映画評「コラテラル」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
2004年アメリカ映画 監督マイケル・マン
ネタバレあり
「ヒート」でアクション演出に上手いところを見せたマイケル・マンがその腕前をいかんなく発揮した話題作。実際にはトム・クルーズの悪役が話題になったわけだが、僕は基本的に監督に注目している。
タクシー運転手のジェイミー・フォックスが女性検事ジェイダ・ピンケット・スミスを乗せ、気が合って上機嫌、というのがプロローグで、運転手のプロフィールと伏線が盛り込まれている。彼女と入れ替えに銀髪のトム・クルーズが乗って来て、いよいよ本論。
一夜の間に5人の<友人>に順繰りに会う必要がある彼は貸し切りにしようとチップをちらつかせるが、彼の入って行った建物から男が降って来る。男はプロの殺し屋で、死体をトランクに収めてフォックスを人質状態にし、次の目的地にタクシーを向わせる。
極めて変則的なロードムービーと言えないこともないのだが、どんでん返しや時間軸を複数にしないと映画ではないといった風潮のある感心できない時代にあって、実に見通しの良い直線型に徹している点が大いに気に入った。
殺し屋がなかなかインテリで含蓄のある言葉を適度に吐き散らすのも面白く、二人の変則的な相棒関係のような扱いを維持した後、後半意気地のない運転手が殺し屋の言葉を反復して見栄を切る場面などニヤッとさせる。
終盤はご都合主義と言うべきか、二人の登場人物の活動に調子の良さが見え始めるが、作品の狙いを考慮するとそれは殆どマイナスにならない。リアリズムに拘ると幅広い映画鑑賞はできず、それよりは腰のある展開とパワフルな描写を純粋に楽しんだ方が得ということである。
マンもさることながら、脚本のスチュアート・ビーティを評価したい。夜のロスだけで展開させた環境設定、洒落た台詞、終盤に女性検事を再登場させる、という定石を逆にうまく利用した構成がいずれも優秀。
2004年アメリカ映画 監督マイケル・マン
ネタバレあり
「ヒート」でアクション演出に上手いところを見せたマイケル・マンがその腕前をいかんなく発揮した話題作。実際にはトム・クルーズの悪役が話題になったわけだが、僕は基本的に監督に注目している。
タクシー運転手のジェイミー・フォックスが女性検事ジェイダ・ピンケット・スミスを乗せ、気が合って上機嫌、というのがプロローグで、運転手のプロフィールと伏線が盛り込まれている。彼女と入れ替えに銀髪のトム・クルーズが乗って来て、いよいよ本論。
一夜の間に5人の<友人>に順繰りに会う必要がある彼は貸し切りにしようとチップをちらつかせるが、彼の入って行った建物から男が降って来る。男はプロの殺し屋で、死体をトランクに収めてフォックスを人質状態にし、次の目的地にタクシーを向わせる。
極めて変則的なロードムービーと言えないこともないのだが、どんでん返しや時間軸を複数にしないと映画ではないといった風潮のある感心できない時代にあって、実に見通しの良い直線型に徹している点が大いに気に入った。
殺し屋がなかなかインテリで含蓄のある言葉を適度に吐き散らすのも面白く、二人の変則的な相棒関係のような扱いを維持した後、後半意気地のない運転手が殺し屋の言葉を反復して見栄を切る場面などニヤッとさせる。
終盤はご都合主義と言うべきか、二人の登場人物の活動に調子の良さが見え始めるが、作品の狙いを考慮するとそれは殆どマイナスにならない。リアリズムに拘ると幅広い映画鑑賞はできず、それよりは腰のある展開とパワフルな描写を純粋に楽しんだ方が得ということである。
マンもさることながら、脚本のスチュアート・ビーティを評価したい。夜のロスだけで展開させた環境設定、洒落た台詞、終盤に女性検事を再登場させる、という定石を逆にうまく利用した構成がいずれも優秀。
この記事へのコメント
何をもってゴミと申されるか材料がないのでコメントしようがありませんが、私の反論は下記の通り。
①まず簡単に最高点、最低点など付けるべきではありません。私が10点を付ける確率は、昔の映画を除けば、0.1%くらい。
②つまらないから悪い映画ということにはならない。
③人間がつまらないと感じるケースは二通りです。
a)観た人間より映画のレベルが低い場合
b)観た人間より映画のレベルが高い時(ブログ等で酷評しているケースは大半がこちら)
映画批評30年の私がはじき出す採点は<一人IMDb>と言われるほど精度が高いと自負しておりますが、因みにIMDbの投票者延べ36000人の採点平均は7.7とかなりのハイ・アベレージ。7点以上を入れた方が85%を占め、私の採点は寧ろ平均的です。これから投票に参ります。
そこまで深く読み取れなかったので、軽く見るには丁度いい感じの映画だなぁ・・・とサラっと流してしまいました。特筆出来るほどの楽しさが私にはみつけられなくて・・・(^o^;
面白くないわけじゃなく、なんだかソツがないような展開で「ふぅん、なるほどねぇ」で終わってしまいました。
個人的にスナイパーは、そんな情けない死に方しないでよーーー!って気分だったんです(笑)
あ、スナイパーものといえば、ジャッカルの日 が大好きです。
ツボさえ外さなければ、映画は、どんな印象を持とうと自由ですので、chibisaruさんものびのびと観て、のびのびと感想を述べて下さい。
僕はラストは気に入っています。シュワやスタローンものとは一線を画して、殺し屋もタクシー運転手も切ない人生を送るものだ、といったニュアンス。体育会系ではなく文系のアクションとでも言いましょうか。
>「ジャッカルの日」
あれは傑作ですよ。10点かな。あの映画と比べれば、「コラテラル」は映画としては甘いです。