映画評「バットマン・ビギンズ」
☆☆☆(6点/10点満点中)
2005年アメリカ映画 監督クリストファー・ノーラン
ネタバレあり
ボブ・ケインが1939年に発表したコミックは実写版として49年と66年にTVシリーズ化され、TVシリーズの映画版を別にすると、89年にティム・バートンにより初めて実写映画化され、その後シリーズになって3作が作られたのはご存知の通り。僕はこの作品は内容からそのシリーズには属さないと解釈する。つまり、「バットマン」の本格実写映画化(シリーズ)としては二度目という扱いをしたいと思う。
記憶に新しいバートン作は毒を加え、有名な66年TVシリーズよりぐっと陰湿な感じを強めていたが、バートン独自のどぎつい色使いや異様な怪人が目立ち余り感心しなかったので、本作には期待するものがある。
前回全く避けられたバットマン誕生の秘密が懇切丁寧に語られるのが今回の特徴であるらしいが、些か微に入り細に入りすぎてまだるっこくなっている。能書き部分だけで、即ち彼がバットマンになるまで50分もかかるのである。
長くなったのは現実的なアプローチを試みすぎているというせいもあり、もう少し漫画的にしたほうが本来の楽しさは出る。映画にはジャンルに相応する作られ方があるということを忘れた典型的な作品ではないか。
と、些かがっかりしたのだが、その後かなり盛り返す。
これまで同様舞台はゴッサム・シティだが、ここを取り仕切る暗黒街の帝王がバットマンにより捕獲された後、精神科医の使った毒ガスで精神病院送りになる。幻想を生むそのガスが今回ギミックとして大活躍するが、その裏で前半バットマンことブルース・ウェインに誘いをかけた謎の集団が暗躍していることが判明する。前半の退屈な場面にも意味があったわけである。
バットマンと陰謀団の関係に初期の「007」シリーズに似た感触があるのは良いが、本来は善を為すべき陰謀団の最終的な狙いがよく分らない。忍者も勘弁して欲しい。
しかし、思った以上に楽しめたのは、普段は諸悪の根源のように僕が言っているCGの出来の良さによる部分が多く、久々にまともな役と言って良いウェイン役のクリスチャン・ベールには合格点を進呈したい。きっとシリーズ化されるだろう。
2005年アメリカ映画 監督クリストファー・ノーラン
ネタバレあり
ボブ・ケインが1939年に発表したコミックは実写版として49年と66年にTVシリーズ化され、TVシリーズの映画版を別にすると、89年にティム・バートンにより初めて実写映画化され、その後シリーズになって3作が作られたのはご存知の通り。僕はこの作品は内容からそのシリーズには属さないと解釈する。つまり、「バットマン」の本格実写映画化(シリーズ)としては二度目という扱いをしたいと思う。
記憶に新しいバートン作は毒を加え、有名な66年TVシリーズよりぐっと陰湿な感じを強めていたが、バートン独自のどぎつい色使いや異様な怪人が目立ち余り感心しなかったので、本作には期待するものがある。
前回全く避けられたバットマン誕生の秘密が懇切丁寧に語られるのが今回の特徴であるらしいが、些か微に入り細に入りすぎてまだるっこくなっている。能書き部分だけで、即ち彼がバットマンになるまで50分もかかるのである。
長くなったのは現実的なアプローチを試みすぎているというせいもあり、もう少し漫画的にしたほうが本来の楽しさは出る。映画にはジャンルに相応する作られ方があるということを忘れた典型的な作品ではないか。
と、些かがっかりしたのだが、その後かなり盛り返す。
これまで同様舞台はゴッサム・シティだが、ここを取り仕切る暗黒街の帝王がバットマンにより捕獲された後、精神科医の使った毒ガスで精神病院送りになる。幻想を生むそのガスが今回ギミックとして大活躍するが、その裏で前半バットマンことブルース・ウェインに誘いをかけた謎の集団が暗躍していることが判明する。前半の退屈な場面にも意味があったわけである。
バットマンと陰謀団の関係に初期の「007」シリーズに似た感触があるのは良いが、本来は善を為すべき陰謀団の最終的な狙いがよく分らない。忍者も勘弁して欲しい。
しかし、思った以上に楽しめたのは、普段は諸悪の根源のように僕が言っているCGの出来の良さによる部分が多く、久々にまともな役と言って良いウェイン役のクリスチャン・ベールには合格点を進呈したい。きっとシリーズ化されるだろう。
この記事へのコメント
独特の色使いやジャック・ニコルソンの毒々しいメイクなどインパクトが強かったというのもありますが(笑)
さて、このビギンズは私にとっても新しいバットマン像が見られて楽しかったです。
バートン版は勿論、こちらも陰湿と言えば陰湿。明朗でなくてももう少し楽しいのを期待したいのが古くからの冒険映画ファンであります。
がっちり出来ているという意味ではバートン版を上回ることは間違いありませんが、バットマン誕生秘話はもっと圧縮したほうが良いでしょう。「それが重要なのだ、だから良いのだ」という方への回答としては、誕生秘話だけで持ちこたえられる100分のドラマを作るほうが正しい行き方でありましょう。