映画評「地下室のメロディー」

☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1963年フランス映画 監督アンリ・ヴェルヌイユ
ネタバレあり

60-70年代フランスのトップ・スター、アラン・ドロンと30年代のトップ・スター、ジャン・ギャバン最初の共演作。

5年の刑期を終えた大物ギャング、ギャバンが刑務所で知り合い先に出所していた若者ドロンとその義兄と協力してカンヌのカジノから10億フランを盗む計画を立てる。警備は厳重だが、唯一隙のあるエレベーターの穴を利用して通風口から金庫室へ忍び込む。

この作品はサスペンスとしては意外と穴があり、ドロンは計画どおり通風口から強盗に入るのだが、ギャバンがあっさりと近づくのはおかしい。最後の大逆転をもたらすカバンについても些か智恵がない。

その割に星が多いのはカンヌの風俗的な魅力をたっぷり取り入れた環境描写が優れていたリ、登場人物の接触にそこはかとない面白味があるからである。
 最近のハリウッド型サスペンスに見慣れている人には何とものんびりした展開に映るだろうが、ムードの醸成というのも映画制作においては大事な要素である。無駄ではない長さなのである。

この記事へのコメント

viva jiji
2006年05月09日 14:55
今、観ると「アホやなあ~!」と思える展開もご愛嬌。私は何となく“ゴージャスな映画”という記憶があるのです。山口瞳と開高健がこさえたサントリーのCMに出てくるウィスキーおじさんが真っ黒なサングラスをかけてるみたいなジャン・ギャバン、ブンブクブンなのに、どうして、あんなにカッコいい?!(笑)
オカピー
2006年05月09日 18:13
viva jijiさん、こんばんは。
jiji⇒爺⇒男性のイメージがあったのですが、記事を読んだら紛れもない女性でございました。失礼致しました。jijiはキキのお友だちのjijiだってんですねえ。♪あの人のママに会うために・・・今一人電車に乗ったの・・・

全てが格好良いですね。ギャバンも良いし、ドロンもね。ヴェルヌイユはのんびりとムードたっぷりに作りますが、のんびりだが無駄はない。現在のハリウッド映画はがちゃがちゃしているけど無駄だらけ。我々の貴重な時間を無駄にさせていますよ。それも分らぬどこぞのあんちゃんねえちゃんは「今の映画はテンポが良くて・・・」などと・・・馬鹿ぬかせという感じです。
ぶーすか
2007年01月29日 15:28
以前にも観たのですが、録画に失敗して冒頭を観ていなかったので、先日やっと全編を観ることができました。映画よりもサントラを先行して聞いていて、期待してたのですが、その期待以上に良かったです。ドロンのバーのウェイターから女の子情報を聞き出すシーンの上手さは感心してしまいました^^)。そして踊子をドライブに連れ出し、喧嘩の末また拾いにゆくという恋いの駆引きの上手さ!いやあーさすがドロン!今までに見たドロン出演の作品では一番好きな作品になりました^^)。貫禄タップリのギャバンは端から見るとキザなんですが、それがシックリ身に付いている感じで流石、格好イイですねー。
余談ですが…
<ウィスキーおじさん
トリスのアンクル船長ですよね^^)。大好きで私のデスクトップはこのアンクルおじさんのカレンダーにしてます。
オカピー
2007年01月30日 01:52
ぶーすかさん、こんばんは。

私はやはり「太陽がいっぱい」。映画的にタイトで、下層階級出身のドロンと重なる部分が戦慄を呼び起こします。スクリューに絡まったモーリス・ロネの手とドロンの手が交錯、彼が「太陽がいっぱい」と浮かれている間に警察が忍び寄る戦慄。また観たくなってしまう。

淀川さんに「じゃがいも」と呼ばれたジャン・ギャバンは何故か格好良いですね。「望郷」は昨年観たので、「我等の仲間」が観たい今日この頃です。最近ちょっと観るチャンスに恵まれません。

