映画評「サムライ」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1967年フランス映画 監督ジャン=ピエール・メルヴィル
ネタバレあり
何年か前日本未公開のデビュー作「海の沈黙」にひどく感動したジャン=ピエール・メルヴィルの代表作だが、こうして観ると「海の沈黙」と共通する静謐さを感じる。
一匹狼の殺し屋アラン・ドロンが殺しの依頼を忠実に実行するが、警察は執拗に彼を疑う。恋人ナタリー・ドロンに事前にアリバイ作りに協力させていた為首尾よく釈放されるが、依頼側は彼から足が付くのを恐れ殺し屋を派遣。一方、警察は地下鉄に刑事を張り巡らせるが、ここではランプの点灯を活用した追跡・逃亡場面がなかなか手に汗を握らせる。
依頼側は方向転換、ドロンを見ながら彼を庇った女性ピアニストのカティ・ロジェをドロン自身に殺させようとする。が、ドロンは弾丸を抜いて殺しの現場に向かい、待ち受けていた警官に射殺されてしまう。
ドロン扮する殺し屋の行動をタイトルの示す侍にオーヴァーラップさせるのに抵抗を覚える日本人も少なくなかろうが、小鳥を可愛がる主人公に侍の孤高を感じる人もいるだろう。久々に観たがやはりこの静けさは胸に迫る。
1965年から66年にかけてドロンはハリウッド進出を図って失敗、失意の日々を迎えるが、「冒険者たち」とこの作品からドロンの第2期黄金時代が始まり、そのフィルモグラフィーの大半がフィルムノワールに占められるようになる。
1967年フランス映画 監督ジャン=ピエール・メルヴィル
ネタバレあり
何年か前日本未公開のデビュー作「海の沈黙」にひどく感動したジャン=ピエール・メルヴィルの代表作だが、こうして観ると「海の沈黙」と共通する静謐さを感じる。
一匹狼の殺し屋アラン・ドロンが殺しの依頼を忠実に実行するが、警察は執拗に彼を疑う。恋人ナタリー・ドロンに事前にアリバイ作りに協力させていた為首尾よく釈放されるが、依頼側は彼から足が付くのを恐れ殺し屋を派遣。一方、警察は地下鉄に刑事を張り巡らせるが、ここではランプの点灯を活用した追跡・逃亡場面がなかなか手に汗を握らせる。
依頼側は方向転換、ドロンを見ながら彼を庇った女性ピアニストのカティ・ロジェをドロン自身に殺させようとする。が、ドロンは弾丸を抜いて殺しの現場に向かい、待ち受けていた警官に射殺されてしまう。
ドロン扮する殺し屋の行動をタイトルの示す侍にオーヴァーラップさせるのに抵抗を覚える日本人も少なくなかろうが、小鳥を可愛がる主人公に侍の孤高を感じる人もいるだろう。久々に観たがやはりこの静けさは胸に迫る。
1965年から66年にかけてドロンはハリウッド進出を図って失敗、失意の日々を迎えるが、「冒険者たち」とこの作品からドロンの第2期黄金時代が始まり、そのフィルモグラフィーの大半がフィルムノワールに占められるようになる。
この記事へのコメント
失礼ながら『テーマ「アラン・ドロン」の記事』にリンクさせていただきましたので、連絡まで。
この『サムライ』もドロンにとっては、記念碑的な作品ですよね。フェードインするときの『武士道』の言葉は、新渡戸稲造『武士道』からの引用ではないようですね。
ドロン以外の記事も楽しみにさせていただいています。
TB有難うございました。
そして、Tomさんのような素晴らしいブログにリンクして戴き、光栄です。私のほうも以前より勝手にリンクさせて戴いております。遅くなりましたが、宜しくお願い致します。
アラン・ドロンの作品は殆ど観ていると思います。初期の「お嬢さん、お手やわらかに」あたりから。しかし、先ごろNHKで再放送していたTVシリーズは観ておりません。
私の中の“ドロンの魅力が漂う作品”として
「太陽がいっぱい」と並んで、
この「サムライ」があげられます。
大好きな作品です!
影のある寡黙な男を演じるドロンに
個人にはとても惹かれるものですから…
ダリダとデュエットした「あまい囁き」や
TVのCM(ダーバン)で
ドロンの肉声を知ったとき、
野沢那智さんとはちょっとギャップが
ありましたけれど・・・(笑)
アラン・ドロンが最もドロンらしいのは、初期では「太陽がいっぱい」、中期と言うべきでしょうか、第二期黄金時代ではこの「サムライ」でしょうね。
ドロンはやはり余り喋らないのが断然良い!
>ダリダ
懐かしいですね。
丁度その頃ダーバンのCMも始まりましたよね。
>ドロンの肉声
あはは。僕も全く同じ。
何しろ映画ファンになったきっかけの一つが、TVで観た「太陽がいっぱい」ですから。
尤もこの時の吹き替えは、もう一人のお馴染声優・堀勝之祐さんだったらしいですが、70年代はドロン=那智さんでしたよね。
コメント返しありがとうございます!
そうそう、野沢那智さんと並んで
堀勝之佑さんもドロン担当の
声優さんとして活躍されていましたね。
残念ながら野沢那智さんは2010年に72歳で
他界なされましたが
堀さんは今でもナレーション等でご活躍
されていますよね。
野沢さんには思い出が…
白石冬美さんとコンビでのTBSラジオの
深夜放送「那智チャコパック」が大好きで、
2度投稿した面白話(長文)が採用されまして。
当時、大感激したものでした(笑)
//グレゴリー・ペック→城達也さん
マリリン・モンロー→向井真理子さん
ジャン・ギャバン→森山周一郎さん
オードリー・ヘップバーン→池田昌子さん//
etc...
