映画評「マスター・アンド・コマンダー」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2003年アメリカ映画 監督ピーター・ウィアー
ネタバレあり

このところなりを潜めていた感のあるピーター・ウィアーの最新作であるが、傑作とまでは言わないまでも実に上出来である。

ナポレオン戦争たけなわの1805年、フランスの私掠船アケロン号を撃破するために英国のサプライズ号がブラジル沖を航行中、神出鬼没の敵の急襲を受けて大打撃を負う。指揮を取るのはネルソン提督とも知り合いという名司令官ジャック・オーブリー(ラッセル・クロー)で、敵艦の背後に回るなど見事な戦術を披露するが、突然の嵐で船員が死亡。この辺りから船員のストレスがたまり始め、若い士官候補生がいじめを苦にして自殺するという事件も発生する。
やがて、彼は捕鯨船にみせかけて敵艦を呼び寄せ白兵戦に持ち込むと、親友でもある軍医(ポール・ベタニー)を失うなど大きな犠牲の下に勝利を物にするのである。

CGを効果的に使った戦いや嵐の場面の見事さにまず目を奪われる。シャープな映像が物を言っている。
 味方の銃弾を受けた医師が鏡を使って自ら手術する場面も迫力があり、ガラパゴス諸島を捉えた撮影はウィアーの指導よろしく素晴らしい。物語上の重要度は低いが、短尺とは言えない作品の中でアクセントとして効果的である。
 そうした見せ場は存外少なく、船室での会話が多いのだが、意外にもなかなか味わいがあり面白い。今回観た日本語版では雰囲気がぶち壊しだが、細かなニュアンスは却って伝わった。プラス・マイナス相殺といったところか。

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  • <マスター・アンド・コマンダー> 

    Excerpt: 2003年 アメリカ ピーター・ウィアー監督  パトリック・オブライエン原作の海洋小説の映画化。 1805年ナポレオンの時代、英国艦隊サプライズ号に“フランスの私掠船アケロン号の太平洋進出を阻止せよ”.. Weblog: 楽蜻庵別館 racked: 2005-11-12 01:03