映画評「東京原発」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2004年日本映画 監督・山川元
ネタバレあり
大胆な発言で知られる東京都知事・役所広司が副知事ら重要人物を集めて「財政赤字を解消するために東京に原発を誘致する」と宣言したものだから、賛成派と反対派が白熱の議論を展開する。と言っても賛成派の知識は甚だ怪しいものだが、そこへ反対派が招いた大学教授が原発の恐ろしい実態を紹介する。賛成派の背筋も凍る日本における原発行政のお粗末さよ。
その一方で、東京湾から原発のある福井に向かって極秘裏にプルトニウムが運ばれることになっている。知事が都庁に呼ぼうとした男・益岡徹が指導をしている。
これにトラックの運転手、爆弾テロを起こそうとしている少年が絡むのだが、都庁の場面とのカットバックが上手く、呼吸が実に良いのに感心した。
運転手は転職したばかりの田舎もので、緊張からかやたらに酒をあおる。荷物がプルトニウムとも知らずに。静かに恐怖が醸し出される。それとは別にテロを起こそうとしている少年がこのトラックに目を付け爆弾を設置する。しかも拾った携帯からプルトニウムを積んでいることを知り、ライブ放送を敢行しろと脅迫、急ブレーキを踏んだ際に爆弾がセットされ、残すはあと1時間。
都知事も実は大人物で、わが国の原発の危機管理の甘さを日本国民に知らしめる為にあえて暴挙に出る、という真相も明らかになっていくのだが、核がらみのブラック・ユーモアとしては「博士の異常な愛情」にも劣らない。が、映画として価値があるのはそれ以上にやはり前半の呼吸である。
2004年日本映画 監督・山川元
ネタバレあり
大胆な発言で知られる東京都知事・役所広司が副知事ら重要人物を集めて「財政赤字を解消するために東京に原発を誘致する」と宣言したものだから、賛成派と反対派が白熱の議論を展開する。と言っても賛成派の知識は甚だ怪しいものだが、そこへ反対派が招いた大学教授が原発の恐ろしい実態を紹介する。賛成派の背筋も凍る日本における原発行政のお粗末さよ。
その一方で、東京湾から原発のある福井に向かって極秘裏にプルトニウムが運ばれることになっている。知事が都庁に呼ぼうとした男・益岡徹が指導をしている。
これにトラックの運転手、爆弾テロを起こそうとしている少年が絡むのだが、都庁の場面とのカットバックが上手く、呼吸が実に良いのに感心した。
運転手は転職したばかりの田舎もので、緊張からかやたらに酒をあおる。荷物がプルトニウムとも知らずに。静かに恐怖が醸し出される。それとは別にテロを起こそうとしている少年がこのトラックに目を付け爆弾を設置する。しかも拾った携帯からプルトニウムを積んでいることを知り、ライブ放送を敢行しろと脅迫、急ブレーキを踏んだ際に爆弾がセットされ、残すはあと1時間。
都知事も実は大人物で、わが国の原発の危機管理の甘さを日本国民に知らしめる為にあえて暴挙に出る、という真相も明らかになっていくのだが、核がらみのブラック・ユーモアとしては「博士の異常な愛情」にも劣らない。が、映画として価値があるのはそれ以上にやはり前半の呼吸である。
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