映画評「ミンボーの女」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1992年日本映画 監督・伊丹十三
ネタバレあり
伊丹十三特集第2弾だが、観る順番が製作順と逆になっているのは愛嬌ということで。再鑑賞作品。
ミラボーならぬミンボーとは【民事介入暴力】の省略なる業界用語で、具体的には暴力団が民間人や企業の弱みを握って暴力で脅すことを指す。
名門ホテルのロイヤルコートは脇の甘さからヤクザに付けこまれる。経理マンの大地康雄と体育系ベルボーイの村田雄浩がヤクザ対応係を命じられるが、素人故にミスを連発、遂にミンボー専門の弁護士・宮本信子のお出ましとなる。
ホテル内での脅迫を軽々と退けられたヤクザ側は総支配人を賭博と未成年者淫行スキャンダルに巻き込むのだが、観客たる我々もホテル内での詐欺からもっと大掛かりの陰謀までヤクザが繰り出す種々の手法に目を白黒、ホテル経営には縁がないが勉強になるし、調査の綿密さに感心させられる。
それでも見事な対応をする宮本女史は鉄砲玉に刺されるが、彼女のいない間に乗り込んできたヤクザをホテルマンたちは警察とタッグを組んで見事に撃退、自分たちだけで切り抜ける力を付けていることを示す。
伊丹監督はヤクザに襲われたのは本作が原因と言われるが、社会性以上に娯楽性を重視した作りが良い。
1992年日本映画 監督・伊丹十三
ネタバレあり
伊丹十三特集第2弾だが、観る順番が製作順と逆になっているのは愛嬌ということで。再鑑賞作品。
ミラボーならぬミンボーとは【民事介入暴力】の省略なる業界用語で、具体的には暴力団が民間人や企業の弱みを握って暴力で脅すことを指す。
名門ホテルのロイヤルコートは脇の甘さからヤクザに付けこまれる。経理マンの大地康雄と体育系ベルボーイの村田雄浩がヤクザ対応係を命じられるが、素人故にミスを連発、遂にミンボー専門の弁護士・宮本信子のお出ましとなる。
ホテル内での脅迫を軽々と退けられたヤクザ側は総支配人を賭博と未成年者淫行スキャンダルに巻き込むのだが、観客たる我々もホテル内での詐欺からもっと大掛かりの陰謀までヤクザが繰り出す種々の手法に目を白黒、ホテル経営には縁がないが勉強になるし、調査の綿密さに感心させられる。
それでも見事な対応をする宮本女史は鉄砲玉に刺されるが、彼女のいない間に乗り込んできたヤクザをホテルマンたちは警察とタッグを組んで見事に撃退、自分たちだけで切り抜ける力を付けていることを示す。
伊丹監督はヤクザに襲われたのは本作が原因と言われるが、社会性以上に娯楽性を重視した作りが良い。
この記事へのコメント
本作を端緒とする暴力事件が結局「マルタイの女」を生んだわけですよね。
今問題になっている「靖国 YASUKUNI」は議員による事実上の検閲問題に加え、右翼連中の行動で非常に難しい状態になっているわけで、裁判所が明らかに国家よりの判決を下す傾向があり、日本はもはや民主主義国家とは言えないなんて思いますね。先進国ですらありゃしない。
困ったものです。
閑話休題。
伊丹監督は、本当に失うには惜しい才能でしたね。
この映画での中尾彬。怖いですねー!いい味を出してます。
「激動の1750日」「極道戦争 武闘派」も良かったです。
>海外にいた日本人のビジネス・フレンド
海外にビジネス・フレンドとは凄いです。
>この映画での中尾彬。怖いですねー!
