映画評「蛇娘と白髪魔」

☆(2点/10点満点中)
1968年日本映画 監督・湯浅憲明
ネタバレあり

楳図かずおの恐怖漫画を実写映画化するとどうなるのかという興味だけで観ることにしたが、恐怖感は全く感じられない。

実の娘なのに病院内で交換されてしまった少女・村井八知栄が孤児院から実家に引き取られるが、奇妙で怪奇な出来事の連続で、間違って引き取られた姉(というのも変だが)・高橋まゆみに蛇のような鱗があるのを発見して恐怖に戦く。さらに姉を影で操っている白髪魔なるものまで登場するのだが、楳図漫画の何とも言えない恐怖は全く再現されていない。

あの恐怖は恐らく楳図のタッチにもあるのでそれを離れた瞬間に消えてしまうのは無理からぬことではあるが、37年前の技術としてもそう誉められない特殊メイクや特撮がもっと優れていれば多少なりとも怖さを味わえた可能性はある。

恐怖映画として観た場合に笑止なのは少女が怖い夢を見る場面に妙な細工をしたことである。画面を見ているだけで夢を見ていることが判ってしまい、恐怖になるはずもない。
 【見た目だけの美しさではいけません】という子供には有効そうなメッセージをヒロインに言わせて映画は終了。10歳くらいであればそれなりに怖いかな。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック