映画評「5 five ~小津安二郎に捧ぐ~」

☆☆★(5点/10点満点中)
2003年イラン=日本映画 監督アッバス・キアロスタミ
ネタバレあり

小津安二郎を愛する映画監督は少なからずいる。有名なところでヴィム・ヴェンダース、アキ・カウリスマキ、記念映画「珈琲時光」を作ったホウ・シャオシェンなどだが、イランの巨匠アッバス・キアロスタミも<小津に捧げる>と称してこんな作品を作った。

しかし、困った。74分の間延々と海を映すだけで、ドラマには勿論ドキュメンタリーにもなっていないので、普通のスタンスでは評価のしようがない。
 タイトルの「5」は、5部構成を意味している。僕の採点5を予測したものではありません(笑)。

最初のパートは波が寄せては帰す浜辺を近くで収め、次は浜辺から数十メートル離れた距離から人通りのある道の向こうに海を捉える。さらに遠くから5匹ほどの犬が戯れる浜辺、次はカモが次々と横切る浜辺、最後は月が反映する夜の海、と音楽を介して場面を繋いでいく。

特に深い意味はなさそうで、キアロスタミ自身も「『東京物語』の老夫婦が見つめている海と思って見て欲しい」と言っているので、ただ無心に眺めることにしよう。

最後の夜のパートは、周りが見えないので、鳥の鳴き声や雷の音を聞いて色々と想像を巡らす楽しみがある。ビデオ撮影なのは物足りないが、こういう作品もあるということで一度観ておくのも悪くはない。

この記事へのコメント

カカト
2006年01月25日 18:45
トラックバックありがとうございます。
有名な監督なのは知っていながら、キアロスタミの映画はこれしか観た事がありません。やはり小津色が強く反映されてる作品が多いのでしょうか?
オカピー
2006年01月26日 01:51
カカトさん、こんばんは。

いいえ、キアロスタミの作風は決して小津風ではありません。
彼は貧民層に目を向けていますので、戦前の一部の作品と通ずるところがあるかもしれませんが、彼の作品では子供が中心となって活躍することが多いです。「友だちのうちはどこ?」などはちょいと泣けますよ。
今の日本にあんな必死な顔をした子供がいるかな。
カカト
2006年01月26日 14:00
なるほど。
やはり規制が厳しくて子どもを題材とした映画が多いのでしょうか?

探して観てみたいと思います。

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  • 「5 five~小津安二郎に捧ぐ~」を観ました

    Excerpt: 「5 five~小津安二郎に捧ぐ~」 2003年イラン・日本 監督 アッバス・キアロスタミ 小津安二郎の生誕100年を機に、「東京物語」をイメージして撮ったオムニバス映画。 Weblog: 私が観た映画 racked: 2006-01-24 15:03