映画評「暗黒の恐怖」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
1950年アメリカ映画 監督イーリア・カザン
ネタバレあり
イーリア・カザンとしては比較的初期の作品で、現在では殆ど忘れ去られているが、今回こうして(WOWOW)見られたのは大変嬉しい。
ニューオリンズで一人の外国人が射殺死体で発見されるが、男がペストにかかっていたことが判明して警察と環境局は大慌て。しかし、街がパニックになることを恐れ箝口令が敷かれ、その中環境局の調査官リチャード・ウィドマークと警察署長ポール・ダグラスが、逃走中の犯人たちを逮捕する為に必死に探し回る。
二日以内に犯人たちを捕捉しないとペスト菌が全世界にばらまかれるかもしれない、という時限爆弾型サスペンスで、その間に犯人や被害者に接触した人間が亡くなったりして、嫌が上にも緊張感が盛り上がるが、時限爆弾としては些か曖昧さを残すものであることは否めない。
1950年当時流行していたセミ・ドキュメンタリー・タッチで進行するが、リアリズムを基調にしたモノクロ撮影はシャープで、波止場、料理店、倉庫などを写実的に取り込んでニューオリンズという町の独特なムードを見事に醸成している。カザンがこのシャープな映像感覚を大々的に発展させ、遥かにきびきびと筋を展開したのが4年後の傑作「波止場」である。
その昔ご贔屓だったウィドマークは主演になると余り宜しくないがこれも例に洩れず、彼が家族(夫人役はヒッチコック「めまい」がなかなか良かったバーバラ・ベル・ゲデス)と過ごす場面は映像的にも散漫で面白くない。犯人グループのリーダーに扮した当時売り出し中のジャック・パランスが「シェーン」にもまして大迫力。
1950年アメリカ映画 監督イーリア・カザン
ネタバレあり
イーリア・カザンとしては比較的初期の作品で、現在では殆ど忘れ去られているが、今回こうして(WOWOW)見られたのは大変嬉しい。
ニューオリンズで一人の外国人が射殺死体で発見されるが、男がペストにかかっていたことが判明して警察と環境局は大慌て。しかし、街がパニックになることを恐れ箝口令が敷かれ、その中環境局の調査官リチャード・ウィドマークと警察署長ポール・ダグラスが、逃走中の犯人たちを逮捕する為に必死に探し回る。
二日以内に犯人たちを捕捉しないとペスト菌が全世界にばらまかれるかもしれない、という時限爆弾型サスペンスで、その間に犯人や被害者に接触した人間が亡くなったりして、嫌が上にも緊張感が盛り上がるが、時限爆弾としては些か曖昧さを残すものであることは否めない。
1950年当時流行していたセミ・ドキュメンタリー・タッチで進行するが、リアリズムを基調にしたモノクロ撮影はシャープで、波止場、料理店、倉庫などを写実的に取り込んでニューオリンズという町の独特なムードを見事に醸成している。カザンがこのシャープな映像感覚を大々的に発展させ、遥かにきびきびと筋を展開したのが4年後の傑作「波止場」である。
その昔ご贔屓だったウィドマークは主演になると余り宜しくないがこれも例に洩れず、彼が家族(夫人役はヒッチコック「めまい」がなかなか良かったバーバラ・ベル・ゲデス)と過ごす場面は映像的にも散漫で面白くない。犯人グループのリーダーに扮した当時売り出し中のジャック・パランスが「シェーン」にもまして大迫力。
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