映画評「タンポポ」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1985年日本映画 監督・伊丹十三
ネタバレあり

伊丹十三監督第二作。初鑑賞当時伊丹作品の中で一番感心したのが実はこの作品だが、今観ると些か散漫であります。

タンクローリーの運転手・山崎努が相棒・渡辺謙と、たんぽぽ(宮本信子)が営む寂れたラーメン屋・来々軒に立ち寄り、成り行きでラーメン作りを指南することになる、というお話が、「シェーン」のような股旅西部劇を思わせる設定の下で展開する。

次々とラーメンに関する蘊蓄が紹介され、強力な助っ人を得て、店名も女主人の名から<タンポポ>と変えて新装開店。店の成功を見取った彼は去っていく。

85年当時高級料理でもないラーメンをテーマにこんなに面白い作品が出来るものかと感心したが、今の若い人は多分そう驚かないだろう。しかし、当時は食べ物をかくもなめるように扱う映像はなかったのでそれこそ驚いたものである。世界的に見てもグルメ映画なる分野が本格化するのはこの作品以降であるということを頭に入れて鑑賞してもらいたいですね。デンマーク映画「バベットの晩餐会」などもこれより後。

本筋とは関係ないところで食べ物にまつわる幾多の挿話が漫談的に紹介されるが、漫談のような扱いではなくきちんと紹介されるヤクザ・役所広司の物語は本筋との関係においてどう理解したものか。

それはともかく、この映画がパロディー的に扱っているのは西部劇だけではなく、サイレント時代の邦画、終戦直後の邦画、果てはアラン・レネなのかなと想像させる演出まで披露され、映画マニアほど楽しめる作品に仕立てられている。

エンドタイトルのバックは母乳を飲む赤子。ははあ、これが人間にとっての最初のグルメ体験、てなところですかな。

この記事へのコメント

蟷螂の斧
2023年01月29日 16:22
こんにちは。今日初めてこの作品を見ました。
タンクローリーの運転手と助手が偶然立ち寄ったラーメン屋さん。
土建屋ピスケン、ホームレス(元産婦人科の院長)、他のラーメン屋さんなどいろいろな絡みが面白かったです。

>ヤクザ・役所広司の物語は本筋との関係においてどう理解したものか。

この物語は必要なかったと思います。情婦・黒田福美との色々な場面も。

>やつの家もオール電化なので。

半分はガス機器にすれば良かったと後悔しています。でも家を建てたばかりの頃は子供たちが小さかったし、オール電化の方が安全かと思いました。

>我が家は昨日朝の寒波で給湯管がやられて

大変でしたね。異常な寒波です。地球温暖化ではありません。

>名前に反してワイルドな声ではないです^^

これがデビュー曲ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=UqMcevcUmqg
オカピー
2023年01月29日 17:12
蟷螂の斧さん、こんにちは。

一番古い部類のこの記事への初コメント。
嬉しいですなあ。

>タンクローリーの運転手と助手が偶然立ち寄ったラーメン屋さん。

気分は「シェーン」か(笑)

>オール電化の方が安全かと思いました。

安全という意味ではそうでしょうね。
停電とかあると困るのですけど。

>地球温暖化ではありません。

今回の寒波は関係ないでしょうが、温暖化が水蒸気の大量発生を招き、気候が極端化するのは事実のようです。
核戦争より怖いかも…

>>キム・ワイルド
>これがデビュー曲ですね。

前回の曲は知っていましたが、これは憶えがないです。
1980年の頃はこんな感じの曲(ゴーゴーズ?)やミュージック・クリップが人気がありましたね。
蟷螂の斧
2023年01月30日 21:00
こんばんは。

>嬉しいですなあ。

どうも!17年と1ヶ月前の記事です(笑)。

>気分は「シェーン」か(笑)

バツイチ男と未亡人のプラトニックラヴ?

>停電とかあると困るのですけど。

実際に町内全体が停電になった時にオール電化の無力さがわかりました。

>核戦争より怖いかも…

人間同士が争わなくても死者がたくさん出る。コロナウイルスも然り。

>1980年の頃

思い出すのは
https://www.youtube.com/watch?v=DygedGhVHRU
オカピー
2023年01月31日 21:14
蟷螂の斧さん、こんにちは。

>実際に町内全体が停電になった時にオール電化の無力さがわかりました。

そのうち一般の家でも蓄電器である程度カバーできるようになるかもですね。

>>核戦争より怖いかも…
>人間同士が争わなくても死者がたくさん出る。コロナウイルスも然り。

コロナも環境問題に関連があるようですよ。それまで人間と距離を取っていた色々な動物が人間社会に接近している。

>>1980年の頃
>思い出すのは

田原俊彦の「哀愁でいと」の原曲ですね。夏休みでバイトに行った工場の正社員の男性がこの曲のことを言っていたのを思い出します。

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  • 『タンポポ』この映画を見て!

    Excerpt: 第130回『タンポポ』  今回紹介する作品は見た後に無性にラーメンが食べたくなる『タンポポ』です。初監督作品「お葬式」で高い評価を受けた伊丹十三の監督の第2作目に当たるこの作品。伊丹監督は食べ物を素材.. Weblog: オン・ザ・ブリッジ racked: 2006-11-24 00:06
  • タンポポ

    Excerpt: 基本は寂れたラーメン店をよみがえらせる話です。 食にまつわる話が多々あり、どれもこれも楽しいです。 コメディ映画として上出来です。こういう作品がめっきり減りましたね。 Weblog: 娯楽の殿堂 racked: 2007-02-07 05:58