映画評「2046」
☆☆★(5点/10点満点中)
2004年香港映画 監督ウォン・カーウァイ
ネタバレあり
昨年の話題作だったウォン・カーウァイの新作だが、僕は映画を観る前に極力情報を得ないようにしているので、見ているうちに前作「花様年華」の続編と気づき、少なからず驚いた。題名からSFと思い込んでいたせいもある。
前作は1962年が舞台となっていたが、今回はその数年後が中軸となる舞台で、前作では遂に一線を超えなかったストイックな作家だったトニー・レオンがうって変わり女性を次々と変える人物として現れる。彼の前を通り過ぎる女性としてカリーナ・ラウ、チャン・ツィイー、フェー・ウォン、コン・リー、マギー・チャンと中国系のトップ女優が勢ぞろい。
いきなり未来世界らしい華麗な映像からスタートするが、これは作家が書いている小説の中の近未来の世界。愛を見つけ出すことができると言われる2046号室の真実を知る唯一の人物であったはずの主人公(木村拓哉)は徐々に作家自身が投影されたものに変わって徐々に侘しさを増し、作家は現実の世界で決して愛する女性と結ばれない業を引きずっていくしかない。
愛の哀しさをムードたっぷりに描いた前作のテーマは継続されているが、現在、過去、劇中劇とめまぐるしく時間軸を変えた本作は落ち着いて観る気分を大分そぐ作り方である。何よりも問題なのは、前作で作風が情緒醸成とうまく結びついて初めて感心したカーウァイが、観念的で苦手なカーウァイに戻ってしまったことである。木村拓哉を見に行ったミーハー諸嬢は首を傾げて映画館を後にしたに違いない。お疲れ様。
2004年香港映画 監督ウォン・カーウァイ
ネタバレあり
昨年の話題作だったウォン・カーウァイの新作だが、僕は映画を観る前に極力情報を得ないようにしているので、見ているうちに前作「花様年華」の続編と気づき、少なからず驚いた。題名からSFと思い込んでいたせいもある。
前作は1962年が舞台となっていたが、今回はその数年後が中軸となる舞台で、前作では遂に一線を超えなかったストイックな作家だったトニー・レオンがうって変わり女性を次々と変える人物として現れる。彼の前を通り過ぎる女性としてカリーナ・ラウ、チャン・ツィイー、フェー・ウォン、コン・リー、マギー・チャンと中国系のトップ女優が勢ぞろい。
いきなり未来世界らしい華麗な映像からスタートするが、これは作家が書いている小説の中の近未来の世界。愛を見つけ出すことができると言われる2046号室の真実を知る唯一の人物であったはずの主人公(木村拓哉)は徐々に作家自身が投影されたものに変わって徐々に侘しさを増し、作家は現実の世界で決して愛する女性と結ばれない業を引きずっていくしかない。
愛の哀しさをムードたっぷりに描いた前作のテーマは継続されているが、現在、過去、劇中劇とめまぐるしく時間軸を変えた本作は落ち着いて観る気分を大分そぐ作り方である。何よりも問題なのは、前作で作風が情緒醸成とうまく結びついて初めて感心したカーウァイが、観念的で苦手なカーウァイに戻ってしまったことである。木村拓哉を見に行ったミーハー諸嬢は首を傾げて映画館を後にしたに違いない。お疲れ様。
この記事へのコメント
宇宙船の中のシーンは、キムタクに目をそらしていたせいか、もうひとつ僕の中で監督の意図を消化し切れていないな、と思っています。
>気品
キムタクを出演させた時点でアウトですか(笑)。
SF的な要素を持ち込んで気品を出すのは至難の業だす。