映画評「白くまになりたかった子ども」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2002年デンマーク=フランス映画 監督ヤニック・ハニトラップ
ネタバレあり
フランスとデンマークの合作で僕が観たのはフランス語版だが、監督がデンマーク人で、登場人物がイヌイットであることから、実質的にはデンマーク製アニメと言うのが妥当な様子。その理解が正しいとすると非常に珍しい。
狼に追われて死産した細君が大いに嘆き悲しむので、熊の夫君は思い余って人間の赤ん坊を略奪。
赤ん坊は自分を熊だと思って成長するが、実の両親に奪い返された時熊でないことに気付き、精霊に熊になれるように願をかける。精霊の言葉に従い、少年は海峡を泳ぎ切り、北風を三日間堪え凌ぎ、孤独をこらえ、やっと熊になる。
ここで終ったら何ということもない童話だが、実はこの後の一幕が非常に重要。
熊に変身した彼は実の父親の槍に倒れ人間の姿に戻るが、彼の恋人になった牝熊の寂しげな声に両親は彼を放す。人間でいるべきか、熊になるべきか、というハムレットのような心境になる少年を通してアイデンティティについて考えようという作品になっているわけである。
絵は水彩画、特に日本の絵手紙のような印象のあるもので大変親しみやすい。
ここ1,2年観たアニメとしては「プリンス&プリンセス」や「ベルヴィル・ランデヴー」のような強烈な魅力にこそ欠けるが、お子様向けに作られたものとしては大変レベルが高い。
2002年デンマーク=フランス映画 監督ヤニック・ハニトラップ
ネタバレあり
フランスとデンマークの合作で僕が観たのはフランス語版だが、監督がデンマーク人で、登場人物がイヌイットであることから、実質的にはデンマーク製アニメと言うのが妥当な様子。その理解が正しいとすると非常に珍しい。
狼に追われて死産した細君が大いに嘆き悲しむので、熊の夫君は思い余って人間の赤ん坊を略奪。
赤ん坊は自分を熊だと思って成長するが、実の両親に奪い返された時熊でないことに気付き、精霊に熊になれるように願をかける。精霊の言葉に従い、少年は海峡を泳ぎ切り、北風を三日間堪え凌ぎ、孤独をこらえ、やっと熊になる。
ここで終ったら何ということもない童話だが、実はこの後の一幕が非常に重要。
熊に変身した彼は実の父親の槍に倒れ人間の姿に戻るが、彼の恋人になった牝熊の寂しげな声に両親は彼を放す。人間でいるべきか、熊になるべきか、というハムレットのような心境になる少年を通してアイデンティティについて考えようという作品になっているわけである。
絵は水彩画、特に日本の絵手紙のような印象のあるもので大変親しみやすい。
ここ1,2年観たアニメとしては「プリンス&プリンセス」や「ベルヴィル・ランデヴー」のような強烈な魅力にこそ欠けるが、お子様向けに作られたものとしては大変レベルが高い。
この記事へのコメント
少年の声は可愛かったかもしれませんね。
しかし、私の☆☆☆は、ぶーすかさんの★★★とほぼ同じくらいの感じですし、このくらいの評価で良いと思いますよ。