映画評「パリの大泥棒」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1966年フランス映画 監督ルイ・マル
ネタバレあり

人生とは面白いもので、いつも見逃す作品、いつも不都合が起こる作品があるかと思えば、その反対もある。この作品などは敬愛するルイ・マルとしては大して面白くもないが、三度目の鑑賞となる。

時は19世紀末のパリ、12歳の時に両親を失い全財産を悪党の伯父に横領された貴族出身のジャン=ポール・ベルモンドは兵役と服役の後に一流の泥棒となり、さる上流階級の夫人で彼の情婦になったマリー・デュボワを伯父に接近させ、その娘ジュヌヴィエーヴ・ビジョルドに協力させて遺言を偽造、財産を奪い返す。

簡略すればかかる話で、陰湿な復讐譚のように読めるだろうが、ベル・エポックを背景にした純粋な犯罪映画と言ったほうが正解。彼に協力する者たちには神父もいてなかなか楽しい顔ぶれだが、この時代の終わりを告げるアナーキストやテロリストの暗躍で泥棒たちも思想犯に転職していくのである。しかし、そうした部分を描いたことでのんびりした泥棒映画という楽しい気分がぶち壊されてしまったのも確かで、同じアナーキストが登場する映画でも、マルがこの前年に作った「ビバ!マリア」のようなご機嫌な面白さには至らなかった。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック