映画評「カルメン純情す」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
1952年日本映画 監督・木下恵介
ネタバレあり
日本最初のカラー映画として有名な「カルメン故郷に帰る」の続編だが、続編はモノクロ。
芸術家気取りのストリッパー、カルメン(高峰秀子)が踊りを辞めて女剣戟に転進していた朱美(小林トシ子)と再会、生まれたばかりの赤ん坊を抱えて右往左往しているのを見かねて、さる家庭に赤ん坊を捨てさせるが、その家は若い前衛芸術家・須藤(若原雅夫)が両親と家政婦とで暮らしている家。彼に同じ年頃の私生児がいた為に誤解されてややこしいことになるが、須藤は引き取りにきたカルメンを見初めてモデルに誘う。
芸術家気取りのカルメンは受諾するが、彼には髭の生えた女代議士候補の娘で千鳥(淡島千景)という婚約者がいる。芸術家先生に惚れたカルメンは裸を拒否して仕事を首になり、朱美共々着ぐるみのバイトでしがない日々を送り、結局身を引くことで小さな幸せをかみ締める。
見始めて暫くしてこのドタバタは「我が家の楽園」ではないかと思ったが、タッチはフランク・キャプラよりはジャン・ルノワール(「ゲームの規則」)に近そうである。古い映画に詳しい人ならそれでおおよその感じは掴めるであろう。
ところが、殆ど全編斜めの構図で撮られている。本来この構図はスリラーなどで主人公の恐怖や不安を表す手法であるが、それを逆手に取ることによりこの作品が破調のコメディーであることを告げているのである。木下恵介がこれほど実験精神に富んでいるとは思わなかったので驚いた。
内容については「我が家の楽園」同様人間を揶揄したものであるが、深く考え込まずにその場に応じてナンセンスを笑えば良い。前衛芸術家の登場以来黛敏郎の前衛音楽が使われるのも皮肉っぽく面白い。
深みはないが、楽しい映画ですぞ。
1952年日本映画 監督・木下恵介
ネタバレあり
日本最初のカラー映画として有名な「カルメン故郷に帰る」の続編だが、続編はモノクロ。
芸術家気取りのストリッパー、カルメン(高峰秀子)が踊りを辞めて女剣戟に転進していた朱美(小林トシ子)と再会、生まれたばかりの赤ん坊を抱えて右往左往しているのを見かねて、さる家庭に赤ん坊を捨てさせるが、その家は若い前衛芸術家・須藤(若原雅夫)が両親と家政婦とで暮らしている家。彼に同じ年頃の私生児がいた為に誤解されてややこしいことになるが、須藤は引き取りにきたカルメンを見初めてモデルに誘う。
芸術家気取りのカルメンは受諾するが、彼には髭の生えた女代議士候補の娘で千鳥(淡島千景)という婚約者がいる。芸術家先生に惚れたカルメンは裸を拒否して仕事を首になり、朱美共々着ぐるみのバイトでしがない日々を送り、結局身を引くことで小さな幸せをかみ締める。
見始めて暫くしてこのドタバタは「我が家の楽園」ではないかと思ったが、タッチはフランク・キャプラよりはジャン・ルノワール(「ゲームの規則」)に近そうである。古い映画に詳しい人ならそれでおおよその感じは掴めるであろう。
ところが、殆ど全編斜めの構図で撮られている。本来この構図はスリラーなどで主人公の恐怖や不安を表す手法であるが、それを逆手に取ることによりこの作品が破調のコメディーであることを告げているのである。木下恵介がこれほど実験精神に富んでいるとは思わなかったので驚いた。
内容については「我が家の楽園」同様人間を揶揄したものであるが、深く考え込まずにその場に応じてナンセンスを笑えば良い。前衛芸術家の登場以来黛敏郎の前衛音楽が使われるのも皮肉っぽく面白い。
深みはないが、楽しい映画ですぞ。
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