映画評「波」

☆☆☆(6点/10点満点中)
1952年日本映画 監督・中村登
ネタバレあり

山本有三の同名小説を中村登が映画化したドラマ。

小学校教師・見並行介(佐分利信)は芸者となったかつての教え子に再会して結ばれるが、やがて妻は大学生と不倫の恋の果てに子供を宿し、産褥熱で死ぬ。
 生まれた男児を箱根の女性(淡島千影)に預ける一方で、その妹(津島恵子)と懇ろになるが、彼女はモダンガールで結婚願望はなく他の愛人とも楽しく過ごしたいと言う。結局この関係は彼女のこの言葉により破綻するが、数年後彼は子供を引き取る。
少年は足の悪い父親の真似をして友達に媚を売る。父親は激怒するが、後に少年が自然に足を引きずる場面に遭遇して動揺する。
 もしかしたら「自分の子供」ではないかという疑問が生じたわけであるが、結局一時的な怪我で、少年が彼の子供か否かは分からなくなる。しかし、見並はこの時少年へのわだかまりを完全に捨て去ることに成功する。

文学作品としてはここがハイライトであろう。ここを幕切れにした方が良かったが、実際はそれから十年後(終戦の数年後)息子と二人で海に行く蛇足的な場面を幕切れとしている。惜しい哉。

「女の一生」ならぬ<男の一生>である。たっぷり3時間くらいはかけて描くべき長年の物語なので、110分では駆け足過ぎて物足りない。明らかに説明不足と言える場面が続き、後になって事情が判ってくるというパターンが多すぎるのである。

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