映画評「めぐりあい」
☆☆☆(6点/10点満点中)
1968年日本映画 監督・恩地日出夫
ネタバレあり
恩地日出夫はTVの仕事が多くて、91年の「四万十川」での良い仕事は知っているが、それ以外は66年の「あこがれ」を観たのみ。しかし、この二作だけでも良い感覚を持っていることを十分感じさせた。
川崎の自動車工場の組立て工員・黒沢年男は、ベアリング店に勤める酒井和歌子と親しくなるが、父親のリタイアを目前に進学する弟や妹を抱えてプレッシャーに押し潰されそうになっている。そんな鬱屈をデートで紛らわそうとするが、彼女はお固い上に次の約束を反故にされて荒れる。母親の交通事故死の為彼女は約束を守れなかったのだが、左遷されて益々荒む彼は、彼女が出向いて何とか再会しても迎え入れようとしない。しかし、下等と思っていた新しい職場にやりがいと覚えた時彼は遊園地に転職した彼女の前に現れる。
60年代成長真っ盛りの日本経済の中で歯車のように働かねばならない若者たちの青春像である。ほぼオール・ロケで、工場の現場、酒場、野球場、遊園地といった風景の中に当時の感覚がよく定着出来ているのではないかと思う。特に、開巻直後と幕切れのラッシュアワーの描写は主題をうまく表わし、夫々の家族の事情も十二分に、しかし、重くならない程度に織り込み、若い二人の恋愛模様を構成している。
黒沢年男と酒井和歌子が初々しく、どこか懐かしい。
1968年日本映画 監督・恩地日出夫
ネタバレあり
恩地日出夫はTVの仕事が多くて、91年の「四万十川」での良い仕事は知っているが、それ以外は66年の「あこがれ」を観たのみ。しかし、この二作だけでも良い感覚を持っていることを十分感じさせた。
川崎の自動車工場の組立て工員・黒沢年男は、ベアリング店に勤める酒井和歌子と親しくなるが、父親のリタイアを目前に進学する弟や妹を抱えてプレッシャーに押し潰されそうになっている。そんな鬱屈をデートで紛らわそうとするが、彼女はお固い上に次の約束を反故にされて荒れる。母親の交通事故死の為彼女は約束を守れなかったのだが、左遷されて益々荒む彼は、彼女が出向いて何とか再会しても迎え入れようとしない。しかし、下等と思っていた新しい職場にやりがいと覚えた時彼は遊園地に転職した彼女の前に現れる。
60年代成長真っ盛りの日本経済の中で歯車のように働かねばならない若者たちの青春像である。ほぼオール・ロケで、工場の現場、酒場、野球場、遊園地といった風景の中に当時の感覚がよく定着出来ているのではないかと思う。特に、開巻直後と幕切れのラッシュアワーの描写は主題をうまく表わし、夫々の家族の事情も十二分に、しかし、重くならない程度に織り込み、若い二人の恋愛模様を構成している。
黒沢年男と酒井和歌子が初々しく、どこか懐かしい。
この記事へのコメント
当時中学生だった私は、酒井和歌子目当てに見に行ったんですが、雨降る中の、トラックの荷台でのキスシーンがショックでした。
年男さんはおとぼけキャラで今でもTVでご活躍ですが、和歌子さんはさっぱりお見かけしませんねぇ・・・。
>ショック
そうでしょうね。この作品の和歌子さんは目が一重なような感じで、70年代の和歌子さんとイメージがちょっと違いました。
和歌子さんと言えば、71年頃彼女が出ていたこわ~いシリーズ「火曜日の女」の中のミニ・シリーズが「犬神家の一族without金田一耕助」だったとつい最近知りました。怖いものを観たというイメージがあったのですが、「火曜日の女」という番組タイトル以外は何も分らず、35年前にできたしこりが取れた感じです。
彼女の行方は杳として知れず、ですね(ちょっと大げさ)。