映画評「ヴィレッジ」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2004年アメリカ映画 監督M・ナイト・シャマラン
ネタバレあり
「シックス・センス」(第3作)で大成功を収めて一本ごとに15億円もギャラを稼ぐ脚本家・監督となったM・ナイト・シャマランの第6作だが、僕は彼を余り高く評価していない。映画は全体のバランスをもって評価に値すると考えているので、最後の一幕で観客を驚かすことを目標にしているような彼の作風には感心出来ないのである。
19世紀末のペンシルヴェニアの小さな村が舞台で、村人たちは【森を抜けないこと】【赤い色は封印すること】【鐘が鳴ったら注意すること】という三つの掟を堅く守っているが、外の世界に好奇心を抱く若者ホアキン・フェニックスと村の指導者ウィリアム・ハートの次女ブライス・ダラス・ハワードの恋に、知的障害気味のエイドリアン・ブロディーが絡んだことから、村の侵すべからざる秘密が暴露されることになる。
最後は「なるほど」と思わせるところもあるが、それだけでは評価しない立場を取る以上、それ以前の物語や演出に注目する必要がある。
テーマとしては新旧の対立とそれにより起こる確執と意外な真実。サスペンス映画としての古典的ムード醸成は、撮影監督ロジャー・ディーキンズの赤を中心とした色彩感覚溢れる映像美により上出来の部類であるが、サスペンスを生み出すネタは無残に皮を剥がれた家畜くらいしかないので、パワー不足の感は否めない。
シャマランはそろそろ<どんでん返し>から脱却すべきであろう。
2004年アメリカ映画 監督M・ナイト・シャマラン
ネタバレあり
「シックス・センス」(第3作)で大成功を収めて一本ごとに15億円もギャラを稼ぐ脚本家・監督となったM・ナイト・シャマランの第6作だが、僕は彼を余り高く評価していない。映画は全体のバランスをもって評価に値すると考えているので、最後の一幕で観客を驚かすことを目標にしているような彼の作風には感心出来ないのである。
19世紀末のペンシルヴェニアの小さな村が舞台で、村人たちは【森を抜けないこと】【赤い色は封印すること】【鐘が鳴ったら注意すること】という三つの掟を堅く守っているが、外の世界に好奇心を抱く若者ホアキン・フェニックスと村の指導者ウィリアム・ハートの次女ブライス・ダラス・ハワードの恋に、知的障害気味のエイドリアン・ブロディーが絡んだことから、村の侵すべからざる秘密が暴露されることになる。
最後は「なるほど」と思わせるところもあるが、それだけでは評価しない立場を取る以上、それ以前の物語や演出に注目する必要がある。
テーマとしては新旧の対立とそれにより起こる確執と意外な真実。サスペンス映画としての古典的ムード醸成は、撮影監督ロジャー・ディーキンズの赤を中心とした色彩感覚溢れる映像美により上出来の部類であるが、サスペンスを生み出すネタは無残に皮を剥がれた家畜くらいしかないので、パワー不足の感は否めない。
シャマランはそろそろ<どんでん返し>から脱却すべきであろう。
この記事へのコメント
M・ナイト・シャマラン監督は、ヒッチコック監督に影響を受けているとかですが、今のところ全然及ばないようです。
次回作に期待?できるのでしょうか…、もう見ないかも…。
「シックス・センス」の大当たりでシャマランに限らず、<どんでん返し>に夢中になっている感がありますが、もう腹いっぱいという感じですね。
ヒッチコックの後継者と目された監督は数名いますが、ブライアン・デ・パルマが一番接近したかな、という印象。「羊たちの沈黙」のジョナサン・デミもヒッチコッキアンと聞きますが、リメイク版「シャレード」観ると、全くひどいものですし。ヒッチはやはり別格です。
絶対これは何かあるというつもりで見てしまうので、どの映画もラストが読めてしまう部分があって、面白さ半減です。
「どんでん返し」のない素直な映画も見て見たい気がしてしまいます。
ベルさんはこの作品自体はお好きでしたね。
<どんでん返し>自体には何の罪もないのですが、途中の作り方に手を抜いてはその効果を発揮できません。誰も意識的に手を抜いているわけではありませんが、その部分の創意工夫が足りないと<どんでん返し>だけの映画になってしまいますし、シャマランのようにいつもどんでん返しを使っていると、もはや<どんでん返し>になりません。
複数の時間軸も<どんでん返し>もない正攻法の作品で見ごたえのある作品が作れれば、映画作家として1ランク上がるでしょうね。
コメントを含めて色々書いていますので、もはや書くことはありませんが、シャマランやピーター・ジャクスン(「ロード・オブ・ザ・リング」)がスピルバーグより良いギャラを稼ぐのは納得できません。それは歴史が証明するでしょうけれど。
今回はどんでん返しというよりは、答えはこうだったんだよと言われてるみたいでした(あまり変わらない?w
哀しい思いをした人たちが選んだ方法だけど、子供たちにとっては生きるためには森を出ることだって必要なんじゃないかと思うのは自然なことなんだと思いました。
でも・・・サスペンスとしては確かにドキドキ感の演出はあまり成功してませんでしたね(苦笑
変則的なアーミッシュものと言えるのかもしれませんね。あっ、未見の人、ごめんなさい。未見の人がこれを読む確率は1億分の1くらいでしょうけど(笑)。
ちょっと馬力が薄かったのは確かですね。
ギャラが多すぎるのが気になりますが、まあ、客が呼べる映画人ということなんでしょう。
ん~やっぱり見方は人それぞれですね(¨`)
あたしはシャマランさんを悪いとは思いません。
バランスこそ悪いですが、それが彼の手法と思います。
いわゆるどんでん返し。
確かにバランスは悪いけど、監督が伝えようとしている言葉を読むと、何かジーンとくるものがあります。
それに、毎度の監督探しは楽しいですしね(´`)♪
>シャマラン
いや、彼が彼の作品の中で何をしようと勝手なのですが、「シックス・センス」が余り成功してしまったのが問題なんですよね。
あの映画の成功の原因の一つは【どんでん返し】でした。それ自体には何の罪もないですが、それを真似る映画が次々と出た為に観客は映画の中のサスペンスを楽しむより、作者との闘いを楽しむようになってしまい、しかも【どんでん返し】を前提に観ているので、何をやっても【想定内】という現象が起きているわけです。
しかもそれが「映像の嘘」という御法度により成立したものですから、観客が映像を信じなくなった為に、純サスペンス映画というジャンルが死んでしまったのです。
これはヒッチコックを愛するサスペンス映画ファンとしては残念なことです。
永久に死んでしまったか、或いはもう何年かで復活するか。
その意味でシャマランを呪っているんですよ、僕は(笑)。でも本作にはまずまずの6点を進呈してもいるんです。