映画評「8人の女たち」
☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
2002年フランス映画 監督フランソワ・オゾン
ネタバレだらけ、未見の人読むべからず
この洒落っ気たっぷりの楽しい作品を作ったフランソワ・オゾンの前作が美しいが神妙な「まぼろし」と知れば、そのサムライぶりに驚かされる。勿論、表面的な差異を無視すると共通する部分も少なからずあるわけだが、「女性の生き方」といったテーマでこの作品を見ても余り面白くないので、敢えてそうした見方はしない。
1950年代、フランスの郊外の雪に閉ざされた邸宅に、会社社長である邸宅の主の妻カトリーヌ・ドヌーブ、その妹イザベル・ユペール、二人の母ダニエル・ダリュー、カトリーヌの長女ヴィルジニー・ルドワイヤン、次女ルディヴィーヌ・サニエ、社長の妹ファニー・アルダン、社長の愛人でメイドのエマニュエル・べアール、黒人のメイドの計8人の女性達が集まったところで、次女が父親の死体を発見する。
外部の犯行の可能性が低い為に疑心暗鬼になる女性たちが互いを責め合ううちに様々な事実が判明していくというお話で、ヴィルジニーがカトリーヌの前夫の娘で、義父の子供を宿しているなんてことも明らかになる。
途中から完全に雪に閉ざされ、ちょっとした極限状況ミステリーなのだが、推理の中に面白いものも幾つかあり、しかも、これだけの豪華なフランス大女優陣がいかにもフランス的なのんびりとしたミュージカル場面を展開するのだから嬉しくもなる。
最後死んだと思った主人が実は生きていることを次女が発表してアッと驚いたのも束の間、騒ぎを通して女性達の真実の姿を知った彼が悲観して拳銃自殺する幕切れが皮肉たっぷりで、「こういう映画は暫くぶりだなぁ」と感服することしきり。話の巧妙さと洒落っ気でここまで見せきった作品は近年そうはない。これぞフランス流エスプリである。
2002年フランス映画 監督フランソワ・オゾン
ネタバレだらけ、未見の人読むべからず
この洒落っ気たっぷりの楽しい作品を作ったフランソワ・オゾンの前作が美しいが神妙な「まぼろし」と知れば、そのサムライぶりに驚かされる。勿論、表面的な差異を無視すると共通する部分も少なからずあるわけだが、「女性の生き方」といったテーマでこの作品を見ても余り面白くないので、敢えてそうした見方はしない。
1950年代、フランスの郊外の雪に閉ざされた邸宅に、会社社長である邸宅の主の妻カトリーヌ・ドヌーブ、その妹イザベル・ユペール、二人の母ダニエル・ダリュー、カトリーヌの長女ヴィルジニー・ルドワイヤン、次女ルディヴィーヌ・サニエ、社長の妹ファニー・アルダン、社長の愛人でメイドのエマニュエル・べアール、黒人のメイドの計8人の女性達が集まったところで、次女が父親の死体を発見する。
外部の犯行の可能性が低い為に疑心暗鬼になる女性たちが互いを責め合ううちに様々な事実が判明していくというお話で、ヴィルジニーがカトリーヌの前夫の娘で、義父の子供を宿しているなんてことも明らかになる。
途中から完全に雪に閉ざされ、ちょっとした極限状況ミステリーなのだが、推理の中に面白いものも幾つかあり、しかも、これだけの豪華なフランス大女優陣がいかにもフランス的なのんびりとしたミュージカル場面を展開するのだから嬉しくもなる。
最後死んだと思った主人が実は生きていることを次女が発表してアッと驚いたのも束の間、騒ぎを通して女性達の真実の姿を知った彼が悲観して拳銃自殺する幕切れが皮肉たっぷりで、「こういう映画は暫くぶりだなぁ」と感服することしきり。話の巧妙さと洒落っ気でここまで見せきった作品は近年そうはない。これぞフランス流エスプリである。
この記事へのコメント
凄い貫禄...。
若い時を観過ぎでしょうか。
それを言ったらおしまいよ。確かに「シェルブールの雨傘」のような線の細さは期待すべきもないですが、40年も経てば仕方がないですかねえ。
女の子って短い時間でこんなにも変っていくんだなぁと思ってしまったりします。
私はルディヴィーヌ嬢より、ヴィルジニー・ルドワイヤンが気になっていました。
先般けしからん配役でわが愛する「ルパン」が映画化されましたが、ルパンはやはり陰のある貴族的魅力も備えたアラン・ドロン、クラリスはヴィルジニー嬢といったところ。年代的にばらばらの夢のキャストですけどね。カリオストロ伯爵夫人は、ファニー・アルダンのもう少し若い時など、いかが?
どこかパロディっぽくて,最初から,うまく歌ってカッコよく踊ろうなんて考えてもいないような雰囲気が良いですね。
女優陣ではE・べアールが色っぽくて良かったですが,それより何より,あのダニエル・ダリューが今ごろ映画に出てきて歌ったり踊ったりするのを信じられない思いで観ました。
十代から八十代までの各世代を代表するような豪華女優の顔ぶれに驚いただけではなく、その彼女たちが素人っぽくシング・アンド・ダンスを披露する、というフランス流エスプリにさすがと思ったものです。何と言っても幕切れが良い意味で演劇的で、素晴らしいですが。
ダニエル・ダリュー・・・30年代の大人気アイドルで、その後ずっと現役で一線を張ってきた大女優ですね。日本には相当する映画女優はいません。
オゾンらしいと言えばそうですが、これがフランス流のエスプリですよ。トリュフォーの埋もれた傑作「私のように美しい娘」や、50年代の「自殺への契約書」なども、手触りとしては同じような感じです。
>「シェルブールの雨傘」
これはこれで傑作です。全編台詞なしですし、傘の俯瞰撮影にしびれまくりました。最近観ていないので、時間を作って観たいのですが。