映画評「舞台よりすてきな生活」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2000年アメリカ映画 監督マイケル・カレスニコ
ネタバレあり
脚本家マイケル・カレスニコの監督デビュー作というが、内容・作風ともウッディー・アレンの二代目のようである。
そう言えばアレンに「おいしい生活」という作品があったので、配給会社の担当者も意識してこの邦題を付けましたかな。
人気劇作家ケネス・ブラナーは、子供嫌いで子供がキー・パーソンとなる新作戯曲がうまく行かない。妻ロビン・ライト・ペンから子供を要求されたせいか、才能の枯渇か、単なる子供嫌いのせいなのか。そこへ計ったように隣に足の悪い少女スージー・ホフリクターとその母親が訪れる。
この少女のおかげで新作戯曲はうまく完成し、子供嫌いも直る(?)という流れとなるのは予想通り。
下ネタ絡みのスタートはまさにアレンの世界で、悩んでいるところへ現れた偽物ジャレッド・ハリスと交流するのもアレンの心境映画風、という以上に演劇的なムードが漂う。
少女に加え偽物の出現で彼の閉塞した現状を打開することになるのは言うまでもない。偽者は演劇や純文学の世界では別人格の象徴として描かれることが多く、この作品もそうだろうが、彼らの交わす台詞は意外と面白くない。また、その影響として、本物が嫌いだった隣の犬を代りに殺すくらいの捻りしかないのは些か寂しい。
やはりアレンの中でも完璧な作品と比較してしまうので自ずと採点も厳しくなる。お許しあれ。
それからリン・レッドグレーヴが痴呆症の義母として登場する。彼女はアレンの旧作「ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう」という長い題名の作品に出ていたが、あれから30年、すっかり老けました。
2000年アメリカ映画 監督マイケル・カレスニコ
ネタバレあり
脚本家マイケル・カレスニコの監督デビュー作というが、内容・作風ともウッディー・アレンの二代目のようである。
そう言えばアレンに「おいしい生活」という作品があったので、配給会社の担当者も意識してこの邦題を付けましたかな。
人気劇作家ケネス・ブラナーは、子供嫌いで子供がキー・パーソンとなる新作戯曲がうまく行かない。妻ロビン・ライト・ペンから子供を要求されたせいか、才能の枯渇か、単なる子供嫌いのせいなのか。そこへ計ったように隣に足の悪い少女スージー・ホフリクターとその母親が訪れる。
この少女のおかげで新作戯曲はうまく完成し、子供嫌いも直る(?)という流れとなるのは予想通り。
下ネタ絡みのスタートはまさにアレンの世界で、悩んでいるところへ現れた偽物ジャレッド・ハリスと交流するのもアレンの心境映画風、という以上に演劇的なムードが漂う。
少女に加え偽物の出現で彼の閉塞した現状を打開することになるのは言うまでもない。偽者は演劇や純文学の世界では別人格の象徴として描かれることが多く、この作品もそうだろうが、彼らの交わす台詞は意外と面白くない。また、その影響として、本物が嫌いだった隣の犬を代りに殺すくらいの捻りしかないのは些か寂しい。
やはりアレンの中でも完璧な作品と比較してしまうので自ずと採点も厳しくなる。お許しあれ。
それからリン・レッドグレーヴが痴呆症の義母として登場する。彼女はアレンの旧作「ウディ・アレンの誰でも知りたがっているくせにちょっと聞きにくいSEXのすべてについて教えましょう」という長い題名の作品に出ていたが、あれから30年、すっかり老けました。
この記事へのコメント
TBさせていただきました。
こじんまりとしているのが良いのでしょうが、良い意味でも悪い意味でも期待を裏切るようなものがありませんでした。アレンの辛辣さにはちょいと及ばないという印象。
実際には劇作家でもあんな会話、なかなかできまへん、でしょうね。
かなり評価が違ってしまいましたね。 わたしは結構楽しんでしまいました。
どちらかと言うと好きなジャンルだけに、採点は厳しくなったかもしれないです。面白い部類には入りますが、達人アレンのような良い意味での破綻がなく、経験の浅い優秀な学生が作ったような印象が、物足りなく思えました。
私の本作に対する感想は、具体的には本文で、抽象的にはみのりさんへのコメントでほぼ言い尽くされていると思います。
アレンは70年代半ばから1年に1本強というハイペースで作っていますね。3タイプくらいの繰り返しですが、やはり才人です。
そんなに劇的でもなくて、でもまあ、ほっこりと新鮮な気分にもなれる、そんな映画だったかな。
演劇的でしたね。
アレン的・・・ということはスケッチ風で、台詞劇の面白味もあるわけですが、偽物との会話がもう少し面白いともっと★が増えたかもしれません。
アレンが子供を作りたがらない夫に扮した「夫たち、妻たち」よりは楽しめましたけどね。