映画評「マシニスト」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2004年スペイン=アメリカ映画 監督ブラッド・アンダースン
ネタバレあり
1年間も眠っていない機械工クリスチャン・ベイルは、売春婦ジェニファー・ジェースン・リーと懇ろに付き合う一方で、子持ちの喫茶店員アイタナ・サンチェス=ギヨンと親しくしているが、誰も「存在しない」という工員ジョン・シャリアンに出会ってから不思議な現象に立て続けに遭遇。まず、同僚が巻き込み事故に遭って片腕を失い、自室の冷蔵庫に不思議な暗号のような絵と文字が書かれたメモ紙が貼られ、誰かが忍び込んでいるものと思い込む。彼が目をやると、その先にはいつもシャリアンの乗る赤い車が見え、真相を掴むべく車を追いかける。
サスペンスやスリルを構成するには客観的描写と主観的描写の区分が必要である。本作をホラーと呼ぶか、サスペンスと呼ぶかはともかく、ここにはそうしたジャンルで必要な描写の明確な区分がない。つまり、ヴァーチャル・リアリティものと一緒で<何でもあり>ということになり、比較的早めに細工に気付いた僕にはサスペンスも恐怖も全く感じられなかった。そうした曖昧な感覚を良しとする見方もあろうかと思うが、一種の詐欺みたいなもの。
しかし、観終わると若干印象も変わる。
実態は彼が眠れなくなった理由を自ら突き止めるまでを描いたミステリー映画、と言うのが正解。そう理解した場合、こうした主観・客観ごちゃまぜの作り方が一応の効果を上げていると言え、主観を客観描写に装い続けた「シークレッド・ウィンドウ」と比べれば、ずっと意味のあるインチキであるからである。
痩せこけたクリスチャン・ベイルが一番恐い、というご意見は尤も。
マシニスト 終ってみたら マシですと
2004年スペイン=アメリカ映画 監督ブラッド・アンダースン
ネタバレあり
1年間も眠っていない機械工クリスチャン・ベイルは、売春婦ジェニファー・ジェースン・リーと懇ろに付き合う一方で、子持ちの喫茶店員アイタナ・サンチェス=ギヨンと親しくしているが、誰も「存在しない」という工員ジョン・シャリアンに出会ってから不思議な現象に立て続けに遭遇。まず、同僚が巻き込み事故に遭って片腕を失い、自室の冷蔵庫に不思議な暗号のような絵と文字が書かれたメモ紙が貼られ、誰かが忍び込んでいるものと思い込む。彼が目をやると、その先にはいつもシャリアンの乗る赤い車が見え、真相を掴むべく車を追いかける。
サスペンスやスリルを構成するには客観的描写と主観的描写の区分が必要である。本作をホラーと呼ぶか、サスペンスと呼ぶかはともかく、ここにはそうしたジャンルで必要な描写の明確な区分がない。つまり、ヴァーチャル・リアリティものと一緒で<何でもあり>ということになり、比較的早めに細工に気付いた僕にはサスペンスも恐怖も全く感じられなかった。そうした曖昧な感覚を良しとする見方もあろうかと思うが、一種の詐欺みたいなもの。
しかし、観終わると若干印象も変わる。
実態は彼が眠れなくなった理由を自ら突き止めるまでを描いたミステリー映画、と言うのが正解。そう理解した場合、こうした主観・客観ごちゃまぜの作り方が一応の効果を上げていると言え、主観を客観描写に装い続けた「シークレッド・ウィンドウ」と比べれば、ずっと意味のあるインチキであるからである。
痩せこけたクリスチャン・ベイルが一番恐い、というご意見は尤も。
マシニスト 終ってみたら マシですと
この記事へのコメント
終わり方が良かったというか、謎が解けてスッキリしたというか・・・
なので、私の中では「シークレット・ウィンドウ」よりは好印象が残っています。見てる最中はあのお尻のむずむずするような落ち着かない映画だなぁとは思いましたけど(^o^;
私もほぼ同じ感じですね。「シークレット・ウィンドウ」は騙す為に騙しているところが気に入りません。その割りに意外性がない。これほどどんでん返しが流行すると、そういう前提で観る人が増えますので、余程巧く作らないといけないでしょうね。どんでん返しの衝撃度で映画の良し悪しが決められるのも悲劇ですけど。