映画評「シークレット・ウィンドウ」
☆☆★(5点/10点満点中)
2004年アメリカ映画 監督デーヴィッド・コープ
ネタバレあり
「シックス・センス」以来サスペンス映画というジャンルにおいてどんでん返しが大流行し、その大義名分の下に目に余るほどの出鱈目がまかり通っている。原作は映画化キングのスティーヴン・キングだが、映画版から判断する限り実に映画に向いていない物語と言うしかない。
主人公ジョニー・デップはミステリー作家で、謎の男ジョン・タートゥーロから盗作の疑惑をかけられる。男の執筆はデップの発表の2年後と全く出鱈目なのだが、彼は愛犬を殺し別居中の妻の家を焼き、嫌がらせをエスカレートしていく。
いくら<ネタバレあり>とは言っても、後半の物語を記すのは忍ぼうと思うが、「サイコ」の直系子孫といった印象があり、しかもキングが原作だから「シャイニング」の兄弟みたいな作品と言えば、殆ど結末は見えてしまうかもしれない。
一番問題なのは、「サイコ」ではヒッチコックが懸命に排除した映像によるインチキが開巻から80分間続くということである。<一人称で描くべき内容を三人称で描く>インチキで、文字なら良いのかもしれないが、映画では決してやってはいけない。映画に向いていないと言ったのはそれ故である。
先が見えても作り方によっては良い映画は作れるのだが、インチキではお話にならない。それはともかく、勘の良い方なら家政婦の発言で事実関係の想像が付くと思われる。
天国の ヒッチコックが 泣いている
2004年アメリカ映画 監督デーヴィッド・コープ
ネタバレあり
「シックス・センス」以来サスペンス映画というジャンルにおいてどんでん返しが大流行し、その大義名分の下に目に余るほどの出鱈目がまかり通っている。原作は映画化キングのスティーヴン・キングだが、映画版から判断する限り実に映画に向いていない物語と言うしかない。
主人公ジョニー・デップはミステリー作家で、謎の男ジョン・タートゥーロから盗作の疑惑をかけられる。男の執筆はデップの発表の2年後と全く出鱈目なのだが、彼は愛犬を殺し別居中の妻の家を焼き、嫌がらせをエスカレートしていく。
いくら<ネタバレあり>とは言っても、後半の物語を記すのは忍ぼうと思うが、「サイコ」の直系子孫といった印象があり、しかもキングが原作だから「シャイニング」の兄弟みたいな作品と言えば、殆ど結末は見えてしまうかもしれない。
一番問題なのは、「サイコ」ではヒッチコックが懸命に排除した映像によるインチキが開巻から80分間続くということである。<一人称で描くべき内容を三人称で描く>インチキで、文字なら良いのかもしれないが、映画では決してやってはいけない。映画に向いていないと言ったのはそれ故である。
先が見えても作り方によっては良い映画は作れるのだが、インチキではお話にならない。それはともかく、勘の良い方なら家政婦の発言で事実関係の想像が付くと思われる。
天国の ヒッチコックが 泣いている
この記事へのコメント
自分のところでも書いたのですが、とにかくお尻がむずむずして落ち着いて観賞できる映画ではなかったです。イライラするというかいやぁな感じが漂っているというかマシニストで感じたような感覚がありました。
よくあるパターンなので、割と初期に「ははーん、なるほどね」と思ったのですが人が狂気に陥っていく様を見るのが苦手なのかもしれません。最後まで「なんかやだなぁ・・・」という気分が抜け切れませんでした。それが狙いならまんまとはまってしまったのでしょうけど(^o^;
こちらからもTBさせていただきます
サスペンスとどんでん返しを目的に、主観と客観の表現をごちゃまぜにするのは卑怯。現実と幻想の間を往来させる作品が悪いわけではありませんが、「マシニスト」もこれもどんでん返しの為に意図的に幻想場面を客観的に撮っています。それでは、最後に観客に「そういうことだったのか」と思わせるのも比較的簡単。これでは映画は駄目になっていきますよ。
chibisaruさんのムズムズはそうした手法による部分と、内容的なものもあったのでしょうね。
そちらで書くことは書いたので、もはや書くことはありません。
インチキはするわ、CGに頼って創意工夫を放棄するわで、映画の先行き大変くらいです。CGのおかげでリメイクも多いですよね。
そもそも昔から【夢落ち】には批判が多かったわけですが、【夢落ち】にもルールがあったはずで、「な~んだ、夢か」と肩透かしを喰らってもそのトリックが全体に及んでいるので<インチキ>とは言えないわけです。
これも一種の【夢落ち】と言って良いのでしょうが、彼の眼に映る幻想に過ぎないものを第三者の視点で恥も臆面もなく撮るのはやはり怪しからんと思う次第。
サスペンスとしてつまらない、面白い以前で、映画作家には一考してもらわんといけない重要事項でありますよ。(`´)
まあ、密室殺人+夢落ちみたいなお話だけど、10年近くの金縛りや幽体離脱的な入眠幻想の経験者としての、個人的な興味なんですけどね。
>カメラワーク
もう少し冷静に観ても良かったですかね。^^;
ヒッチコックは飛んでいる飛行機の窓から中へ入って行くといったカメラワークが好きでしたが、最近の作品ではコンピューターで簡単に出来てしまいますね。
多分ヒッチおじさんは天国でつまらん時代になったと思っているでしょう。なかなか出来ないことをするのを無上の喜びとしていた方ですから。
>入眠幻想
何だか凄い経験をされていますね。
「ショーシャンクの空に」 のコメント読んで思い出しましたが、私も似たような映画の感想を書いていましたね(笑)。この作品も、本来映像化不可能な筈なんですが、主人公の内面の見せ方はおもしろかったし、デップがうまかったです。
「シャイニング」はキング本人は気に入ってないようですが、インタヴューを読んだ限りでは、キングがあの映画の観方に「?」となりました。最後の写真を見て私は、主人公もまたホテルに取り込まれてしまったんだなあ、となりましたので。原作小説読んだ方がおもしろいのはたしかですが、キューブリックはさすがで、凡作ホラーとは一線を画す作品に仕上がっていたと思いました。映像が一流なんですよね。
>似たような映画の感想
拝読致しました。
僕は本稿ではこの作品に限定して「映画化に向いていない」と書いていますが、他の作品も実はそうなのではないかという気持ちも沈潜させていたと思いますし、どこかのコメントでもっとはっきり書いた記憶があります。
>インタヴューを読んだ限り
原作者が一番正しい映画製作者になれるとは限らないことの証左でしょうね。
>映像が一流
キューブリックは映像に関して凡百の作家とは桁が違うと思います。