映画評「私のように美しい娘」
☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1972年フランス映画 監督フランソワ・トリュフォー
ネタバレあり
下は、1987年4月に記した古いものです。悪しからず。
フランソワ・トリュフォーとしてはそう名高い作品ではないが、傑作である。話術の巧さで師匠とも言うべきアルフレッド・ヒッチコックに並ぶ。誠に惜しい人を若くして亡くした(84年10月死去。享年52)ものである。
若い社会学者アンドレ・デュソリエが女性の犯罪をテーマにした書物の出版を予告したのに一年経っても出版されないのはどういうわけだろう、というのが始まり。
真面目な彼が殺人容疑で服役中の女囚ベルナデット・ラフォンを研究材料に選んで面会を繰り返すうちにすっかりのぼせ上り、彼女の無罪を証明するために奔走。
出所した彼女は下手な歌で人気歌手になるが、嫉妬深い夫を殺して学者に罪を擦り付ける。それでも彼は愛する彼女が人気者になったので喜ぶが、彼女の有罪を突き止めるべく依頼した老弁護士がその婚約者としてTVで紹介されショックを受ける。
その後シャンソンの名曲「待ちましょう」が流れ、彼の出所を待ち望む恋人の姿が映し出される。
洒落っ気たっぷりにつき全く嬉しくなる幕切れで、フランス伝統の悪女崇拝をベースにトリュフォーが自身の少年院時代に思いを馳せた作りには想像以上に感慨深いものを覚える。
害虫駆除業者シャルル・デネ、歌手、弁護士を次々と手玉に取るヒロインの天衣無縫の悪女ぶりも大きな魅力。
ところで、ヒッチコック「疑惑の影」へのオマージュに気づいた人はいるかな。
1972年フランス映画 監督フランソワ・トリュフォー
ネタバレあり
下は、1987年4月に記した古いものです。悪しからず。
フランソワ・トリュフォーとしてはそう名高い作品ではないが、傑作である。話術の巧さで師匠とも言うべきアルフレッド・ヒッチコックに並ぶ。誠に惜しい人を若くして亡くした(84年10月死去。享年52)ものである。
若い社会学者アンドレ・デュソリエが女性の犯罪をテーマにした書物の出版を予告したのに一年経っても出版されないのはどういうわけだろう、というのが始まり。
真面目な彼が殺人容疑で服役中の女囚ベルナデット・ラフォンを研究材料に選んで面会を繰り返すうちにすっかりのぼせ上り、彼女の無罪を証明するために奔走。
出所した彼女は下手な歌で人気歌手になるが、嫉妬深い夫を殺して学者に罪を擦り付ける。それでも彼は愛する彼女が人気者になったので喜ぶが、彼女の有罪を突き止めるべく依頼した老弁護士がその婚約者としてTVで紹介されショックを受ける。
その後シャンソンの名曲「待ちましょう」が流れ、彼の出所を待ち望む恋人の姿が映し出される。
洒落っ気たっぷりにつき全く嬉しくなる幕切れで、フランス伝統の悪女崇拝をベースにトリュフォーが自身の少年院時代に思いを馳せた作りには想像以上に感慨深いものを覚える。
害虫駆除業者シャルル・デネ、歌手、弁護士を次々と手玉に取るヒロインの天衣無縫の悪女ぶりも大きな魅力。
ところで、ヒッチコック「疑惑の影」へのオマージュに気づいた人はいるかな。
この記事へのコメント
気がつきませんでした...そうなのか...。
ベルナデット・ラフォンのヘタうまな歌い方が頭から離れません。
実際のところオマージュとまでは行かないでしょうが、デュソリエがヒロインの無罪を証明する為に足を使って調査する辺りです。
あの歌は強烈ですね。1ヶ月くらい残るかも。
「疑惑の影」との関係は必ずしもそうとは言い切れないです(苦笑)。しかし、とにかく洒落っ気ですよ。ジョークが解らない人には全く楽しめないタイプの作品だと思います。私は大好きですね。
ラストシーンが「巴里の屋根の下」のオープニングみたいだなあと思ったんですが、如何でしょうか?
学者の雰囲気がウディ・アレンみたいだったんですが、アレンとトリュフォーに精通されているオカピーさんは両者の関係についてナニかご存じでしょうか?
「疑惑の影」・・・、分かりませんでしたぁ。
若い頃のトリュフォーは、ジュリアン・デュヴィヴィエやマルセル・カルネといった詩的リアリズム作家に批判的でした。ルネ・クレールはその中には入っていないと思いますし、「巴里の屋根の下」は意識的に取り入れた可能性は高いですね。素晴らしい幕切れでしたね。
アレンとベルイマンの関係は深いのですが、トリュフォーはどうですかね。アレンの作品にトリュフォーの名前が出てきたことはありますが、トリュフォーがアレンが意識したことは年代的にもないでしょう。
>「疑惑の影」
主人公たちが街路を駆ける場面のタッチが図書館へ急ぐヒロインを意識しているなあと感じたのです。考えすぎかな。