映画評「大脱走」
☆☆☆☆☆(10点/10点満点中)
1963年アメリカ映画 監督ジョン・スタージェス
ネタバレあり
35年前にTVで初めて観て以来5年に一度くらいの割合で観ているが、いつ観ても面白い。初公開時に本作を紹介した43年前の「スクリーン」誌を持っていたが、どこに行ったか。ハイビジョンでの鑑賞は今回が初めて。
第2次大戦中、脱走常習犯ばかりを集めた難攻不落と思われる新しい捕虜収容所に、ジェームズ・ガーナー、スティーヴ・マックィーン、ジェームズ・コバーン、チャールズ・ブロンスン、デーヴィッド・マッカラムといった英米空軍の捕虜が送られて来る。ドイツ軍を混乱させる為リチャード・アッテンボローを作戦参謀とする250名が脱走を計画し、実行する。
というお馴染みのお話で、マックィーンが野球のボールを使って死角を捜したり壁の強度を調べたりする序盤から、ガーナーがドイツ人から財布を奪う中盤など見せ場の連続だが、特に土を外に持ち出す作戦の面白さとスリルが抜群。
そしていよいよ作戦決行する段になってプロンスンが閉所恐怖症の弱みを発揮したり、偽造係のドナルド・プレズンスが突然失明したり実行に支障をきたす事件が続くのだが、脱走して三々五々になってからの旅程のスリルとサスペンスもジョン・スタージェスのカットバック宜しく文句なく楽しめる。特にマックィーンがバイクで疾走する姿には今でもしびれてしまう。
戦争映画だけでなく一般の脱獄映画を含めて文句なくNo.1に推したい脱走ものの決定版であります。
映画としての面白さとは別に、収容所所長ハンネス・メッセマーの人間性が瞬時に分ってしまう序盤の場面が印象深い。何故なら彼は役立たずとして最後に失脚してしまうからである。彼はどんな人間か。ヒトラーを嫌悪する人道主義者である。
1963年アメリカ映画 監督ジョン・スタージェス
ネタバレあり
35年前にTVで初めて観て以来5年に一度くらいの割合で観ているが、いつ観ても面白い。初公開時に本作を紹介した43年前の「スクリーン」誌を持っていたが、どこに行ったか。ハイビジョンでの鑑賞は今回が初めて。
第2次大戦中、脱走常習犯ばかりを集めた難攻不落と思われる新しい捕虜収容所に、ジェームズ・ガーナー、スティーヴ・マックィーン、ジェームズ・コバーン、チャールズ・ブロンスン、デーヴィッド・マッカラムといった英米空軍の捕虜が送られて来る。ドイツ軍を混乱させる為リチャード・アッテンボローを作戦参謀とする250名が脱走を計画し、実行する。
というお馴染みのお話で、マックィーンが野球のボールを使って死角を捜したり壁の強度を調べたりする序盤から、ガーナーがドイツ人から財布を奪う中盤など見せ場の連続だが、特に土を外に持ち出す作戦の面白さとスリルが抜群。
そしていよいよ作戦決行する段になってプロンスンが閉所恐怖症の弱みを発揮したり、偽造係のドナルド・プレズンスが突然失明したり実行に支障をきたす事件が続くのだが、脱走して三々五々になってからの旅程のスリルとサスペンスもジョン・スタージェスのカットバック宜しく文句なく楽しめる。特にマックィーンがバイクで疾走する姿には今でもしびれてしまう。
戦争映画だけでなく一般の脱獄映画を含めて文句なくNo.1に推したい脱走ものの決定版であります。
映画としての面白さとは別に、収容所所長ハンネス・メッセマーの人間性が瞬時に分ってしまう序盤の場面が印象深い。何故なら彼は役立たずとして最後に失脚してしまうからである。彼はどんな人間か。ヒトラーを嫌悪する人道主義者である。
この記事へのコメント
コメントの何という速さなのでしょう(間違いがあっても訂正する暇もない!)。
満点は、滅多に出しませんから貴重ですよ。脚本、演出、キャスティング、音楽・・・満点です。
いらっしゃるとアクセス数が増えるという伝説がありますので、よろしく。それはさてと、未見でしたか。
「太陽がいっぱい」と「大脱走」と「鳥」は5年に一度は見ないといけないんです、私の中では。
ほんと文句なしの満点名作ですねー!
