映画評「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」
☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
1976年日本映画 監督・山田洋次
ネタバレあり
「男はつらいよ」シリーズは第1作を除いてテーマ【映画 あ行】から省きましたので、テーマ【山田洋次】にて検索をお願い致します。
シリーズ第17作。
これは可笑しいね。作が進むに連れペーソスが強まってきた感があるが、これは原点に近い。しかも、初期の作品以上にこれは笑える。
旅先ではなく葛飾で寅さんが飲み代も払えないみすぼらしい老人・宇野重吉を拾ってきて、寅屋を一夜の宿に提供することにする。風呂やご飯まで至れり尽くせりである。しかし、何の感謝の言葉もないので、一同は怒り出す。老人は旅館と勘違いしていたのだ。
「何か恩返しを」と考えた老人はささっと墨絵を書いて「古書店へ持っていきなさい」と寅さんに言う。その通り実行すると書店の親父は目を丸くして十万円を渡す。大画家だったのだ。とらや一同大騒ぎ。
旅先で偶然にも巨匠に出合った寅さんは行動を共にして、巨匠の絵を安く買おうと画策する市役所の接待を受ける。
ここでも相当の珍プレーの連続だが、そこで知り合った芸者が太地喜和子で、素っ頓狂な明るさに画面がはじける。しかし、その表面とは裏腹にこつこつ集めた金を実業家に騙し取られた苦悩をうちに秘めている。腹を決めて請求しに東京に男を訪ねるが、法律的には合法で空手で帰郷する。
哀れに思った寅さんが画家にその話をする。やがて、彼女の元に巨匠の絵が届く。彼女の源氏名<ぼたん>に因んだぼたんの絵である。
笑いのパワーだけでなく完成度も高く、甚だ感心させられた。<リリーもの>以外で第一に薦めるなら本作であります。
1976年日本映画 監督・山田洋次
ネタバレあり
「男はつらいよ」シリーズは第1作を除いてテーマ【映画 あ行】から省きましたので、テーマ【山田洋次】にて検索をお願い致します。
シリーズ第17作。
これは可笑しいね。作が進むに連れペーソスが強まってきた感があるが、これは原点に近い。しかも、初期の作品以上にこれは笑える。
旅先ではなく葛飾で寅さんが飲み代も払えないみすぼらしい老人・宇野重吉を拾ってきて、寅屋を一夜の宿に提供することにする。風呂やご飯まで至れり尽くせりである。しかし、何の感謝の言葉もないので、一同は怒り出す。老人は旅館と勘違いしていたのだ。
「何か恩返しを」と考えた老人はささっと墨絵を書いて「古書店へ持っていきなさい」と寅さんに言う。その通り実行すると書店の親父は目を丸くして十万円を渡す。大画家だったのだ。とらや一同大騒ぎ。
旅先で偶然にも巨匠に出合った寅さんは行動を共にして、巨匠の絵を安く買おうと画策する市役所の接待を受ける。
ここでも相当の珍プレーの連続だが、そこで知り合った芸者が太地喜和子で、素っ頓狂な明るさに画面がはじける。しかし、その表面とは裏腹にこつこつ集めた金を実業家に騙し取られた苦悩をうちに秘めている。腹を決めて請求しに東京に男を訪ねるが、法律的には合法で空手で帰郷する。
哀れに思った寅さんが画家にその話をする。やがて、彼女の元に巨匠の絵が届く。彼女の源氏名<ぼたん>に因んだぼたんの絵である。
笑いのパワーだけでなく完成度も高く、甚だ感心させられた。<リリーもの>以外で第一に薦めるなら本作であります。
この記事へのコメント
NHKBSファン投票で堂々の第2位!私も文句無しの最高点です。
太地喜和子の笑いっぷりがまたイイですねー。
とらやの人達が「貧乏ジジィ」への迷惑談議をするシーンは大笑い。でも泣きどころもしっかりしていて、ラスト、寅さんとぼたんが日本画の大家の住む方へ向って感謝するシーンは感動で泣けました。
9点も10点も実質的に差がないのです。個人的に思い入れがスーパーに強いのが10点、そこそこなのが9点ということです。出来栄えに差はないです。太地喜和子は素晴らしかったけど、変な亡くなり方をしたのが悲しいです。だから、この作品を観ると無性に泣けます。