映画評「オアシス」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2002年韓国映画 監督イ・チャンドン
ネタバレあり
韓国映画は甘いという定評を打ち破る力の入った秀作、佳作が輸入されるのは喜ばしいことである。このイ・チャンドン監督作品も商業映画としては世界的にも余り例がないテーマであるし、実に優れた出来栄えを示している。
前科三犯のソル・ギョングが出所し、彼の運転で亡くなった被害者の家を訪れる。家には重度の脳性麻痺である娘ムン・ソリが兄夫婦に疎まれて生活している。彼は精神薄弱気味で家族に嫌われている自らの立場に通ずるものを感じたのか、彼女の元に足繁く通い、二人は精神的にやがて肉体的に結ばれていく。が、強姦したと勘違いされた彼は再び服役することになり、その直前、彼女が怖がっていた木の枝を切り落とすのである。
恐らく重度の脳性麻痺である女性を主人公にした初めての商業映画ではないだろうか。何故ならアル中や麻薬中毒を演じることは出来ても、最初から最後まで妙な顔を作っていなければならない汚れ役に妙齢の女優が挑戦することなど常識的に言って考えられない。それを迫真の演技で実行したムン・ソリは演技の達成度だけではなくその意味でも評価に値する。勿論ソル・ギョングの演技も立派である。
時に幻想シーンを取り込んでアクセントとしたイ・チャンドンの演出については言わずもがなである。
が、僕は評価を抑えねばならない。特殊なものから普遍的なものを導き出すという目的はあるのだろうが、映画であれ何であれ、脳性麻痺の人を見ることは忍びないからである。
2002年韓国映画 監督イ・チャンドン
ネタバレあり
韓国映画は甘いという定評を打ち破る力の入った秀作、佳作が輸入されるのは喜ばしいことである。このイ・チャンドン監督作品も商業映画としては世界的にも余り例がないテーマであるし、実に優れた出来栄えを示している。
前科三犯のソル・ギョングが出所し、彼の運転で亡くなった被害者の家を訪れる。家には重度の脳性麻痺である娘ムン・ソリが兄夫婦に疎まれて生活している。彼は精神薄弱気味で家族に嫌われている自らの立場に通ずるものを感じたのか、彼女の元に足繁く通い、二人は精神的にやがて肉体的に結ばれていく。が、強姦したと勘違いされた彼は再び服役することになり、その直前、彼女が怖がっていた木の枝を切り落とすのである。
恐らく重度の脳性麻痺である女性を主人公にした初めての商業映画ではないだろうか。何故ならアル中や麻薬中毒を演じることは出来ても、最初から最後まで妙な顔を作っていなければならない汚れ役に妙齢の女優が挑戦することなど常識的に言って考えられない。それを迫真の演技で実行したムン・ソリは演技の達成度だけではなくその意味でも評価に値する。勿論ソル・ギョングの演技も立派である。
時に幻想シーンを取り込んでアクセントとしたイ・チャンドンの演出については言わずもがなである。
が、僕は評価を抑えねばならない。特殊なものから普遍的なものを導き出すという目的はあるのだろうが、映画であれ何であれ、脳性麻痺の人を見ることは忍びないからである。
この記事へのコメント
しかしまた、このふたりの愛の形に、純粋性を感じたのは紛れもない事実でした。
ムン・ソリ、ソル・ギョングのその後の活躍も言わずもがなですね。
あのような彼らですから、健常人と同じレベルの打算はないように映りましたね。その心の美しさがあの幻想でもあったのでしょう。