今度のNHKBShi放送でDVD保存できてホクホクです^^)。
「10番街の殺人」・・・渋いですね。物語は渋くないですけど。
「マジック」・・・渋いですね。まだホプキンスが普通の青年に見えた最後の頃。実はこの映画も結構名演でした。
「コーラスライン」・・・出来栄えほどは評価されなかった名編。
アッテンボローは監督として巨匠の域ですが、「素晴らしき戦争」という埋もれたミュージカルの傑作がありました。ああ、誰も知らない。
viva jijiさん、凄いですね。リチャード・フライシャーの名前を出す人に初めて出会いました。映画作家というよりは職業監督というべき監督ですから(実際はよく分りません)。
二台あるHDDがいっぱいで、記録できず。ライブで緊張感たっぷり観ました。また何年かしたらやりますので、その時また観ましょう。
やっぱりハイビジョンは凄いです。BS-2ではこうは行かないです。
今でもマックィーンといえばこれです。バイクにもあこがれて、高校時代に免許取得して、ジャンプの練習とかしましたよ(できませんでしたけど)。マックィーンはこの作品でも徹底的にヒーローにこだわっていたようですが、こだわっただけの演技をして観客を魅了するところはさすがに大スターだと感心しますね。
それはそれは。四輪と違って何だか怖くて、私はバイクは観るだけで結構でしたねえ(笑)。
やはりあのバイクでの逃走シーンが格好よいですよね。映画としてはそれまでも抜群に面白いですが。
演技派ではないけれど大根でもなくて、魅力溢れる男優でしたね。昔のハリウッド・スター俳優は男女優に関係なく、そんなタイプが多かったような気がしますね。
遺作「ハンター」も割合好きでしたが、ご覧になりました?
『ハンター』は残念ながら観てないんですよ。列車のパンタグラフかなんかにつかまってるアクションがあるやつでしたっけ?(全然違う・・??)。DISCASで発見しましたので予約しました。近々感想アップしますね^^
列車の上のワン・ショットが紹介されているやつです。実在した人物の物語なので、スーパーに格好良いわけでもありませんが、そこがまた一つの味。
あ、良かった、満点でしたね。
はい、わたし的にも10点でございます、もちろん。
しかも小学生で初めてTVのNHK教育とかで観て以来、やっぱり5年に1度くらい観ているかもしれません。
元々、父が好きな映画で一緒に何度もTVで観ていました。
私の子供時代は、母とはお洒落なフランス映画なんかを観て、一方で父とは「大脱走」や西部劇(マカロニ・ウェスタンもほぼ制覇!)を一緒に観るという・・・両極端な映画観賞生活で、こんな(どんな?)風になってしまいました!
「男性が死ぬまでに絶対観るべき映画ランキング」なんてものが存在したら、1位に認定したいような傑作ですよね。
マックィーンがバイクで疾走するシーンが特に大好きです。
こういうカッコ良さを持った俳優って今はいないですよねー。
・・・と、コメントしていたら、またこの映画が観たくなってきてしまいました!
