映画評「フレンチ・コネクション」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1971年アメリカ映画 監督ウィリアム・フリードキン
ネタバレあり

33年前に「ダーティハリー」とがちんこ対決となった刑事アクション。
 当時、僕は「ダーティハリー」の映画としての総合的魅力を買ったが、こちらを評価した映画批評家が多かった。

マルセイユで刑事が麻薬一味の殺し屋マルセル・ボズッフィに殺される。一味のボス、フェルナンド・レイがテレビ・タレントの車に大量の麻薬を隠してニューヨークに移動するが、現地の麻薬課刑事ジーン・ハックマンはロイ・シャイダーを相棒に一味の活動に気付き、逮捕に躍起になる。

前半はフランスとニューヨークの描写を実録風にカットバックで展開していて、ウィリアム・フリードキンらしく両地方の空気感を巧みに醸成しているが、派手な面白味は殆どない。

この作品が本領を発揮するのは話がNYに定着する中盤以降で、特に映画史に残るとも言われる、殺し屋ボズッフィを捕らえる為に高架線を走る列車をハックマンが自動車で追跡する場面は、当時たけのこのように出現したカーアクションの中でも断然素晴らしいものである。
 警察が取引現場を包囲して一網打尽にしかける最終盤の緊張感も高く、確かに優れた刑事アクションである。

「ダーティハリー」より批評家に受けたのは、ハックマン演ずる刑事ドイルがハリーより人間的に複雑で現実感が高く、全体的に社会性を感じさせたからではないかと思っているが、僕には映画としての切れ味、サスペンス力で「ダーティハリー」に到底及ばないように感じられるのだ。

「ダーティハリー」映画評はこちら。

この記事へのコメント

カゴメ
2006年08月24日 19:02
TB、感謝です♪
「ダーティー・ハリー」も「フレンチ・コネクション」もどちらも大好きなのですが、
この2作品の持ち味は全然違いますね。
「ダーティー・ハリー」はヒーロー物としても一級で、
誰が見てもハリーに共感出来ます。ドラマ性も充分。
片や、「フレンチ・コネクション」は、正に犯罪と捜査の現場に一緒にいるような臨場感を感得出来る。
実に冴えたリアリズムに満ちてて、見ているだけでゾクゾクして来ます。
カゴメとしては、極僅かに「フレンチ・コネクション」に軍配を挙げるかもしれません。
オカピー
2006年08月25日 03:04
カゴメさん、初めまして。
ええと、ご高名はviva jijiさんのところで以前から存じていたのですが、つい、遠のいておりましたが、この度ようやくといったところです。
いずれにしても大差があるわけではないようですし、趣味・感覚の差と言うことでしょうね。
私は、リアルさよりテクニックを映画に求めますので、「ダーティハリー」なんです。「フレンチ」のようなセミ・ドキュメンタリーはテクニックを発揮しにくい部分があるのも事実ですので、これは本当に趣味の差と申すしかないでしょうね。

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