懐しい外国の俳優さんを思いだすとき、
即座に声優さんの声が浮かんできますね。
私は洋画は字幕派なのですが。
常日頃から声優さんのスキルの高さは
凄いなぁと思っています。
ドロンが好きになったのは、
淀川さんの日曜洋画劇場で観た、
スペンサー・トレーシー主演の
「ジキル博士とハイド氏」と
「山」のワンシーンが子供心に
トラウマになったのを覚えています。
だいぶ前に来日されたドロンさんが
スマスマに出演されたことがあったかと?
ごくごくフツーのおじさん…っていう印象で
私の中のドロンさま像が
覆されたのを覚えています(爆笑)
やっぱりドロンは、、、
>余り喋らないのが断然良い!
同感でーす!!(笑)
>深夜放送「那智チャコパック」
懐かしい!
大学時代聞いていたなあ。
そんなことをしているうちに、昼夜逆転して、ひどい目にあいましたけど(笑)。
当方ラジオやテレビへの投稿・投書はなくて、新聞に二度ほど掲載されたことがあるだけです。
>声優さんの声
キャンディス・バーゲンの鈴木弘子さん
ジェーン・フォンダの小原乃梨子さん
チャールトン・ヘストンの納谷悟朗さん(先日亡くなったばかりですね)
といった方も印象に残っています。
僕も断然字幕派なので、衛星放送が始まってから凡そ20年、その間に洋画を吹き替えで観たのは数本です。
今は映画館でも吹き替えで上映する時代で、全く怪しからんと思っている次第。
>「ジキル博士とハイド氏」
この時、淀川さんがイングリッド・バーグマンとラナ・ターナーが普段とは逆の配役なのが面白いですねえ、と例の口調で仰っていた記憶があります。
アメリカへ渡ったばかりのバーグマン故にそうなったわけですが、当時の僕はそこまで知らなかったですから、色々と勉強しましたね。
「山」は淀川さんのラジオで詳細に語ったお話の方が面白いというか、凄かったので、実物の印象が却って薄くなった例となりました^^;
>フツーのおじさん
ドロンも年には勝てずということですね^^
ジェームズ・ディーンなども生きていればどうなったことか(苦笑)。
この「サムライ」は「フレンチ・フィルム・ノワール」の傑作ですよね。双葉師匠は70点をつけています。
>小鳥を可愛がる主人公に侍の孤高を感じる人もいるだろう。
そう思います。
>当方は眠狂四郎を見ているから言うのですが(笑)
眠狂四郎よりも先に机龍之介を見た人が羨ましいです。また違った感想を持った事でしょう。
>主役は、まあ、大菩薩峠でしょう。
なるほど。
>もう香港映画もろくに入って来ませんよ。
寂しいものです。1980年代、いろいろな香港映画を見るのが楽しみでした。
>ナタリー・ドロンが亡くなりましたね。
最新ニュースですね。僕はコメントを読むまで知りませんでした。
本作がデビュー作。出演作は多くないですが、日本では人気がありました。「個人教授」の印象が強かったのだろうなあ。
仕方がないデス。コロナでなくてまだ良かったかな。
合掌!
>双葉師匠は70点をつけています。
これは相当厳しいと思います。師匠は、フランス流のモタモタした見せ方に辛口でした。その一方で、そうした一見無駄のような描写を愛したところもあり、師にはそう単純に分析できないところがあります(笑)。
>眠狂四郎よりも先に机龍之介を見た人が羨ましいです。
僕もそう思います。
>寂しいものです。1980年代、いろいろな香港映画を見るのが楽しみでした。
映画としてのレベルはどうということのないものが多かったですが、当時の日本映画にないことをやって、日本映画に多少影響を与える所もありましたね。しかし、70年代の香港映画はTVに仕事を奪われた日本映画人の教授によるものが多いので、まあ逆輸入と言っても良いのかも。
僕の中学時代、漫画を描くのが得意な同級生たちが集まって、一冊の大学ノート(今や死語?)にそれぞれ漫画を描くのが流行りました。リーダー格の人が漫画は主人公が死ぬのを描く事が多かったです。もしかして「サムライ」も含めたフランス映画の影響だったかも知れません。
>僕のいうバカというのは、自分のことしか考えない人々です。トランプとか、プーチンとか、習近平とか。日本の議員にも多いですよね。
そう言う人たちが国を動かすとは嘆かわしいです。
幕末を舞台にした時代劇や映画、漫画でよくある場面。例えば坂本龍馬が「メリケンっちゅう国は入れ札で殿様を決めるんじゃぞ。自由な国じゃあ!」と言う。皆が驚く。しかし、今のアメリカはどうなんでしょうか?
>氏子総代の立場としては止めろとは言いにくい
同じような事で悩む人が増えています。
>ポール・マッカートニーと同じくらい音楽活動に頑張ってほしいであります。
1990年。東京ドームで見たポールのコンサート。今でも良き思い出です。
https://www.youtube.com/watch?v=r9mkd8DnB4U
>もしかして「サムライ」も含めたフランス映画の影響だったかも知れません。
1970年代であれば、そうかもしれませんね。
>しかし、今のアメリカはどうなんでしょうか?
選挙にインチキがあったなどと平気で言う政治家は、もはや民主主義国の政治家ではないですよ。
トランプが再び大統領になったら、アメリカどころか世界はあぶないです。日本の政治家にとってやりやすいのは明らかに常識のあるバイデンで、トランプの場合は翻弄されて苦労するでしょうね。