>満点
なかなか興味がこう長く続く作品はないですからねえ。
どこか観ていて緩んでしまう。
3時間近い長さでそれを維持するとなると、これは脚本と演出の力が相当なものだろうと感心するしかないです。
それに加えてキャストの魅力ですね。
マックィーンは言うに及ばず、人気爆発前のブロンソンとか、後に名監督になるアッテンボロー、一時期相当にご贔屓にしていたジェームズ・コバーン、ジェームズ・ガーナー、デーヴィッド・マッカラムもいるでよ~という感じで、魅力的な配役ですね。
>マカロニ・ウェスタン
をほぼ制覇するような女性とお付き合いしたいものですねえ。(笑)
>「男性が死ぬまでに絶対観るべき映画ランキング」
少年時代に出会った作品ですから、思い入れがありますね。
僕も1位にしちゃうだろうなあ。
もっと若い人なら「ターミネーター」とか「マトリックス」になったりするのでしょうけど。
>マックィーンが疾走
良いですね。
丁度10年後の「パピヨン」も脱獄ものなので、ああいうスリルを期待したところもありましたが、ちょっと違いました。
あれはあれで味わい深い作品ではありましたけどね。
「007は二度死ぬ」とは違う演技。いいですね
>「カジノ・ロワイヤル」なんてのもそうかな
そう思います。僕はあの映画は好きです
>前の家の太い木がが数本倒れ、近所のアンテナが曲がった
「自然は馬鹿力がある」と言うCMがありました
>ドナルド・プレズンス
変質者的な悪党が得意なバイプレーヤーですが、素晴らしい役者さんですね。
印象的な作品が多いです。
>「カジノ・ロワイヤル」
大好きな名曲「ルック・オブ・ラブ」が主題歌なのも良い。
暫く見ていませんねえ。
>「自然は馬鹿力がある」
あった気がしますね^^
温暖化で今後、自然の脅威を感じることが多くなりそうです。
トランプは「(二酸化炭素など)関係ねえ」と言っていますが、どうですかね。
「ミクロの決死圏」も良かったです。
>「ルック・オブ・ラブ」
ウディ・アレンがウルスラ・アンドレスとベッドの上で戯れる場面で効果的に使われていました。
そして、当時僕は大失恋した後だけに、辛い気持ちにもなりました。
>トランプは「(二酸化炭素など)関係ねえ」
商売上手な彼。何を思って言ったのか?何も考えていないか?
>リチャード・アッテンボロー
僕が子供だった頃よりも今の方が、この映画における彼の存在の偉大さがわかります
>「ミクロの決死圏」
今SFと言うと、アメ・コミを映画化したチャンバラSFばかりですが、この頃はSFは滅多に作られないながら、作られればなかなか面白い映画が多かったです。
>当時僕は大失恋した後だけに
あらら。
初鑑賞の時、僕は中学生でした。初恋に悶々としていた頃ですね。村下孝蔵の「初恋」そのものでしたよ。その意味でもあの曲は名曲だなあ。
>商売上手な彼
二重の意味で商売でしょうね。
一つはアメリカの経済が落ち込むという直接的・実際的な理由で、一つは労働者向けの政治的メッセージとして。
しかし、クリーン・エネルギー自体は、ものすごい経済潜在性があると言われ、日本も原子力からクリーン・エネルギーに切り替えると数兆円GDPを持ち上げるとIMFが試算しているくらい。欧州は2040年からガソリンを使う車は、ハイブリッドを含めて全廃ですから、日本も頑張らないと売り上げが落ちますね。
経済はともかく、自然の脅威を何とかしてほしいもの。
>リチャード・アッテンボロー
正に仰る通りですね。
そしてまた、監督としてあれほど大成功するとは、この当時、誰も夢にだに思わなかったでしょう。
コーラスラインの監督だと知って驚きました
>日本も頑張らないと売り上げが落ちますね
所詮世の中は・・・
>村下孝蔵の「初恋」そのものでしたよ
僕が彼の曲で好きなのは「ゆうこ」かな?
