映画評「スミス夫妻」
☆☆★(5点/10点満点中)
1941年アメリカ映画 監督アルフレッド・ヒッチコック
ネタバレあり
アルフレッド・ヒッチコック第26作。題名は全く同じだが、先般公開された「Mr.& Mrs.スミス」とは全く関係ない。
弁護士デーヴィッド(ロバート・モンゴメリー)とアン(キャロル・ロンバード)のスミス夫妻は結婚して3年、喧嘩をした時妻は和解するまでベッドから降りないことにしている。夫もその間は家から出ない。そんな変わり者の夫婦だが、行政上のミスで結婚そのものが無効と判る。
すぐに正式な結婚をすると思っていた夫が期待通りの行動を取らないのにじりじりした彼女は自立して弁護士仲間のジェフ(ジーン・レイモンド)と親密度を深めていくが、一方の夫は尽く邪魔立てに入る。
ヒッチコックが知人であったキャロル・ロンバードの依頼で急遽こしらえた、恐らく生涯唯一のソフィスティケーテッド・コメディー(この作品のように喧嘩をしながら進行する恋愛模様を描いたものを特にスクリューボール・コメディーという)である。
彼自身がノーマン・クラスナの脚本通りに演出しただけだと言っている通り、演出面でかなり無気力な印象があり、恋愛描写の名人でもあるヒッチ御大らしさは殆どない。
クラスナはちょっと気のきいた恋愛喜劇を作るという定評のあった脚本家だが、こちらも一夜漬けの印象は免れず、レオ・マッケリー「新婚道中記」に似ている部分が多いので、あちらを観ていると全く面白味がない。
喜劇は嘘か勘違いにより構成されるのを常とし、この作品でも最後の舞台である雪山のロッジでは夫婦の騙し合いと相なるが、単純で余り智恵がない。ヒッチコックがアイデアを出したらもっと面白くなったかもしれぬ。
但し、この作品の翌年国債公募活動中に飛行機事故で帰らぬ人になったキャロル・ロンバードの妖艶な美しさは一見の価値あり。戦争は本当に惜しい犠牲をハリウッドに強いた。
1941年アメリカ映画 監督アルフレッド・ヒッチコック
ネタバレあり
アルフレッド・ヒッチコック第26作。題名は全く同じだが、先般公開された「Mr.& Mrs.スミス」とは全く関係ない。
弁護士デーヴィッド(ロバート・モンゴメリー)とアン(キャロル・ロンバード)のスミス夫妻は結婚して3年、喧嘩をした時妻は和解するまでベッドから降りないことにしている。夫もその間は家から出ない。そんな変わり者の夫婦だが、行政上のミスで結婚そのものが無効と判る。
すぐに正式な結婚をすると思っていた夫が期待通りの行動を取らないのにじりじりした彼女は自立して弁護士仲間のジェフ(ジーン・レイモンド)と親密度を深めていくが、一方の夫は尽く邪魔立てに入る。
ヒッチコックが知人であったキャロル・ロンバードの依頼で急遽こしらえた、恐らく生涯唯一のソフィスティケーテッド・コメディー(この作品のように喧嘩をしながら進行する恋愛模様を描いたものを特にスクリューボール・コメディーという)である。
彼自身がノーマン・クラスナの脚本通りに演出しただけだと言っている通り、演出面でかなり無気力な印象があり、恋愛描写の名人でもあるヒッチ御大らしさは殆どない。
クラスナはちょっと気のきいた恋愛喜劇を作るという定評のあった脚本家だが、こちらも一夜漬けの印象は免れず、レオ・マッケリー「新婚道中記」に似ている部分が多いので、あちらを観ていると全く面白味がない。
喜劇は嘘か勘違いにより構成されるのを常とし、この作品でも最後の舞台である雪山のロッジでは夫婦の騙し合いと相なるが、単純で余り智恵がない。ヒッチコックがアイデアを出したらもっと面白くなったかもしれぬ。
但し、この作品の翌年国債公募活動中に飛行機事故で帰らぬ人になったキャロル・ロンバードの妖艶な美しさは一見の価値あり。戦争は本当に惜しい犠牲をハリウッドに強いた。
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