映画評「ソウ」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2004年アメリカ映画 監督ジェームズ・ワン
ネタバレあり
知らない間にわけのわからない状態で密室に閉じ込められるという発端は「CUBE」のアイデアの二番煎じかもしれないが、あちらが数学的な発想ならこちらは心理学の発想である。
老朽化したバスルームで身も知らぬ二人の男が部屋の隅に対角線上に鎖に繋がれた状態で目覚める。中央には自殺死体があり、「6時間以内に相手を殺す、さもなくば二人とも死ぬ」と告げられる。
一人の男は妻子のある外科医ケイリー・エルウィズで、被害者を自ら死に追い込む一種の殺人犯のトラップに巻き込まれたことに気付く。一時は事件の被疑者になった彼の回想の形で、一連の事件と担当刑事ダニー・グローヴァーが紹介されるが、刑事は相棒を失ったショックで精神が錯乱する。ノコギリや受信専用の携帯などわざと役に立たない小道具を用意してイライラを誘う手口も用意周到で、やがて医師の妻子が人質になっていることを知らされ、焦りは募っていく。
新人ジェームズ・ワン監督、リー・ワネルの脚本コンビはここまで実に快調に筋を運んでくるが、この辺りから若干変調をきたし始める。もう一人の男(リー・ワネル)の正体がその原因である。誰かと言えば、実はグローヴァーの依頼で彼を盗察していたカメラマンで、彼の追求により医師の密会が暴かれるのだが、密会場面を含めた回想場面の殆どが不要であろう。ここでちょっと休憩といった雰囲気になり、新幹線が予想外の場所で停車したような印象は否めない。
最終盤に正体を現す意外な人物の目的は「生に感謝しろ」ということ、即ち、説教泥棒ならぬ説教殺人犯てなもんである。といった具合で、終盤やや調子を落とすが、全体としては面白味のあるホラーと言って良い。
映画評「ソウ2」を読む
2004年アメリカ映画 監督ジェームズ・ワン
ネタバレあり
知らない間にわけのわからない状態で密室に閉じ込められるという発端は「CUBE」のアイデアの二番煎じかもしれないが、あちらが数学的な発想ならこちらは心理学の発想である。
老朽化したバスルームで身も知らぬ二人の男が部屋の隅に対角線上に鎖に繋がれた状態で目覚める。中央には自殺死体があり、「6時間以内に相手を殺す、さもなくば二人とも死ぬ」と告げられる。
一人の男は妻子のある外科医ケイリー・エルウィズで、被害者を自ら死に追い込む一種の殺人犯のトラップに巻き込まれたことに気付く。一時は事件の被疑者になった彼の回想の形で、一連の事件と担当刑事ダニー・グローヴァーが紹介されるが、刑事は相棒を失ったショックで精神が錯乱する。ノコギリや受信専用の携帯などわざと役に立たない小道具を用意してイライラを誘う手口も用意周到で、やがて医師の妻子が人質になっていることを知らされ、焦りは募っていく。
新人ジェームズ・ワン監督、リー・ワネルの脚本コンビはここまで実に快調に筋を運んでくるが、この辺りから若干変調をきたし始める。もう一人の男(リー・ワネル)の正体がその原因である。誰かと言えば、実はグローヴァーの依頼で彼を盗察していたカメラマンで、彼の追求により医師の密会が暴かれるのだが、密会場面を含めた回想場面の殆どが不要であろう。ここでちょっと休憩といった雰囲気になり、新幹線が予想外の場所で停車したような印象は否めない。
最終盤に正体を現す意外な人物の目的は「生に感謝しろ」ということ、即ち、説教泥棒ならぬ説教殺人犯てなもんである。といった具合で、終盤やや調子を落とすが、全体としては面白味のあるホラーと言って良い。
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この記事へのコメント
そんな感じです。 わたしも<CUBE>を、連想しました。
こっちは心底ぞっとしました。
確かにこうなるとホラーですね。生理的に受け付けない空間での悪夢にしばらく夢に見そうなくらいになっちゃった(^o^;
発想の原点は「CUBE」でしょうが、努力しましたね。二番煎じにならなかったのは偉い。
あの部屋の汚らしさも数学的な「CUBE」とは対照的で、ぞっとしますね。