<ウィスキーおじさん
それは奇遇ですね。私のデスクトップは子猫ちゃんです。
トム(Tom5k)
2007年02月07日 00:58
オカピーさん、今更ながら、このページへのTB抜けてましたね。ブースカさんの記事から気がつきました。ブースカさんは入院されているようで心配ですね。早くお元気になられればいいですね。
>「我等の仲間」
最高ですよ。何だか日本公開用とオリジナルと二種あるそうです。『地下室のメロディー』のギャバンの奥さん役のヴィヴィアンヌ・ロマンスが、凄いファム・ファタルを演じていました。

オカピーさんの客観評で8点、う~ん、大満足。

ところで、最近、豆酢さんのブログに入りびたりです。彼女も凄い方ですね。ご訪問させていただいて驚きました。クレマン、ロージー、レネあたりの記事にコメントさせていただいてます。
では、また。
オカピー
2007年02月07日 02:44
トムさん
本当ですね。こちらもうっかりしておりました。
この記事は自分の記録用であってブログ用に書いたものではないので、甚だ適当で本当にすみません。
今後アラン・ドロン出演作は真面目に書きますので、宜しく。

>豆酢さん
凄いです。相当映画関連の本を読まれていますね。
私は直感型ですから、余り映画の本は読まないのです。だから、「時代の情景」を訪れた時に、(ヴィスコンティがジャン・ルノワールの助監督をしていたと知って)ヴィスコンティをルノワールを関連付けた自分に本当にびっくりしました(笑)。
しゅぺる&こぼる
2009年06月01日 07:57
おはようさんです。
これは文句なしに面白い映画でした。後半のギャバンの仕事しなさすぎには思わずコントかよと突っ込みいれたくなりますねぇ(笑)
最初のほうの夫婦の会話なども面白いし、フィルム・ノワールは当時の世相や風俗をさりげない会話で浮き上がらせていて、それがまた味わい深いと思いました。
BGMは最高にかっこいい!
オカピー
2009年06月02日 03:20
しゅべる&こぼるさん、こんばんは。

アンリ・ヴェルヌイユは「ヘッドライト」など本来世話物を得意としていた監督ですから、世俗の取り込みが上手いですね。
アメリカのハードボイルド映画とともにフィルム・ノワールは華美さに程遠いし、今の若い人にはどうかと思いましたが、まだまだ若いしゅべる&こぼるさんも楽しめたようで、何よりです。
トム(Tom5k)
2010年06月08日 22:48
オカピーさん、おとうさまのご容態は、その後いかがですか?
わたしは、73になる母親と『地下室のメロディー』を観てきましたよ。さすがに映画館でこういう作品を観ると素晴らしいです。
ビデオで、アメリカ版のカラーバージョンも観たことがありますけれど、この作品はモノクロの方が断然良かったです。
新たな発見としては、ブレッソンの作品や「アヴァンギャルド映画」の影響なども感じたところです。
また、別の記事で取り上げたいと思っています。
では、また。
オカピー
2010年06月09日 13:17
トムさん、こんにちは。

心臓手術そのものは文句なしの成功で、むくんでいた脚が普通になってきました。血液が綺麗に流れるようになった証左でしょう。
地雷みたいな動脈瘤についてはまだ先が見えません。家族としても悩ましいところです。

>カラーバージョン
モノクロとカラーがどちらが良いとは軽々に申せませんが、いずれにしても想像力さえあれば素晴らしいモノクロ映像に秘められた物凄い色を感じるでしょうね。
少なくともモノクロに後から色を付けるなんてのは愚の骨頂でしょう。暗い部分には色が付けにくいので却って見苦しい。
尤も、本作のカラーバージョンは違う手法で作ったのか、しゅぺる&こぼるさんによれば良い発色と聞きました。

>ブレッソンの作品や「アヴァンギャルド映画」
特にブレッソンについては納得です。

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