映画評「アイ、ロボット」

☆☆☆★(7点/10点満点中)
2004年アメリカ映画 監督アレックス・プロイヤス
ネタバレあり

ロボット三原則で有名なアイザック・アシモフの同名SF小説から着想を得ているが、その直接の映画化ではないようである。

ロボット三原則とは、「ロボットは人間に危害を加えないこと」「ロボットは人間の命令に従うこと」「ロボットは自己を守ること」を指し、一番最初が絶対原則であるが、これを伏線として映画はスタートする。

2035年の未来は様々な場所でロボットが普及しているが、ロボット嫌いの刑事ウィル・スミスが旧知である工学博士の自殺現場であるロボット・メーカー大手USR社に駆け付け、そこで突然襲い掛かり逃走したロボットを追跡する羽目になる。
 サニーと自称するロボットは、一旦警察の手を経てUSR社のロボット心理学という妙な分野で働いている美人ブリジット・モイナハンの調査に付され、やがて解体される運命だが、スミスの方は解体用ロボットに追われたり、ロボット群に教われたり散々な目に遭う。
 彼女はサニーがロボット三原則を自ら管理出来る特殊なロボットであることを突き止めるが、その頃街ではロボットの叛乱がピークに達する。

最後の方はフリッツ・ラングの「メトロポリス」を思い起こさせる物語になるが、サニーというロボットの扱いが良い。
 まずはヒッチコック的で、「海外特派員」の風車の如く他のロボットと違うということでスミスの目を引かせるという発想が良いこと。但し、風車ほどの視覚的な面白さはない。ウィンクの意味を知らなかった彼が大事なところでウィンクするのも気が利いている。

ミステリー趣味をちりばめたのがそこそこ楽しめた主要因だが、スミスがロボット嫌いになった理由や博士との関係が物語の展開上無駄にならないなど、物語の結構(構成)が意外にしっかりしていることも指摘しておきたい。

この記事へのコメント

viva jiji
2006年08月09日 21:47
そんなにファンでもないのですがウィル・スミスの出演作にあまりひどいのはなくて彼の映画はほとんど観ることにしています。「私の中の6人の他人」から気になっています。本作はプロフェッサーご指摘のようにロボットのサニーが主役スミスを凌駕しています。決して派手さはありませんが良くできた作品。「メトロポリス」の女性ロボットも色っぽかったけれど本作のサニーもほんのりとした色気と哀しみの表情もあったような。
オカピー
2006年08月10日 03:09
viva jijiさん
「私の中の6人の他人」は前半抜群、後半やや種を明かされたミステリーのような印象がありましたが、面白い映画でしたね。
ハードなSFファンからはいちゃもんをつけられ、ミーハーからつまらないと言われているに違いないこの作品を注目する辺りが只者ではないところ。恐らく本格映画ファン向けの映画です、「コラテラル」と同じように。
ぶーすか
2007年06月01日 08:17
<ミーハーからつまらないと言われているに違いない
まったく私はミーハーなので、物足りなく感じました^^;)。
「メトロポリス」はもっと古典ですが、未来都市やロボッタはこちらの方がずっと重厚で美しいデザイン。それに比べてダサいサニーにあまり感情移入できませんでした^^;)。
オカピー
2007年06月01日 23:56
ぶーすかさん

>ミーハー
私の言うミーハーは、映画を娯楽の中のone of themとして大作、話題作しか見ない連中のことですよん。

>サニー
viva jijiさんが仰るように、寧ろロボットロボットしているからクラシックなSFらしくて良いのではないか、と。余り洗練されているとテーマが変わってしまう気がします。

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