映画評「エレファント」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2003年アメリカ映画 監督ガス・ヴァン・サント
ネタバレあり
マイケル・ムーアが取り上げたことで日本でも有名になったコロンバイン高校銃撃事件のあらましをドキュメンタリー・タッチで再現したガス・ヴァン・サントの短い力作で、カンヌ映画祭で作品賞と監督賞を受賞した話題作。
ドラマ映画としてはかなり実験的であると言って良い。
殆どの登場人物は高校生であるが、その一人ジョン・ロビンスンの歩く姿をバックから延々と追い続けたり、写真好きのイライアス・マコンネルが撮影している場面をスケッチ風に捉える。スケッチ風描写は70年代以降群像劇の常套手段となっているが、それでもドラマとして積み重ねられていくのが通常だが、ここにはそうしたドラマツルギーの意図はない。
彼らのほかに典型的な女性3人グループなどが同様に描かれていく。そこへ唐突にいじめられっ子のアレックス・フロストとエリック・デューレンが登場して銃武装して学校へ向かう。
ボウリングへ行く場面がないのは、これが架空の物語であるということを示そうとした意図の現われと推測されるが、彼らが生徒たちを襲う場面になって初めてその即実的なタッチが生かされると言って良い。
意欲は高く買いたいが、カンヌのダブル受賞に値する傑作なのかと言えば大いに疑問が残り、どちらかを選ぶとすれば監督賞がふさわしいのではないか。ヴァン・サントとしては前々作「小説家を見つけたら」のほうが遥かに好きである。
2003年アメリカ映画 監督ガス・ヴァン・サント
ネタバレあり
マイケル・ムーアが取り上げたことで日本でも有名になったコロンバイン高校銃撃事件のあらましをドキュメンタリー・タッチで再現したガス・ヴァン・サントの短い力作で、カンヌ映画祭で作品賞と監督賞を受賞した話題作。
ドラマ映画としてはかなり実験的であると言って良い。
殆どの登場人物は高校生であるが、その一人ジョン・ロビンスンの歩く姿をバックから延々と追い続けたり、写真好きのイライアス・マコンネルが撮影している場面をスケッチ風に捉える。スケッチ風描写は70年代以降群像劇の常套手段となっているが、それでもドラマとして積み重ねられていくのが通常だが、ここにはそうしたドラマツルギーの意図はない。
彼らのほかに典型的な女性3人グループなどが同様に描かれていく。そこへ唐突にいじめられっ子のアレックス・フロストとエリック・デューレンが登場して銃武装して学校へ向かう。
ボウリングへ行く場面がないのは、これが架空の物語であるということを示そうとした意図の現われと推測されるが、彼らが生徒たちを襲う場面になって初めてその即実的なタッチが生かされると言って良い。
意欲は高く買いたいが、カンヌのダブル受賞に値する傑作なのかと言えば大いに疑問が残り、どちらかを選ぶとすれば監督賞がふさわしいのではないか。ヴァン・サントとしては前々作「小説家を見つけたら」のほうが遥かに好きである。
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