映画評「フォーン・ブース」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2003年アメリカ映画 監督ジョエル・シューマカー
ネタバレあり

先月の「"アイデンティティ"」の着想には感心させられたが、こちらは着想そのものより限られた内容だけで1時間半を持たせた技に感心した。

携帯電話の普及で公衆電話が取り壊されて遂に1台だけが取り残される。役者などを宣伝するパブリシストであるコリン・ファレルは、妻に隠れて新進女優と浮気、今日も連絡を取る為にその公衆電話を利用するのだが、それが運の尽き。電話を切った途端に鳴った電話に思わず出ると、相手は彼の私生活の全てを知りつくし、浮気を妻に告白しないと殺すと言う。そして電話を切っても殺すと言い、現に売春婦に呼ばれた用心棒を射殺してしまう。やがて警察が到着、TVで事件を見た妻や浮気相手も現場に駆けつける。

基本的にはこれだけの話で、映像より「会話」だけで成り立たせているのだが、十分映画になっている。犯人の狙いは解るようで解らない。それが発想的に似ている「スナイパー」と違って極めて現代的な不透明さを感じさせ、凄みになっている。

この記事へのコメント

chibisaru
2006年05月18日 23:57
電話ボックスを舞台にここまで描けることにビックリでした。
脚本が巧いというか、コリンの一人芝居が巧いというか、引き込まれちゃいました。
見ている間ずっと、心拍数が少し上がったような状態(^o^;
犯人像もああいう描き方をされると更に怖いですよね。
私もこれはスゴイ作品だと思いました♪

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  • #610 フォーン・ブース

    Excerpt: 製作総指揮:テッド・カーディラ 製作:デイヴィッド・ザッカー、ギル・ネッター 監督:ジョエル・シュマッカー 脚本:ラリー・コーエン 撮影:マシュー・リバティック 音楽:ハリー・グレッグソン・.. Weblog: 風に吹かれて-Blowin' in the Wind- racked: 2006-05-18 23:52