その存在自体が怖い男優ですねえ(笑)
だから、彼が金田一耕助を演じた「本陣殺人事件」をもう一度観たい。
>海外にビジネス・フレンドとは凄いです。
一年中外国人相手の仕事でしたからねえ。一部の方とは仕事以外の、例えば、映画や野球の話などよくしました。
在サンフランシスコの社長とは、“今度アメリカに来る時には、SFジャイアンツの試合に連れて行ってあげる”と言われましたが、その後結局アメリカには行かず、見られず。残念でしたねえ。
>彼が金田一耕助を演じた「本陣殺人事件」をもう一度観たい。
あの映画、いいですよねー!低予算で現代を舞台にした作品。長髪でジーンズの金田一。石坂版や古谷版とは違った良さがあります。
>その存在自体が怖い男優ですねえ(笑)
TVタックルでも、田嶋教授相手にバンバン意見を言ってました。負けてない人です。
>“今度アメリカに来る時には、SFジャイアンツの試合に連れて行ってあげる
あらら・・・それは残念でした。
さて、この映画で身体が大きくて強面のヤクザを演じた我王銀次。
映画公開の7ヵ月後に33歳の若さで逝去。みんな驚いていました・・・。
>長髪でジーンズの金田一。
シャーロック・ホームズも現代版があるように。
>石坂版や古谷版とは違った良さがあります。
片岡千恵蔵や高倉健もやりました。東映版はどちらも珍妙でしたなあ。
>TVタックルでも、田嶋教授相手にバンバン意見を言ってました。
そんな時代もありましたね。
TVタックルも、当時の総務大臣高市早苗の“電波停止もありうる”の発言に恐れをなしたのか、その後番組編成がぐっと変わって政治の話題が減りました。つまらなくなったので僕は見るのを止めました。
>あらら・・・それは残念でした。
ボンズが全盛期ですよ。残念でなかったと言えば嘘になりますねえ。
>我王銀次。映画公開の7ヵ月後に33歳の若さで逝去。
そうでしたか。
彼のデビュー作「チ・ン・ピ・ラ」の脚本を書いた金子正次(「竜二」では兼主演)も33歳で亡くなっています。彼の死を看取った松田優作も40歳で逝去(金子と同じ日に亡くなったとか)。何だか繋がっていて怖いですね。
>東映版はどちらも珍妙でしたなあ。
健さんが金田一役をしたんですか?驚き!でも一度見たいです(笑)。
>その後番組編成がぐっと変わって政治の話題が減りました。
言葉狩りと同じ。ガッカリです。
>ボンズが全盛期ですよ。
ホームランを生で見れたかも知れません。
>「竜二」
CSで見ました。その後、色々な映画・ドラマ・歌・漫画にまで影響を与えた事がよくわかります。
「ここからじゃあ空は見えねえな。」とか。
>金子と同じ日に亡くなったとか
それもまた凄い因縁です。
酷い場面を演じてるのにほとんどノーギャラで、ぼやいていた桜金造に松田優作が「まあまあ・・・。」と言いながら酒を奢ったエピソードがいいですね~!
>健さんが金田一役をしたんですか?
「悪魔の手毬唄」です。
スポーツカーを乗り回す金田一でしたよ。
>言葉狩りと同じ。ガッカリです。
左派も右派も全体主義者にはうんざりでございます。
>ホームランを生で見れたかも知れません。
そうですねえ。
当時の出塁率が何と6割超え。年間の四球数が200を軽く超えましたからねえ。
>それもまた凄い因縁です。
ケネディとリンカーンの妙な符合みたいですね。
>スポーツカーを乗り回す金田一でしたよ。
そのあたりが東映でしょうか(笑)。随分金田一のイメージが違います。
>当時の出塁率が何と6割超え。年間の四球数が200を軽く超えました
まさに強打者の証拠です。
>ケネディとリンカーンの妙な符合みたいですね。
高校時代に世界史の先生から聞いた記憶があります。
>宮本女史は鉄砲玉に刺される
演じたのは柳葉敏郎。この頃はまだ若い。
数年前から老眼鏡をかけるようになったそうです。
>そのあたりが東映でしょうか(笑)。随分金田一のイメージが違います。
案外観ることが容易な作品かと思っていましたが、ソフト化されていないようですね。出来栄えはともかく珍品なので、是非ご覧戴きたい作品なのですが。
>高校時代に世界史の先生から聞いた記憶
色々あるんですよねえ。一々挙げませんけれど、気持ち悪いTT
>演じたのは柳葉敏郎。この頃はまだ若い。
僕とほぼ同じ世代です。老眼鏡は必要になりますよ。
近眼の当方は必要ないですが、近眼用の眼鏡をかけると昔のようには近くが見えない。不便なものです。
>出来栄えはともかく珍品なので
脚本家が原作を読まずに書いたそうですね。見たいです!
