映画評「ロード・オブ・ザ・リング」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2001年アメリカ=ニュージーランド映画 監督ピーター・ジャクスン
ネタバレあり
J・R・R・トールキンが50年代に発表した戦後文学の最高峰「指輪物語」は実写ではなかなか映像化が無理と言われ、70年代末にアニメで映画化されたが中途半端なまま終わってしまった。時代が変りCGが画面を占領する時代となり初めてこの問題作の実写映画化が可能となったと言えよう。
一言で言えば、絶大な力を持つ者に及ぼす指輪の争奪戦を描く物語で、悪から悪へ渡り最後に行き着いたのが平和的なホビット族の首長である。その姻戚関係に当たる若者フロド(イライジャー・ウッド)とその一行が悪の根源となる指輪を捨てる旅に出る。
アニメ版はすっかり記憶の外なので初めて見聞きする物語みたいなものだが、かかるサーガ形式の物語にあって物語の中心となるのが負の存在とは珍しい。「アーサー王伝説」のエクスカリバーも「スター・ウォーズ」のフォースもその存在自体は負ではない。それに対しここでは権力は人間に悪だけをもたらすものと定義しているのである。
さて、作品の首尾だが、映像化の難しさを考えると上出来と言うべきだが、登場人物の行動が停まると内容も低回的になり展開が停滞気味になる。どうしてもこの原作を映像化すると省略するのが憚れるらしい。俄然面白くなるのはフロドたちが指輪を捨てる旅に出てからで、ここはCGの技術と併せて頗る好調である。人物は多彩で魅力的。
長尺になるのを嫌わずがっちり作ったことで見ごたえが出たことは確かだが、他方、無条件に楽しめるとまでは言えない。もう少し映画的なリズムや呼吸に工夫が必要である。2作目ではどうなっているだろうか(2003年3月鑑賞)。
2001年アメリカ=ニュージーランド映画 監督ピーター・ジャクスン
ネタバレあり
J・R・R・トールキンが50年代に発表した戦後文学の最高峰「指輪物語」は実写ではなかなか映像化が無理と言われ、70年代末にアニメで映画化されたが中途半端なまま終わってしまった。時代が変りCGが画面を占領する時代となり初めてこの問題作の実写映画化が可能となったと言えよう。
一言で言えば、絶大な力を持つ者に及ぼす指輪の争奪戦を描く物語で、悪から悪へ渡り最後に行き着いたのが平和的なホビット族の首長である。その姻戚関係に当たる若者フロド(イライジャー・ウッド)とその一行が悪の根源となる指輪を捨てる旅に出る。
アニメ版はすっかり記憶の外なので初めて見聞きする物語みたいなものだが、かかるサーガ形式の物語にあって物語の中心となるのが負の存在とは珍しい。「アーサー王伝説」のエクスカリバーも「スター・ウォーズ」のフォースもその存在自体は負ではない。それに対しここでは権力は人間に悪だけをもたらすものと定義しているのである。
さて、作品の首尾だが、映像化の難しさを考えると上出来と言うべきだが、登場人物の行動が停まると内容も低回的になり展開が停滞気味になる。どうしてもこの原作を映像化すると省略するのが憚れるらしい。俄然面白くなるのはフロドたちが指輪を捨てる旅に出てからで、ここはCGの技術と併せて頗る好調である。人物は多彩で魅力的。
長尺になるのを嫌わずがっちり作ったことで見ごたえが出たことは確かだが、他方、無条件に楽しめるとまでは言えない。もう少し映画的なリズムや呼吸に工夫が必要である。2作目ではどうなっているだろうか(2003年3月鑑賞)。
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