雨にならぬように、父親に確認しに行ってもらったのでよく憶えている。久しぶりに観た教室は嬉しかったが、受験した当時は風が吹き抜ける老朽した木造校舎であった。
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2004年日本映画 監督・望月六郎
ネタバレあり
映画製作者は序盤は彼の中学3年から浪人1年にかけて重点的に描く。
が、40分後ビートルズのEP「プリーズ・ミスター・ポストマン」を介在して時代は2002年の現在に飛ぶ。彼が愛情を捧げ尽くした菅野さんというゼミの同級生にかまちがそのレコードを捧げ、彼女はそのレコードに思いがあったのである。
二つの時代の彼女がすれ違うトランジション・ショットを経て、現在ゼミの講師となっていた彼女が25年前の自分たちと同じようにゼミに通う、しかし、自分たちとは全く異なる宇宙人のような学生たちと文字通り戦っている模様と彼らの宇宙人のような生態が丁度40分描かれる。
この間カットバックもなくまるで別の映画を見せられているような印象もあり、かなり違和感を感じざるを得ないのだが、とにかく、かまち即ち我々が青春を過ごした時代との空気の違いに唖然としてしまう。
現在の若者は人との交流にコンピューターを通すことが多い。コンピューター(プラス携帯)を通した情報に操られ行動するしかない社会は魑魅魍魎の巣食う世界に見えて仕方がない。菅野先生(壇ふみ)が言う「あんたたちは嫌いよ」という意見は否定のしようがない。頭でっかちの耳年増で生(せい)を愛さない若者なんか大嫌いである。
そんなわけで、かまちの青春だけを描いた【フルかまちバージョン】が見てみたい気がする。21世紀の魑魅魍魎を見せられてしまい些か後味が悪くなったのが事実である一方で、かまちを描いた部分はもはや言葉にはならない。感動とは違う。ここだけなら星も付けられないのである。
この記事へのコメント
映画は観ていませんがいつだったかNHKかどこかでかまち特集をやっていて、かまちが想いを寄せて詩を捧げていた女の子が(菅野さんか?)彼の墓の前で「勘違いしないでよ、アンタの中で私の事を勝手に美化しているだけじゃない」といった意味の詩を読んでいて凄く正直な人だな~、と思った事があります。
・・・私でも相手が何者だろうが自分が好きでもない相手に美化されて祭り上げられたら気色悪く感じるでしょうねw。
私もこの映画を観ました。
自分の子どもも我が強い子に育って欲しいと思ったのを憶えています。
母親の「かまちはいろいろやる子ですから」と言っていたのがとても印象的で愛を感じました。