>近眼用の眼鏡をかけると昔のようには近くが見えない。不便なものです。
実は僕も同じです。
>大地康雄と村田雄浩
良い脇役です。
>>大地康雄と村田雄浩
>良い脇役です。
そうですね。
大地康雄は「マルサの女」で初めて見てご贔屓になりました。「マルサの女2」では出て来るだけで嬉しかったなあ。
村田雄浩はこの映画で初めて見たと思います。村田雄浩と言えば、伊丹十三映画というイメージが未だにあります。
>「マルサの女」
これも未見です・・・。
>村田雄浩
「壬生義士伝」にも出ていました。
>金田一耕助
「八つ墓村 (1977年の映画)」では渥美清が金田一役。あまり存在感がない金田一でした(寅さんファンの皆さん。すみません!)。ショーケンと小川真由美の個性が強すぎたのかな?
でも、横溝正史先生は「渥美さんが一番金田一耕助のイメージに合ってる。」と言ったとか。
>「壬生義士伝」にも出ていました。
この映画は友達と観に行く予定でしたが、ドタキャンされた苦い思い出があります。
>「八つ墓村 (1977年の映画)」では渥美清が金田一役。
>あまり存在感がない金田一でした。
原作でも余り出番がないので、読んだ時に意外と思ったものです。その意味では忠実に作ったのかもしれません。
明日(11/2)WOWOWで放映される豊川悦司版は、少し金田一の印象が強くなっていたように思います。
>横溝正史先生は「渥美さんが一番金田一耕助のイメージに合ってる。」
>と言ったとか。
そうらしいですね。
リップ・サーヴィスの可能性もあり、本音は解りませんなあ。
>リップ・サーヴィスの可能性もあり、本音は解りませんなあ。
突然思い出しました。「課長島耕作」が1992年に田原俊彦(当時31歳)主演で映画化された時。弘兼憲史氏が「トシちゃんの島耕作は合ってると思いますよ。」僕はその映画を見てないから合ってたかどうかわかりません・・・(苦笑)。
>原作でも余り出番がないので、読んだ時に意外と思ったものです。
そうですか。原作では出番が少ないんですね。読んでない事がバレてしまいました(汗)。
>監督・伊丹十三
「お葬式」で宮本信子がブランコに乗ってる場面を思い出します。
>「トシちゃんの島耕作は合ってると思いますよ。」
リップ・サーヴィスっぽいですなあ(笑)。
田原俊彦と言えば、自分の曲を歌った彼に対してポール・アンカが「彼は歌が上手い」と言うのを聞いたことがあります。リップ・サーヴィスと言うか、お世辞も良いとこでしたなあ。
>「お葬式」で宮本信子がブランコに乗ってる場面を思い出します。
むむっ、あったような気もしますが、忘れているぞ^^;
彼女は夫君が映画を作るようになった為に、急に再浮上した感じでしたねえ。
>伊丹十三
妹が大江健三郎の奥さんなので、彼の小説を映画化(「静かな生活」)したりもしましたね。
何日か前に「黄金銃を持つ男」をアップしましたので、お時間が許せばご笑覧を。事前に申しましたように、ほぼ酷評ですが(笑)。しかし、楽しい作品です。