映画評「サイドウェイ」
☆☆☆★(7点/10点満点中)
2004年アメリカ映画 監督アレクサンダー・ペイン
ネタバレあり
ハイスクールの国語教師ポール・ジアマティが、結婚を一週間後に控えたプレイボーイのTV俳優、トーマス・ヘーデン・チャーチとワインとゴルフ三昧の旅に出る。
2年前に離婚して以来立ち直れず、ひたすら出版エージェントに渡した小説の出版に夢を馳せるジアマティに対し、ナンパ旅行に明け暮れようとするチャーチという対照的な二人。
旅先で知り合ったレストランのウェイトレス、ヴァージニア・マドセンはジアマティを憎からず思い、彼女の友人でもあるワイナリー関係者サンドラ・オーは相棒と良い雰囲気になるが、チャーチが結婚を控えていることを知られた二人の恋は木っ端微塵と散る。
もっともチャーチには何の痛手でもなく、知らばっくれて結婚式に臨む。そんな脳天気な相方はともかく、ジアマティには自分探しの旅という趣きも出て来るが、対照的な友人同士の関係といい、些か図式的ではないか。確かに中年世代には身に沁みるお話ではあるが、新味は映画を鑑賞する上で無視できない要素である。
ゴールデン・グローブ賞の最優秀作品賞受賞、アカデミー作品、監督、助演男女優賞候補になった作品としては物足りないものを覚える所以で、断然好演だったジアマティが候補にならず、作り過ぎの感があるチャーチが候補になったのも解せない。
さて結局小説は出版の機会を逸し、何とか寄りを戻そうとした前妻が再婚して妊娠したことも判明、前途真っ暗と思えた矢先ヴァージニアから留守電が入る。
中年男に小さな、いや大きくなる可能性を秘めた灯りが点ったところでジ・エンド。
味わい深いラストと言うべきだが、監督と共同脚本を担当したアレクサンダー・ペインの実力は「アバウト・シュミット」と本作だけでは掴み切れない。
2004年アメリカ映画 監督アレクサンダー・ペイン
ネタバレあり
ハイスクールの国語教師ポール・ジアマティが、結婚を一週間後に控えたプレイボーイのTV俳優、トーマス・ヘーデン・チャーチとワインとゴルフ三昧の旅に出る。
2年前に離婚して以来立ち直れず、ひたすら出版エージェントに渡した小説の出版に夢を馳せるジアマティに対し、ナンパ旅行に明け暮れようとするチャーチという対照的な二人。
旅先で知り合ったレストランのウェイトレス、ヴァージニア・マドセンはジアマティを憎からず思い、彼女の友人でもあるワイナリー関係者サンドラ・オーは相棒と良い雰囲気になるが、チャーチが結婚を控えていることを知られた二人の恋は木っ端微塵と散る。
もっともチャーチには何の痛手でもなく、知らばっくれて結婚式に臨む。そんな脳天気な相方はともかく、ジアマティには自分探しの旅という趣きも出て来るが、対照的な友人同士の関係といい、些か図式的ではないか。確かに中年世代には身に沁みるお話ではあるが、新味は映画を鑑賞する上で無視できない要素である。
ゴールデン・グローブ賞の最優秀作品賞受賞、アカデミー作品、監督、助演男女優賞候補になった作品としては物足りないものを覚える所以で、断然好演だったジアマティが候補にならず、作り過ぎの感があるチャーチが候補になったのも解せない。
さて結局小説は出版の機会を逸し、何とか寄りを戻そうとした前妻が再婚して妊娠したことも判明、前途真っ暗と思えた矢先ヴァージニアから留守電が入る。
中年男に小さな、いや大きくなる可能性を秘めた灯りが点ったところでジ・エンド。
味わい深いラストと言うべきだが、監督と共同脚本を担当したアレクサンダー・ペインの実力は「アバウト・シュミット」と本作だけでは掴み切れない。
この記事へのコメント
私がお茶を濁したのに、viva jijiさんが飲み干してしまった(笑)。
それでも再会場面を加えなかったのだから大分大人です、うん。
「アバウト・シュミット」はジャック・ニコルスンが問題でして。どうもすっきりしなかった。
ということで、恐惶謹言。
viva jijiさんの嘆きも分かります。色んな賞に絡んでいるので大いに期待をもって見たのですが、何度も見たい作品ではなかったですね。
ただ、ラストは「愛だの恋だの」とは違う味があったように思うんですけど・・。
「アバウト・シュミット」も録画しているんですが、あんまり期待せずに見てみましょ。
古い作品でも何でも結構。TB,コメントがないとアクセス数が伸びまへんがな(笑)。
私も幕切れについては「良いなあ」と思いました。それがなければ☆3つどまり。
「アバウト・シュミット」は☆3つだったですが、主演がニコルスンでなければ★1つくらい増えたかも。「カッコーの巣の上で」「シャイニング」以来ニコルスンは大の苦手。
実を申せば、私はこのエンディングは「よろしくない!」と思った口でして、そこはviva jiji様と同じです。
夢に敗れたルーザーの中年男。彼の救いが、やっぱり恋ってのは、あまりにも子供っぽい決着に感じられたのです。
なのに、ラストを評価されているプロフェッサーより、作品評価は高い・・・というヘンテコなことになってます^^;
私はどちらの男にも共感を覚えるんです。男の負の部分をデフォルメして見せられているようで身につまされました^^;
特に「原稿をボツにされる哀しみ」と「離婚」については、何かと(苦笑)
「男って最低だなあ」と嘆きつつ、それでも、痛い目を見ながらも現実を生きていかないとならない人生の滑稽な悲哀感ってのが、私のツボでもありました。
それに「バカで愚かしい男の友情」ってテーマも好きなのです^^;
男同士で集まると、いい歳をしていても、結局は中学生みたいなバカをしてしまう・・・^^;
そういうことありますよね?
私のようにバカなことばかりしてきた人間は、こういうバカな映画がすごく染みて染みて、染みすぎてしまったりします^^;
たいした感想など書いていない拙稿、TBよろしくお願いします。
>幕切れ
おおっ、2対2で、互角ですね(笑)。
私も十瑠さんと同じく、<恋だの愛だの>ではない何かを感じましたね。というより<濃いだの薄いだの>ではなくて、恋や愛も人生の一部である以上安易な結末とは言い切れない部分があるのではないでしょうか。
そして最後まで描かない省略が一般的なハリウッド映画とは少し違う味わいを与え、好印象を覚えさせたと言ったほうが近いでしょう。
それから、評価については大体同じくらいでしょう。私の7点は普通の方の7点や5点満点中の3.5点よりやや高い評価ではないかと考えていますので。
お互いに、イライラするだろうに。
>性格
うーん、ありそうでなさそうな、映画だけの関係かもしれませんねぇ。