映画評「クルーエル・インテンションズ」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1999年アメリカ映画 監督ロジャー・カンブル
ネタバレあり

フランスが生んだ宮廷文学者ピエール・コデルロス・ド・ラクロの古典「危険な関係」は何度も映画化されているが、僕が一番好きなのは原作に最も近いミロシュ・フォアマン「恋の掟」(89年)で、次はロジェ・ヴァディムの現代版「危険な関係」(59年)、次はスティーヴン・フリアーズ「危険な関係」(88年)。李氏朝鮮版の「スキャンダル」(04年)も健闘の部類で、一番つまらないのはヴァディムのセルフ・リメイク「華麗な関係」(77年)といったところ。
国を変えても時代を変えても面白いのは基本となるアイデアが優れているからで、この作品は現代ニューヨークを舞台に置き変えた青春版である。

金持ち息子ライアン・フィリップは生徒会長でもある義姉サラー・ミシェル・ゲラーと組んで若い娘たちの操を毒牙にかけているが、新任校長の娘リース・ウィザースプーンをものに出来るかどうか二人で賭けをし、その邪魔に入った某夫人のうぶな娘セルマ・ブレアをたやすく落として邪魔を取り除くと、リースめがけて一直線。しかし、彼女の天衣無縫の笑顔に彼は真剣に恋をし、賭けが意味を失なったことから彼らの人生は思わぬ展開を遂げることになる。
即ち、賭けに勝った義弟に無視され怒ったサラーが復讐を決意、その結果彼は事故死し、サラーは真相を知らされていたリースに旧悪を暴露されたただけでなく、麻薬吸引の罪で逮捕されてしまう。

男が死に女が大きな傷を残されるというのはいずれの作品にも共通する(「華麗な関係」を除く)幕切れであるが、今回の交通事故死は偶然的で物足りない。
それはともかく、この青春現代版でも純真な女性を落としていくプロセスはなかなか面白く、非常に映画に向いている物語であると今更ながら感じさせる。得点の大部分は原作の力によるものと理解されたし。

この記事へのコメント

2005年12月25日 01:33
随分いろいろなバージョンをご覧になったのですね。
>国を変えても時代を変えても面白いのは基本となるアイデアが優れているからで
面白いような面白くないような…、同じことを描いても、描き方によって左右されるように思いました。
オカピー
2005年12月25日 15:00
みのりさん、こんにちは。
「危険な関係」関連作品はどの作品も退屈だなあと思ったことはありませんね。つまり、脚本や演出がおざなりでもそれなりに楽しめてしまう。これはシェークスピア作品などでも同じようなことがいえると思います。
そういう意味で原作のアイデアが優れていると言ったわけです。

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  • <クルーエル・インテンションズ> 

    Excerpt: 1999年 アメリカ 98分  監督 ロジャー・カンブル 脚本 ロジャー・カンブル 撮影 テオ・ヴァン・デ・サンデ 音楽 エド・シアマー 出演 セバスチャン・ヴァルモン:ライアン・フィリップ    キ.. Weblog: 楽蜻庵別館 racked: 2005-12-25 01:24