映画評「モンパルナスの灯」
☆☆☆☆(8点/10点満点中)
1958年フランス映画 監督ジャック・ベッケル
ネタバレあり
モディリアニ特集その①
細長い顔の肖像画や裸婦画で有名なイタリアの画家アメデオ・モディリアニの半生を描いた伝記映画であるが、フランス映画は昔から編年体で描くような野暮はしない。
モディリアニ(ジェラール・フィリップ)は気難しくて画家としての成功には程遠く酒に溺れているが、清純な画学生ジャンヌ(アヌーク・エーメ)と知り合って将来に夢を馳せる。が、彼女の両親が二人が逢えないようにした為再びアルコールにのめり込んだ結果潜伏していた肺病を発症、南仏で療養を余儀なくされるものの、そこへジャンヌが現れて結ばれる。パリへ戻って個展を開くが最終的に失敗、結局36歳で夭逝する。
編年体ではないと言ったが、つまり、これはモディリアニ生涯の最後の数年間を、ジャンヌとの出会いとその生活を中心として、重点的に描いている。彼の生涯を追うのではなく、一つのテーマを掘り下げているのである。
マックス・オフュルスの死で、その後を継いだジャック・ベッケルが監督。「肉体の冠」などで確認出来るように、彼は映像の自然主義文学とでも言えるような写実主義の作家だが、ここでもその厳しさが出ている。
特にモディリアニの死の現場に居合わせた画商(リノ・ヴァンチュラ)が彼の家に出かけて、ジャンヌにその死を告げずに、絵を買いあさるハイエナのような姿を見せる幕切れには、ぞっとするものがある。まさに自然主義文学の代表たるエミール・ゾラの感触である。
その一方で、技巧的な巧さもある。南仏の町並みを一望した後主人公が娼婦をモデルに絵を描いている場面の第一ショットと、同じように町並みを一望した後ジャンヌが寝ている場面の第一ショットにおけるブラインドの対比など鮮やかで、中にいる人物の気分の差が感じ取れる。
配役も充実していて、ご贔屓フィリップやアヌークは言うまでもなく素晴らしく、彼のご贔屓筋で愛人でもあった英国人記者に扮するリリー・パルマーや禿鷹画商のヴァンチュラなどおしなべて適材適所の好演。
1958年フランス映画 監督ジャック・ベッケル
ネタバレあり
モディリアニ特集その①
細長い顔の肖像画や裸婦画で有名なイタリアの画家アメデオ・モディリアニの半生を描いた伝記映画であるが、フランス映画は昔から編年体で描くような野暮はしない。
モディリアニ(ジェラール・フィリップ)は気難しくて画家としての成功には程遠く酒に溺れているが、清純な画学生ジャンヌ(アヌーク・エーメ)と知り合って将来に夢を馳せる。が、彼女の両親が二人が逢えないようにした為再びアルコールにのめり込んだ結果潜伏していた肺病を発症、南仏で療養を余儀なくされるものの、そこへジャンヌが現れて結ばれる。パリへ戻って個展を開くが最終的に失敗、結局36歳で夭逝する。
編年体ではないと言ったが、つまり、これはモディリアニ生涯の最後の数年間を、ジャンヌとの出会いとその生活を中心として、重点的に描いている。彼の生涯を追うのではなく、一つのテーマを掘り下げているのである。
マックス・オフュルスの死で、その後を継いだジャック・ベッケルが監督。「肉体の冠」などで確認出来るように、彼は映像の自然主義文学とでも言えるような写実主義の作家だが、ここでもその厳しさが出ている。
特にモディリアニの死の現場に居合わせた画商(リノ・ヴァンチュラ)が彼の家に出かけて、ジャンヌにその死を告げずに、絵を買いあさるハイエナのような姿を見せる幕切れには、ぞっとするものがある。まさに自然主義文学の代表たるエミール・ゾラの感触である。
その一方で、技巧的な巧さもある。南仏の町並みを一望した後主人公が娼婦をモデルに絵を描いている場面の第一ショットと、同じように町並みを一望した後ジャンヌが寝ている場面の第一ショットにおけるブラインドの対比など鮮やかで、中にいる人物の気分の差が感じ取れる。
配役も充実していて、ご贔屓フィリップやアヌークは言うまでもなく素晴らしく、彼のご贔屓筋で愛人でもあった英国人記者に扮するリリー・パルマーや禿鷹画商のヴァンチュラなどおしなべて適材適所の好演。
この記事へのコメント
何かの本で読んだのですが,この作品は最初,イヴ・モンタン主演で企画されていたのを,モンタンが製作者の反対を押し切ってソビエトでコンサートを開いたため,J・フィリップ主演に変わったとか,そんな話だったと思います。うろ覚えで頼りないのですが…。
ひょっとしてモンタンのほうが実際のモディリアーニのイメージに近いかもしれませんが,J・フィリップは彼なりにデカダンスながら繊細な芸術家像を表現していたと思います。
私も教育TVで観たのが最初かもしれません。<世界名画劇場>とか言っていた時代かな。
リノ・ヴァンチュラの禿鷹画商が効いていましたね。これはゾラそのものですよ。ルネ・クレマンもそうですが、ジャック・ベッケルも正に映画界のゾラですねえ。ゾラを読んだことのない人には訳の分からない話で、済まないのですけどね。
モンタンの話は初めてですが、かなりイメージが違ってきますね。
見た目はともかく、モディリアニは相当ナイーヴな人だったらしいので、その繊細さを表現するにはフィリップの方が合っていたかもしれません。
フィリップが37か38で夭逝しているのも、何かの縁だったのでしょうか。
モジリアニの悲劇が鮮明に印象づけられるラスト・シーンは、何年経っても忘れられないですね。
<http://blog.goo.ne.jp/8seasons/e/a7d63f10ad77363facce4f7012900db7>
P様のお言葉を拝読したいと思うのですが。もしあげられてたらお時間ある時にTBほしいです。
>ハイエナ、ハゲタカ
いや、どちらでも良いでしょう。^^
いやらしいですね、この映画のリノ・ヴァンチュラ。上手い役者でしたよね。「冒険者たち」とは全く対照的!
>ジェラール・フィリップ
やはり凄い役者です。
僕は初期の繊細、中期の冒険性、晩年の陰影・・・どれも素敵ですね。
>肉体の悪魔
勿論鑑賞済みですが、残念ながら記事にはしておりません。DVDに保存してありますので、スケジュールを見ますと、今月中に観て書くことができると思います。
>な行
【テーマ】のうちどれでも結構ですからクリックしますと、トップページに出ていない【テーマ】が出てきますので、ご利用ください。^^
>ジェラール・フィリップ
台詞は抜群ですし、俳優としての色気も凄いですし、若くして亡くなったのが本当に惜しまれますね。
>投機の対象
悪魔と言うか、ハゲタカと言うか、人非人でしたね。
演じるリノ・ヴァンチュラも抜群でした。