映画評「スカイ・キャプテン ワールド・オブ・トゥモロー」

☆☆☆(6点/10点満点中)
2004年アメリカ映画 監督ケリー・コンラン
ネタバレあり

ジュード・ロー、グィネス・パルトロー、アンジェリーナ・ジョリーという一枚看板級の役者を揃えた冒険活劇で、監督はこれが第一作となるケリー・コンラン。

舞台は1939年、と言ってもパラレル・ワールドのそれで、1920年辺りから39年を想像したSF映画といった趣きである。監督もその為にわざわざにじんだような画調、着色したような色調に映像を構成してクラシック・ムード満点なのだが、さらに嬉しいのが1920年代のフリッツ・ラング監督スタイルを採用していることである。例えば、見えないはずの電波を示す同心円や、人物の背後に映し出される大きな活字などであるが、惜しむらくは物語がラングほど面白くない。

本来ならナチスが活躍する1939年の世界を恐怖に陥れるのは謎の天才科学者トーテンコフで、まず彼はニューヨークに巨大なロボット群を現出させる。ロボットをカメラに収めるのが科学者連続失踪事件を追う女性記者ポリー(グィネス)で、彼女を救出するのが空軍を率いるスカイキャプテン(ロー)。
 この辺りまではラングやヒッチコックのスパイ映画を思わせるクラシックな面白さがいっぱいなのだが、この後は期待したほど楽しくない。

二人は科学者失踪事件とロボット出現の関係に気づくと、本拠地と思われるネパールに向かい、危機を切り抜けた後トーテンコフが作り上げた居城にたどり着き、その恐るべき目的と真相を知らされる。

「失われた地平線」で知られるシャングリラが出てくるのはクラシック・ファンには嬉しいが、それにも拘らず後半が今一つなのはスクリーンからラングのような詩情が出てこないからではないか。一見ラングと同じように見える美術や装置が全てCGにより作られていることで興醒めしたのかもしれない。
 冒険映画としては満足できなかったが、新人コンランの野心は大いに買いたい。次回作が楽しみだ。

因みに、トーテンコフを演じるのは今は亡きローレンス・オリヴィエ。フィルム借用による出演であります。これには驚きましたなあ。

この記事へのコメント

chibisaru
2006年09月09日 11:59
クラッシックな趣とか、レトロちっくな映像に加え、あの電波のわっかといいツボにはまりました。楽しかったなぁ・・・。
子供の頃にみた特撮のヒーローモノみたいで懐かしくもあり、そういうところに魅力を感じるのでしょうね。
オカピー
2006年09月09日 14:26
chibisaruさん、こんにちは。
あの電波のわっか(同心円)は良いですね。フリッツ・ラングの「メトロポリス」や「スピオーネ」なんてのは正にあの感じですよ。俄然うれしくなりました。

この記事へのトラックバック

  • スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー

    Excerpt: ジェネオン エンタテインメント スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー プレミアム・エディション (2004) 出演 グウィネス・パルトロー (ポリー・パーキンス)     ジュード.. Weblog: ベルの映画レビューの部屋 racked: 2006-01-14 20:03
  • #420 スカイキャプテン -ワールド・オブ・トゥモロー-

    Excerpt: 監督:ケリー・コンラン 脚本:ケリー・コンラン 出演者:ジュード・ロウ 、グウィネス・パルトロウ 、アンジェリーナ・ジョリー 、ジョバンニ・リビジ 、マイケル・ガンボン 、バイ リン 2004年ア.. Weblog: 風に吹かれて-Blowin' in the Wind- racked: 2006-09-09 11:51
  • 【洋画】スカイ・キャプテン ワールド・オブ・トゥモロー

    Excerpt: A+  面白い A     ↑ A- B+ B    普通 B- C+ C     ↓ C-  つまらない 『評価』  B (演技3/演出2/脚本2/撮影3/音響3/音楽2/美術3/衣装3/配役3/.. Weblog: ハサウェイのシネマ!シネマ!シネマ! racked: 2006-12-22 11:37