映画評「火曜日ならベルギーよ」
☆☆★(5点/10点満点中)
1969年アメリカ映画 監督メル・スチュアート
ネタバレあり
ドノヴァンの歌う、映画と同じ題名の主題歌は哀愁に溢れて昔から大好きで、わざわざ録音して憶え、今でも時々口ずさむ。あれより三十余年の月日の流れしや。
さて、50年代から60年代観光映画というジャンルが流行したが、ある場所を訪れた外国人がロマンスの花を咲かす、というのがお決まりのパターンだった。その意味では「ローマの休日」も観光映画であるし、「旅情」は典型的な傑作である。
本作はアメリカのツアー客が18日間に西欧9カ国を回るハードな日程をこなし、各地で各人が騒ぎを繰り広げる群像劇的な趣向ではあるが、今でいうキャリアウーマンのスザンヌ・プレシェットがツアーコンダクターのイアン・マクシェーンと良いムードになりかけるのはその名残りと言って良い。
が、この二人の関係は全くおざなりな描写に推移して感心できず、今で言う盗撮的行為を敢行し続けるおじさん、電話の受話器を始め持って来られるものは何でも拝借してしまう困ったおじさん、夫人が離れて日本人の団体客と行動することになって嬉しいやら困るやら複雑なおじさん、祖国イタリアはヴェニスの親戚を訪れるが言葉が通じず慌てて逃げ出すおじさんが繰り広げるドタバタも面白いというところまでは行かない。
つまり、ロンドンから始まる各地名所を楽しむという、文字通り観光映画としてしか機能していないわけだが、慌ただしい旅の感じは良く出ている。<旅の恥はかきすて>という諺は日本だけではなかったようで。
オールド・ファンなら楽しめる趣向がもう一つある。当時の人気国際俳優のカメオ出演なり。
ヴィットリオ・デ・シーカ、アニタ・エクバーグ、ゼンタ・ベルガー、ジョン・カサヴェテス、ジョーン・コリンズ、ベン・ギャザラ、ヴィルナ・リージ、カトリーヌ・スパーク、エルザ・マルティネリ、ロバート・ヴォーン。
若い人は殆ど知りませんかね。
1969年アメリカ映画 監督メル・スチュアート
ネタバレあり
ドノヴァンの歌う、映画と同じ題名の主題歌は哀愁に溢れて昔から大好きで、わざわざ録音して憶え、今でも時々口ずさむ。あれより三十余年の月日の流れしや。
さて、50年代から60年代観光映画というジャンルが流行したが、ある場所を訪れた外国人がロマンスの花を咲かす、というのがお決まりのパターンだった。その意味では「ローマの休日」も観光映画であるし、「旅情」は典型的な傑作である。
本作はアメリカのツアー客が18日間に西欧9カ国を回るハードな日程をこなし、各地で各人が騒ぎを繰り広げる群像劇的な趣向ではあるが、今でいうキャリアウーマンのスザンヌ・プレシェットがツアーコンダクターのイアン・マクシェーンと良いムードになりかけるのはその名残りと言って良い。
が、この二人の関係は全くおざなりな描写に推移して感心できず、今で言う盗撮的行為を敢行し続けるおじさん、電話の受話器を始め持って来られるものは何でも拝借してしまう困ったおじさん、夫人が離れて日本人の団体客と行動することになって嬉しいやら困るやら複雑なおじさん、祖国イタリアはヴェニスの親戚を訪れるが言葉が通じず慌てて逃げ出すおじさんが繰り広げるドタバタも面白いというところまでは行かない。
つまり、ロンドンから始まる各地名所を楽しむという、文字通り観光映画としてしか機能していないわけだが、慌ただしい旅の感じは良く出ている。<旅の恥はかきすて>という諺は日本だけではなかったようで。
オールド・ファンなら楽しめる趣向がもう一つある。当時の人気国際俳優のカメオ出演なり。
ヴィットリオ・デ・シーカ、アニタ・エクバーグ、ゼンタ・ベルガー、ジョン・カサヴェテス、ジョーン・コリンズ、ベン・ギャザラ、ヴィルナ・リージ、カトリーヌ・スパーク、エルザ・マルティネリ、ロバート・ヴォーン。
若い人は殆ど知りませんかね。
この記事へのコメント
ニューシネマ時代にあってちょっとクラシックな感覚のあった作品ですね。ドノヴァンの起用などはニューシネマ的でしたけど。