映画評「スコルピオンの恋まじない」
☆☆☆☆★(9点/10点満点中)
2002年アメリカ映画 監督ウッディー・アレン
完全ネタバレ
ウッディー・アレンづいているので、ついでにこの旧作もUPしよう(文章は2004年記す)。
これは楽しい。アレンの作品としては「カイロの紫のバラ」に似た感触の楽しさであり、30~40年代のハワード・ホークスのソフィスティケーテッド・コメディーを彷彿として抜群。40年代のハードボイルド映画的な趣向も加わり誠にご機嫌な一編である。
1940年代、アレン演ずる主人公は見た目は冴えないが実力のある保険調査員。社長ダン・アークロイドがリストラを進める為に金髪美人ヘレン・ハントを雇い、リストラの候補である彼は彼女と犬猿の仲に。
実はこの彼女、社長の愛人でもあるのだが、ある時社員一同で催眠術ショーの行われているクラブへと足を運び、二人は実験として恋まじないを掛けられてしまう。
ここからいよいよ本格的な面白さになっていくのだが、まず催眠術師はその時に使った催眠の言葉でアレンに術を掛け、宝石泥棒を2件敢行させる。自ら付けた警備をかいくぐり易々と犯行を遂行した彼は翌日何も知らず調査に出る、という辺りのとぼけた面白さは実際観るに如かず。
さて、一旦逮捕されたアレンが奔放な令嬢シャーリーズ・セロンの手引きで脱走した直後、今度はヘレンが犯行に荷担することになるのだが、そこへアレンと鉢合わせし、恋まじないが働いて熱烈に迫る。アレンは事情が解らないものの悪い気はしない。
翌日になったらまた元の犬猿の仲に戻りアレンは益々こんがらがるが、仲の良い仲間と会った時にアレンとヘレンが催眠術師に利用されていることを突き止める。
ミステリー的な面白さはここまで。
この後幕切れまではロマンティック・コメディーとしての抜群の面白さが発揮される。パリへ社長と手に手を取って出かけようとするヘレンに向ってアレンが呪文を言う。案の定彼女はアレンによれよれになるが、実は術は既に解けていました、という落ちがあり、めでたしめでたし。
何も新味や小難しいこと、刺激的なものばかりが良い映画の要素ではないやねと訴えているような傑作でありました。
2002年アメリカ映画 監督ウッディー・アレン
完全ネタバレ
ウッディー・アレンづいているので、ついでにこの旧作もUPしよう(文章は2004年記す)。
これは楽しい。アレンの作品としては「カイロの紫のバラ」に似た感触の楽しさであり、30~40年代のハワード・ホークスのソフィスティケーテッド・コメディーを彷彿として抜群。40年代のハードボイルド映画的な趣向も加わり誠にご機嫌な一編である。
1940年代、アレン演ずる主人公は見た目は冴えないが実力のある保険調査員。社長ダン・アークロイドがリストラを進める為に金髪美人ヘレン・ハントを雇い、リストラの候補である彼は彼女と犬猿の仲に。
実はこの彼女、社長の愛人でもあるのだが、ある時社員一同で催眠術ショーの行われているクラブへと足を運び、二人は実験として恋まじないを掛けられてしまう。
ここからいよいよ本格的な面白さになっていくのだが、まず催眠術師はその時に使った催眠の言葉でアレンに術を掛け、宝石泥棒を2件敢行させる。自ら付けた警備をかいくぐり易々と犯行を遂行した彼は翌日何も知らず調査に出る、という辺りのとぼけた面白さは実際観るに如かず。
さて、一旦逮捕されたアレンが奔放な令嬢シャーリーズ・セロンの手引きで脱走した直後、今度はヘレンが犯行に荷担することになるのだが、そこへアレンと鉢合わせし、恋まじないが働いて熱烈に迫る。アレンは事情が解らないものの悪い気はしない。
翌日になったらまた元の犬猿の仲に戻りアレンは益々こんがらがるが、仲の良い仲間と会った時にアレンとヘレンが催眠術師に利用されていることを突き止める。
ミステリー的な面白さはここまで。
この後幕切れまではロマンティック・コメディーとしての抜群の面白さが発揮される。パリへ社長と手に手を取って出かけようとするヘレンに向ってアレンが呪文を言う。案の定彼女はアレンによれよれになるが、実は術は既に解けていました、という落ちがあり、めでたしめでたし。
何も新味や小難しいこと、刺激的なものばかりが良い映画の要素ではないやねと訴えているような傑作でありました。
この記事へのコメント
ウディ・アレンをコンプリートしようとちゃくちゃくと観ています。
順番はバラバラですけど。
これは面白いですよね。2年前に3位に上げたほどです。
新しい3本を除いて恐らくコンプしているウッディー・アレン。私も映画評をおいおい載せていきたいと思います。
言うことなしでした。特に昔の映画のパロディー的な要素がご機嫌でして、それをパロディー的に見せないのがアレンの一流たる所以でしょう。
本数が多いのでアレンのコンプは大変ですが、ご健闘お祈り申し上げます(笑)。
「アパート」のレモンは確かCCって呼ばれてたので、コチラのアレンがCWって呼ばれてるのと似てるし、あちらも保険会社が舞台で、上司との浮気、自殺未遂もある。アレンの演技もどことなくレモンみたいだったし。
私は映画の背景となった40年代のハードボイルド映画のパロディと30~40年代のスクリューボール・コメディを思い出して観ていたので、50年代からコメディーを作り始めるビリー・ワイルダーまでは思い至りませんでしたが、そういうこともあるかもしれませんね。
先月NHK-BSで放映していたのでDVD保存版を作ろうと思っていたのに、忘れました(泣)。