そして思い出すのは、僕が有り金全部使ってイギリスに2週間行ってる間に彼は46歳で逝去。若かったんですね
>作られればなかなか面白い映画が多かったです。
「宇宙からの脱出」も、なかなか
>コーラスラインの監督
デビュー作が「素晴らしき戦争」という傑作でした。当時としてはかなりの異色作でしたが、文字通り素晴らしかったです。
「ガンジー」「遠い夜明け」という大作も、「ラブ・アンド・ウォー」や「あの日の指輪を待つ君へ」というロマンス系もうまく捌きました。名監督です。
>村下孝蔵・・・「ゆうこ」
今月の初め、図書館から借りてきた3枚組のベストCD「夢の記録」の中に当然入っていました。
シングル発表順としては「初恋」の前の、素敵な曲ですね。
日本的なバラードを多く発表した才人でしたが、早世。新聞で訃報が目に入り、さすがにびっくりしましたよ。
>「宇宙からの脱出」
グレゴリー・ペックが主演でしたね。監督もご贔屓ジョン・スタージェス。
このメンバーでSFとは思いもよりませんでしたが、「2001年宇宙の旅」によりSF、特に宇宙SFが注目された結果生まれた作品でしょう。
冒頭でいきなり衝撃的な場面「おお、神よ・・・」
>「ゆうこ」
「どんな過去が君を変えてしまったの?」切ないです
>ジョン・スタージェス
ご存知「荒野の七人」そして、この「大脱走」
「宇宙からの脱出」では「続・猿の惑星」の実質的な主役ジェームズ・フランシスカスを使っていました。玄人好みの役者さんです。57歳で死去は惜しい・・・
>「ガンジー」
映画館で観て以来ご無沙汰しているため、正確には憶えていないのですが、暗殺から回想という流れでしたね。
>「ゆうこ」
そこは歌えますよ^^
>ジェームズ・フランシスカス
僕は映画ファンになりたての頃、例によって、アンソニー・フランシオサとの間で混乱しました。
「宇宙からの脱出」や「新・猿の惑星」の頃、引っ張りだこだったようで、この頃の出演作が多いようですね。去年観たイタリア映画「わたしは目撃者」にも出ていました。結構二枚目ですよ。
そんなに早く亡くなっていましたか。彼の死は記憶していないです。
>「わたしは目撃者」
見たいです。
>2回のコメント失敗!
たまに入らないことがあるようです。
>「わたしは目撃者」
トータルとしては大したことのない作品ですけど、ちょっと面白味があるんです。一見の価値あり。
危険な場面。本人がバイクに乗りたがる。でもプロダクションが認めない。
仕方なく、その場面はスタントマンに任せる。そこでマックィーンはバイクで追いかけるドイツ兵を演じる本当にバイクが好きなんですね
>本当にバイクが好きなんですね
そんな裏話もありましたっけ。
「栄光のライダー」という作品にも、主演ではないですが、ライダー役で出ていましたね。
>「栄光のライダー」
いつか見たいです。
>バートレット
思わぬところで襤褸を出しての悲劇でしたね。
爽快さの後の悲しみ。
それを総合して楽しめるところが優れた娯楽映画の所以でしょう。
この作品に発展していくと思われるのが、その10年前に作られた「第十七捕虜収容所」という佳作です。何回か観た作品ですが、数日前にアップしたところです。
>「栄光のライダー」
放映では無理かもしれませんが、ソフトで観られるでしょう。
うっかりライダー役と書きましたが、実はドキュメンタリーなので、ライダーそのものでした。しかし、演技ではない本物ですので、その辺は楽しめるはず。
僕は不勉強なんです
捕虜を殺してはいけないけど、脱走した者は殺してもいい
ガーナーの場合は降参のポーズを取ったから殺されない
マックィーンの場合は有刺鉄線を超える前だから
>第十七捕虜収容所
これも未見
月曜日終了。低賃金で自転車通勤のサラリーマン。
でも映画の話が出来れば幸せかな?
>僕は不勉強なんです
そんなことはないと思いますが。
>捕虜
ジュネーヴ条約で決められているわけですが、実際と映画はまた違うかもしれません。
脱走しても殺してはいけないと思いますですが、情報を自軍に流す等の理由で殺すことになるのかもしれませんね。収容所にどれほどの貴重な情報があるか解りませんが。
アメリカ映画においては「ドイツ人は非道だから、こういうことをする」というイメージで作られているところが多いような気もします。
>でも映画の話が出来れば幸せかな?
そうかもしれませんね。
下を見れば切りがないのですが、マルクス「資本論」によれば、19世紀半ばの英国では、16時間労働が12時間に短縮されたのが革命的な進歩だったようです。今なら12時間でも4時間の残業になって大問題ですが、こんな時代もあったのですから、先人たちの努力は大変なものだと思いますね。
しかし、今は今、比較的しても仕方がないわけで、賃金はなるべく平均化されてほしいです。